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皇太子の婚約者候補から外されたので、完璧令嬢は本性隠すのやめました  作者: 春月もこ
第2部「始まりと崩壊」

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第28話「私はここにいる」

「お嬢、剣を持て」


 レティシアは、即座に着替えて戻ると、ガレスと、久しぶりに剣を交えた


 剣は重く、すぐに息が上がる。


(どうやって動いていたんだっけ)


 思い出そうとする。しかし思い出せない。


 けれど―――


 身体は動く。身体が知っている。


(不思議だわ…!どうして?)


 身体は、どう動けばガレスの剣を受け止められるかを覚えていた。


 ――――キン!


 レティシアの剣はガレスによっていとも簡単にはじかれた。


 …しかし。


 手が震える。足が震える。


(私はこの感覚を知っている。これは―――)


 乱れた呼吸のまま、空を見上げる。


 高い空。鱗雲。秋の風が吹き抜ける。


(これは私が忘れていたわたし、ではないの?)


 そのまま草むらの上に寝転ぶ。


 ガレスは静かに剣を収め、小屋へ戻っていった。


 呼吸を整える。深呼吸。


「マリア」


 呼ばれたマリアがあわてて飛んでくる。


「はい、お嬢様」


 心配そうに傍に座るマリア。


「マリア、不思議ね、空はこんなに綺麗で。世界はこんなに優しくて」


 ふふっと笑う。


「私はここにいるのにね」


 マリアはその言葉を聞いて、大粒の涙を流した。



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