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第9話 荒野で荒稼ぎ

 やっと隣町『ディザー』に着いた。

 草木はあるものの、その数は少ない。

 砂漠が近いということもあり、やや暑い。

 そして何より、


「暑いですぅ~~」


 真っ先に根を上げたのは、予想通りリリーだった。

 街並みは、俺たちがいたレギュンと比べると、物足りなさがある。

 そのため街の中心部に、ギルドも宿屋も酒場、更に武器屋や防具屋等、全てが目の届く範囲に集まっていた。


「まずギルドに行ってみよう」


 本当に俺たちがこなせる依頼があるかどうかを確かめる必要があった。

 ギルドの中に入ると、陽が入らないせいか、少し涼しかった。

 リリーは俺たちから離れ、涼しそうな場所を見つけたのか、椅子に座りぐったりしている。

 隣にいるクィナも「どうしましょう?」という顔で俺の様子をうかがっていたので、


「依頼は俺が探しておくから、リリーに付いてってやってくれ」


 そういうと、クィナに続いてトゥルニーもリリーの元へと歩いて行った。

 今日はもう遅いし、どんな依頼があるかだけ見るだけ。

 受付嬢の言った通り、俺たちにこなせそうな依頼が、いくつかあった。


 次に向かったのは、ギルド名簿だ。

 この街にはどれ程の冒険者がいるかが気になった。

 レギュンの街では確か、Bランクが3隊、Cランクが8隊、Dランクが30隊ぐらいだったはず。

 そんな事を考えながら名簿を開くと、Cランクが1隊、Dランクが6隊、Eランクは2隊。


「少ないな」


 一人呟き、街の人口に比例するのだろうと考えた。

 クィナ達の元へ行き、少し外を見回ると言うと、リリーが露骨に嫌そうな顔をしたので、行き先を酒場へと変更。


「ふぅ~~、生き返るですぅ~~」


 氷の入った水をゴクゴクと飲み干す幼女。

 もしや、エルフは暑さに弱いのか?

 そう思ってクィナに聞いてみたところ、そんな事は無いと言われた。

 どうやら完全な個人差のようだ。


 次に道具屋へと立ち寄った。

 リリーの暑さ対策用のアイテムが無いかを探すためだ。


「水の髪飾りか」

「綺麗ですぅ~、欲しいですぅ~」


 俺の見つけた髪飾りが気に入ったのか、リリーは欲しい欲しいと言うが、価格はなんと!5000G!!

 今の俺たちからすると、とても高価過ぎて手の届かない品物だ。

 だが説明文には"身につけると涼しく感じる"と書いてあり、買えるなら買ってやりたい。


 これ以上見るものがないと考え、少し早いが宿屋で休みを取ることにした。

 部屋に入るなり、リリーはパンツとシャツだけの姿になる。

 クィナが服を着るように促すも、暑いから嫌だと駄々をこねる。


「まあいいじゃん、なんならクィナもトゥルニーも同じ格好をしてもいいんだぞ?」

「しませんっ!」


 う~む、ダメかぁ~~。


 しかし夕暮れ時になると、さっきまでの暑さが嘘のようになくなり、レギュンの夜と同じぐらい涼しくなった。

 リリーも服を着ていて俺も一安心した。

 これなら普通に寝れそうだ。


 翌日、この街での初めての朝を迎え、そのままギルドへと向かった。

 ボードに張ってある依頼は昨日とほぼ同じだったため、目をつけていた依頼を受けることにした。


「何を受けたんですか?」

「荒野のスネーク退治。報酬1000Gだ!」


 この辺りの事を知らないため、まずは無理のなさそうな内容のものを選んだ。

 依頼の場所へと着くと、蛇の姿が何体も目に入った。

 アナライズを使うとLv11と出ている。ドリアードと同じレベルだが、倒しやすいかどうかは戦ってみないと分からない。


「クィナ」

「はいっ!アイスアロー!」


 俺の合図に反応し、直ぐに氷の塊を飛ばす。

 それは蛇に当たり、そのまま倒せていた。

 ドリアードより防御力が低いからなのか、それともクィナの魔法威力が上がったのか、その両方か。

 次は俺とトゥルニーが実際に戦ってみるが、


 スパッ!!ザクッ!!


「この敵弱いですね!」


 彼女の言う通り、攻撃は直ぐあたるし、一撃で倒せる。

 そのため依頼は直ぐに終わり、ギルドへ報告。

 あっさり報酬1000G手に入れる事が出来た。


「隊長!この調子でどんどん依頼こなしましょうっ!」


 トゥルニーの言う通り、こんなに楽に1000G手に入るなら、どんどん依頼をこなしたい。

 何より時間もかかってないし、そこまで疲れもないからだ。


「じゃあ次は"草原に出没するコブラ討伐”っていうのやってみるか!報酬1500Gだ!」


 報酬が上がり難易度は上がるだろうが、この街の依頼は、全体的に難易度が低いと俺は考えた。

 その予想は的中し、Lv13と出ていたが、仲間との連携で難無く倒す事が出来、報酬も無事手に入れた。

 そのお金を手に、昼食をするため酒場へと行くと、


「ひゃ~~~!!こんなんで依頼達成できるなんて、この街に来て良かったですねっ!!」

「全くだな!あの受付嬢には感謝しかないぜっ!!」


 最初はどんな街か不安だったが、まさかこんな穴場があったとは!!

 俺たちは勢いに乗ってた!乗りに乗ってた!!ノリノリだぜ!!

 良い気分のまま酒場を出て、再びギルドへ。


「もうちょっと報酬高いもの選んじゃおっかなぁ~?」

「流石隊長っす!!今の私たちならいけるっす!」


 トゥルニーの口調が少しおかしくなってるが、今は気にならないぐらい気分は高まっていた。

 そして俺が選んだ依頼は"北の街道にいるワームを退治して欲しい"というもので、報酬は何と3000G!!

 名前からすると、ミミズみたいなものだろう、報酬額から考えて数が多いか、少し大きめだとしてもリリーぐらいの大きさだろう。


「――あれ?」

「シャーーーーーーッ!!」


 予想より大きい!!

 ワームの口は俺たちを丸のみできる程で、高さ2mぐらいあるし、数も20ぐらいいるぞ!?

 いやいや、見掛け倒しの可能性もある、アナライズで…って、Lv17!?

 この前、大苦戦したボアとほぼ同じ強さっ!!


「おい、トゥルニー、お前の槍でチクチク攻撃してみろよ、さっき"いけるっす!"とか言ってたじゃん?」

「いやいや、隊長こそノリノリだったじゃないですか、あっさり倒しちゃってもいいんですよ?」

「私に任せてくださいっ!紅蓮の炎よ、敵を焼き尽くせ……ファイアボール!」


 無駄に詠唱をしてから放たれた火の玉は、ドゴンッ!という音と共に、目の前のワームに直撃した。

 そしてひとつ詠唱で分かった事がある。

 余裕のある時は詠唱、余裕がない切羽詰まった時は無詠唱だ。


「やったか!?」

「隊長!そのセリフはダメです!それを口にすると、不思議とやってない事になるんです!つまり、やれてません!」


 彼女の言う通り、目の前のワームは焦げ跡のようなものはあるものの、まだ闘争心を失っていない様子で俺たちに向かってくる!

 一旦後退するも、ワームの動きは遅く、距離を置く事はできた。


「敵は体力はあるものの、動きは遅いな。側面に回り込んで攻撃するぞ!できれば挟み撃ちだ!」

「わかりましたっ!!」


 俺たちはワームに向かって駆けて行き、少し手前で二手に分かれる。

 ワームも旋回しようとするが、俺たちの方が速い!!

 思い切り剣を振りかぶって斬る!!

 ぐにょ~~。


「うぉっ!!堅い!!いや、分厚いタイヤのようだ!!」

「隊長!任せてください!!強撃!!」


 ザクッ!!!

 剣はダメでも、槍という点の攻撃は効くようだ。

 しかもスキル攻撃のため、その槍はワームの体を貫通していたが――っ!!


「うわぁ~~っ!!」


 ワームはまだ倒せていない!

 ダメージを受けた敵は、そのまま暴れまくるせいで、槍を持ったトゥルニーはそのまま振り回され、仕舞には武器から手を放し地面へと落ちた。


「回復しますぅ~~、ヒール」

「援護しますっ!アイスアロー!」


 後方組がそれぞれ動く。

 トゥルニーは回復し、アイスアローも敵に命中、そこでやっと力を失ったのか、ワームはズドンと倒れ動かなくなった。


「やっと1体…まだたくさんいるぞ。どうする?」

「ふんすっ!」


 槍を抜き終え、現状きついという声が多数。

 負ける事はないだろうが1体倒すのに相当苦労する。

 しかし、ここで依頼を投げると報酬が貰えないどころか、ペナルティーが発生する!!


「いや、戦闘継続だ!1体ずつでも倒すぞ!」

「おーーーーっ!!」


 俺の激励に、仲間たちが呼応する。

 そして――


「はぁはぁ…なんとか全部倒したな…」

「ひぃ~~~、しんどい!」

「疲れたですぅ~…」


 ダメージこそほとんど受けなかったものの、何時間も戦い続け、既に日も暮れ始めていた。

 なんとかギルドで報酬を受け取り、そのまま宿屋へと行き、全員着替える間もなくベッドへと倒れ込む。

 しかしその甲斐あってか、俺とトゥルニーはLv16、クィナはLv15、リリーもLv14となっていた。

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