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皇太子の婚約者候補から外されたので、完璧令嬢は本性隠すのやめました~捨てられた者たちがもう一度、意味を見つける物語~   作者: 春月もこ
第3部「自分が決めた道」

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第23話「本部へ戻る」

 エレオノールが山道に残された足跡をたどると、たどり着いたのは廃坑道の入口だった。


 数刻前。分かれ道の手前で、ひとり静かに座る女性を見つけた。


 警戒させないよう、ゆっくりと歩み寄る。


「レティシアを救ってくださったあなたを保護します」

 そう告げると、女性は穏やかに頷いた。


 そして、声の代わりにゆっくりと口を動かす。

『娘を待ちたい』


 その願いを読み取ったエレオノールは、しばらくの間ここで待機することを決めた。


 女性はさらに、レティシアがこの先へ向かったこと、おそらく娘のエミと合流できたのだろうということを、時間をかけながら伝えてくれた。


 レティシアは生きている。


 その事実に、エレオノールは胸をなで下ろす。


「隊長、報告です。廃坑道の近くで男が倒れています」

 そこへ、部下の緊迫した声が。


「男?どんな状況だ?」

 エレオノールは、母親を部下に任せすぐに確認に向かった。


(これは…どういうことだ?)

「剣で切られた傷はありました。ですが、致命傷は毒矢と思われます」

 男の状態を調べていた部下が、エレオノールに気が付き報告をした。


「毒矢?」

「はい。遺体の状況から、薬師の庭で倒れていた男と同じ種類の毒だと思います」


(なぜ毒矢で死んでいる男が二人も?それも、レティシアのいたとされる場所の近くで?)


 エレオノールは胸騒ぎがした。

「このまま廃坑道に配置するものと、本部へ戻るものに、いったん分隊する!」






 ガレスは、集落の中を歩いていた。


 辺境軍の砲撃は、密偵が集めた情報をもとに行われていた。


 狙ったのは、人の住んでいない建物だけ。


 建物を壊すことで住民の退路を断ち、確保することが目的であり、最初から死者を出す作戦ではなかった。


 だからこそ、違和感があった。

(静かすぎる。)


 瓦礫の間を風だけが吹き抜ける。


 人の気配がない。


 泣き声。


 助けを呼ぶ声。


 どこからも何も聞こえない。


(どこかへ集められたか?)


 だが、こんな短時間で住民を一か所へ誘導できるだろうか。


(いや……。)

 ガレスは足を止めた。


 視線をゆっくりと集落全体へ巡らせる。


(最初から避難場所を知っていた)

 その結論に至った瞬間、背筋を冷たいものが走る。


(そうか……)


(作戦が漏れていたな)


 ガレスは静かに踵を返した。


 この事実は、一刻も早く本部へ伝えなければならない。ガレスは急いで本部へと向かった。









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