第23話「婚約破棄の宣言」
その声は冷たく響いた。
「そなたを婚約者候補から外すこととする」
レティシアは声が出ない。
次の瞬間、視界がぐらっと揺れた。
(何を言われたの...?わたしは)
頭からつま先まで全ての力が入らない。
マリアが駆け寄ろうとしたが、近くに控えていたグレイスンに制される。
心配そうに遠くから見つめるマリアが視界に入る。
やっとのことで、声を絞り出す。
「理由を...お聞きしてもよろしいでしょうか」
アルフォンスは冷静に、迷わず答える。
「先日の舞踏会だ」
───やはり。
「君は優秀だ。学問、礼儀作法、ダンス、その他も全てにおいて」
厳しい目で見つめられる。
───殿下、そんな目で見ないでください。
「だがあの場で君は、何が起きていたか理解していなかった」
───さっきまでは優しい目で私を見つめていた同じ目が。
「状況を読み、適切に判断し、動くこと。それを皇后に求めたい」
───今はこんなにも冷たい。
レティシアは反応できない。
言い訳すら出ない。
何故なら、
(私の未熟さ)
(あの時、私は何も見えていなかった)
アルフォンスの言うことは自分がいちばん分かっていたことだったからだ。
「承知しました...」
この答えが正しいのだと、思った。




