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修学旅行の様子がおかしい2

 修学旅行当日。

 朝、集合場所の駅には、クラスメイトたちが集まっていた。


「眠い……」


 俺は大きくあくびをする。

 朝早くから集合させられたせいで、まだ頭が起きていない。


「おはようございます」


 後ろから声がした。


「おはよう」


 振り返る。

 そこにいたのは、レイナだった。

 銀色の髪を揺らしながら、こちらへ歩いてくる。


「今日もその髪、目立つな」


「そうですか?」


「うん。駅でもすぐ分かった」


「……それなら、良かったです」


「何が?」


「あなたに見つけてもらえたので」


「……」


 朝から何を言ってるんだ。


「お前らァ!!」


 そのとき、山田先生の声が響いた。


「おはよう!!」


「朝から元気だな……」


 先生は腕時計を確認する。


「遅いぞ!」

「集合時間の五分前だ!」


「まだ時間前じゃないですか」


「だからこそだ!!」


「何が?」


「時間に余裕を持つことは大切だァ!!」


「まあ確かに」


 そこへ田中がやってくる。


「先生」


「なんだァ!!」


「点呼を取ります」


「いいだろう!!」


 田中が名簿を開く。


「一人ずつ名前を呼びます」


「佐々木さん」


「……宇宙の声を感じる」


「高橋さん」


「ねえ魔法って本当に使っちゃだめ?」


「レイナさん」


「今世の旅行も楽しみです」


「神崎さん」


「効率的に行きましょう」


「山田先生」


「いるぞォ!!」


「校長」


「私もいるぞ!」


「…………」


 俺は眉をひそめる。


「なんで校長がいるんですか?」


「引率だ!」


「聞いてませんけど」


「昨日決めた!」


「またかよ……」


 田中が校長を見る。


「校長先生」


「なんだね?」


「引率教員としての登録は?」


「……」


「まさか、していないのですか?」


「細かいことは気にするな!」


「それはできません」


 田中が校長を追い詰める。


「登録をしてください!」


「後でやる!」


「今やってください!」


「朝から何やってんだよ……」


 俺がため息をついた、そのとき。


「ところで」


 神崎がタブレットを見ながら言った。


「新幹線の遅延確率は現在0.8%です」


「おお」


「京都到着予定時刻は――」


「神崎」


「はい」


「旅行くらい普通に楽しめ」


「楽しんでいます」


「それは楽しんでる人の顔じゃないだろ」


 神崎は真顔だった。


「私のこれは楽しんでいる顔です」


「だとしたら分かりづらいな……」


 そんな会話をしていると、佐々木がパンフレットを広げ始める。


「京都には、宇宙人がいるらしい」


「またその話か」


「歴史上、京都には数多くの不可解な伝承が残っている」


「だから?」


「宇宙人の可能性がある」


「どういう理屈だよ」

「お前の中では地球人には理解できない現象=宇宙人なのかよ」


「…当たり前だろ?」


「雑すぎるだろ」


 高橋が笑う。


「じゃあ、京都で宇宙人探そうよ」


「お前も乗るな」


「だって楽しそうじゃん」


「一応、修学旅行だからな?」


「もちろん分かってるって!」


 そして新幹線が到着する。


「来たぞォ!!」


「先生、静かにしてください」


 俺たちは乗り込む。

 席に座る。

 俺の隣には――


「……」


 レイナ。

 そして、向かい側には高橋。


「……」


「……」


 なんだ、この配置。


「偶然だよ」


 高橋が言う。


「絶対偶然じゃないだろ」


「班決めの結果です」


 レイナが微笑む。


「そうですよね?」


「……」


 田中が座席表を見る。


「規則上、問題ありません」


「そこじゃないんだよな……」


 新幹線が動き出す。


「おお……」


 窓の外の景色が流れていく。


「京都か……」


 少しだけ胸が高鳴る。

 文化祭。

 体育祭。

 今まで色々あった。

 そして今度は修学旅行。


「楽しみですね」


 レイナが窓の外を見る。


「ああ」


「前世でも、こうして旅をしたんですよ」


「また前世の話か」


「嫌ですか?」


「いや」


 俺は少し笑う。


「もう慣れた」


 そう言うと、レイナも少し笑った。

 すると。


「ねえ」


 高橋が口を開く。


「京都でどこ行く?」


「まだ決めてないのか?」


「班で決めるんでしょ?」


「そうですね」

「じゃあ、ここに行きましょう」


 レイナがしおりを広げる。


「もちろん」

「じゃあこことここも…」


「だから俺の意思も――」


 その瞬間。


「お前らァ!!」


 前の席から山田先生が叫ぶ。


「新幹線の中で騒ぐなァ!!」


「先生が一番うるさいです!」


 田中が立ち上がる。


「先生」


「なんだァ!!」


「車内では大声を出さないでください」


「分かった!」


 神崎がタブレットを見る。


「現在、先生の声量は通常会話の約3.7倍です」


「分かったと言ってるだろ!!」

「追い打ちをかけるな!!」


「先生、声が大きくなっています」


「分かってるって言ってるだろ!!」


 佐々木が窓の外を見る。


「……」


「今度は何?」


「宇宙船を見つけた」


「あれ、ただの飛行機じゃないのか?」


「……やっぱり宇宙船じゃないかもしれない」


「そうか」


 そして、しばらくして。


「京都に到着します」


 車内アナウンスが流れた。


「着いた!」


 高橋が立ち上がる。


「京都だ!」


「まだ立つな」


 レイナも窓の外を見る。


「……綺麗ですね」


「ああ」


 俺も外を見る。

 見慣れない街並み。

 そして、これから始まる修学旅行。


「さて……」


 俺は立ち上がる。


「今回は何も起きないといいな」


「……」


 全員が俺を見る。


「何?」


 佐々木が口を開いた。


「それは無理だろ」


「なんでだよ」


 神崎が頷く。


「過去の学校行事における異常事象発生率は――」


「言うな」


 田中が眼鏡を直す。


「規則を守れば問題ありません」


 山田先生が拳を握る。


「京都でも鍛えるぞォ!!」


「何を!?」


 校長が笑う。


「もちろん、新しい校則も考えてある!」


 高橋が俺を見る。


「楽しみだね!」


「…そうかもな」


「………」


 俺は京都の街並みを見つめる。

 どう考えても、嫌な予感しかしない。

 それでも――


「……まあ、楽しむか」


 俺はみんなの後を追って、駅の階段を降りていった。

 こうして。

 俺たちの修学旅行が始まった。

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