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第10話 新しい装備

 気が付くと朝になっていた。

 どうやら昨日は、疲れてそのまま寝てしまっていたようだ。

 みんなも着替えず寝ていたため、


「うわぁ~、変な跡が残ってる~」

「髪が~」


 とか言ってるが、つい最近まで、野宿だの倉庫だので寝ていたのに、そこは気にするのか。

 俺は俺で準備をしていると、自分の剣が気になった。

 この剣はこの世界に来た時から持っている、いわば初期装備だ。

 軽くて使いやすいが、昨日のワーム戦で、物足りなさを感じた。


「この剣、実は安物か?」


 もちろんあの女神からの贈り物だろうが、あの女神だからなぁ~…。

 これは一度武器屋で見てもらった方がいいかも知れない。


「今日はギルド行く前に武器屋寄って行こうぜ」

「新しい武器ですか?私も新しい槍が欲しいですっ!」

「じゃあ私は、新しいローブを」

「あの髪飾りが欲しいですぅ~」


 なぜかみんな、新装備を買ってもらう気満々だった。

 買うとも買わないとも言わず、武器屋へ到着。

 早速、店主に俺の剣がどのぐらいのものかを見てもらうと、


「ああ、これはショートソードだね。ほら、ここにある剣と同じだろ」


 そう言いながら、俺の持ってる剣と同じサイズの剣が並んでいるものを紹介してくれた。

 ショートソードか、名前からも安そうなイメージがある。価格を見てみると、1本500Gとなっていた。

 …宿代と同じか。


「じゃあ、こっちは?」


 俺はトゥルニーの持っている槍を指し、何っていう槍でどのぐらいの価格かを聞いた。

 どうやらスピアと呼ばれるもので、300Gのものだった。

 どちらも、初心者が愛用する装備とのことだった。


「ダメダメ、そんな武器じゃ。兄ちゃん達、立派な冒険者を目指すなら、このぐらいの武器を持たないとなぁ~」


 そう言って勧めてきた武器は、ロングソードとハルバードだった。

 ロングソードは重量感もあり、ショートソードよりも長く、これならワーム相手にも通用しそうな気がした。

 一方ハルバードは、それまで使ってた槍と長さは変わらないものの、先端が斧のようになっている。

 これなら突く以外にも薙ぎ払いとかもできそうだ。


「良い武器だな。問題は価格だな」


 ロングソードが2000G、ハルバードが2500G、手持ちが6000Gぐらいだから、結構ギリギリか。

 いやしかし、この武器を買えば戦闘が楽になって、依頼もはかどる!

 ってことで買った。


「古くなった武器は、どうする?」

「槍を2本持ってても邪魔になるだけだと思うので、引き取ってもらいましょう」


 引き取ってもらえるなら、それはそれでありがたい。

 100Gとか200Gぐらいで買い取って貰えるかと思っていたが、小さな傷や刃こぼれがあるということで、俺達の武器は合わせて20Gにしかならなかった。

 だが、新しい武器を手に入れ、ワクワク感がたまらねぇぜ!!


 ギルドに入り、早速依頼を探す。


「元を取り戻さないとなっ!」

「隊長、いえ、フリート様。その考えは危険です。ギャンブルで負けた人が負けを取り戻そうとする人と同じ思考です」


 な、なんだとぅ~?

 この世界にもギャンブルがあるっていうのか!?

 いや、それより何で呼び方を隊長からフリート様に変えた?

 だが彼女の言う通り、身の丈に合った依頼を受けるのがいいだろう。落ち着け俺。

 そう自分に言い聞かせ、報酬よりも内容重視で慎重に淡々と依頼をこなすことにした。


 そして3日が過ぎ、お金も貯まって来たが、レベルはほとんど上がらずだった。

 安全に戦いすぎたせいで、経験値が入ってないのだろう。

 ふと、レギュンのギルドにいた冒険者達を思い出す。レベル10~20前半まで多かった理由も、こういったことが原因なのではないだろうか?


 ――まさかっ!!

 俺達のレベルはこの辺りが限界という可能性も!?

 その可能性に気づくと次第に焦りが出てきた!


「みんなっ!今日は強い敵を倒しに行くぞっ!!」

「えぇ~?急にやる気出ちゃった感じですか?」

「今まで通り安全に依頼をこなすだけではだめですか?」


 ぬわぁぁぁぁ~~!!

 仲間達もすっかり、ぬるま湯の心地良さに骨抜き状態じゃんっ!!

 そうだ!リリーはどうなんだ?

 お前は俺の味方だよな!?


「リリー、強い敵と戦ってもいいと思わないか?」

「ん~~~…ヒール頑張るですぅ~」

「ほらっ!!我が隊のお姫様もこうおっしゃっておられるぞ!行くぞ!」

「リリーってフリート隊の姫だったんだ…」


 かなり強引だが、仲間をぬるま湯から出す作戦に成功した。

 そしてギルドへ行き、依頼を探す。

 明らかに自分より強い敵を倒し、まだレベルアップの余地があるかを確かめる必要がある。

 そして2つの依頼が俺の目に留まった。


「キングコブラ退治とバッファロー退治か」


 名前だけでは強さは分からない。

 分からないが!!

 キングコブラの方が強い気がした!!

 なぜなら、キングのコブラだ。キングとついているだけで強いと俺は思った。


「バッファローの方が強いイメージがあります」

「大きそうだしね」

「強そうですぅ~」


 しかし仲間達の意見は真逆だった。

 確かに大きいイメージはあるし、俺も特にこだわりが無かったので、今回はバッファロー退治の依頼を受けた。

 改めて報酬を見ると、キングコブラは4000Gに対して、バッファローは3500Gだった。

 …こいつら、ひよったな!?

 しかし依頼を受けてしまった以上、今更後戻りはできず、バッファローがいる方へと向かった。


 1時間程歩いただろうか、目的地に着くと遠目に牛のような姿を確認できた。

 その目標物に向かって近づくと、Dランク試験時に遭遇したボアと同じ程の大きさであることも分かった。

 中々に強そうだと思いつつ、アナライズを使うとLv20と出ており、俺がLv17と考えると、ちょうど良い強さとも言える。


「一匹ずつ釣るぞ、クィナ」

「はい!アイスアロー!」


 氷の塊が近くの敵に命中!

 敵も俺達に気づき、突進してくる。

 だが、


疾風剣しっぷうけん!」


 昨日覚えたばかりの新スキル!

 離れた敵へ風の刃で攻撃ができるという、便利な技だ。

 ザシュッ!!という音とともに、敵は仰け反った!


「手応えありだぜ!トゥルニー!行くぞ!」

「はいっ!強撃!!」


 ザクッ!

 ハルバードの矛先が敵の頭を一撃!

 俺が剣を振る間もなく、あっさり倒してしまった。

 イケる!!


「残りも倒すぞ!」


 1体ずつ確実に倒して行く。

 ぬるま湯と思って戦っていたが、連携力は強化されていたようだ。


 やがて最後のバッファローも倒したところで、俺は全員を見てみる。

 俺とトゥルニーがLv18、クィナとリリーがLv16。

 しっかりレベルが上がっていたことに安堵し、程良い疲れを残したまま街へと戻った。


「いや~、久々に緊張感ある戦闘でしたねっ!!」

「そうですね、連携も上手くなってた気がします」


 仲間達も達成感に喜びを感じているようだった。

 そしてギルドで報酬も受け取ると、そのまま道具屋へと向かった。

 結構金も貯まっていたから"水の髪飾り"を購入し、早速リリーに着けさせると、


「おぉ~~~、似合ってるですかぁ~?」

「ああ、似合ってるぞ」

「嬉しいですぅ~!隊長大好きぃ~~」


 そう言うなり、抱き着いてきた。

 この街に来てから、ずっと暑さで表情があまり晴れていなかったから、この髪飾りで少しでも暑さがしのげれば良いと考えての買い物だ。

 実際本当に効果が出てるかどうか聞くと、前ほど暑くないと答えてくれた。

 その言葉に仲間達も喜んでいる様子だった。


「あとはクィナの装備だな」


 唯一、出会った時から装備が変わっていないクィナ。

 だが、本人は新しいローブが欲しいと言うが、魔法使いなら杖の方がいいのではないだろうか?

 そう考えつつも、防具屋へ移動し、ローブを探すことにした。


「それで、どんなローブがいいんだ?」

「あーっ!このローブ可愛い!フリート様、このローブが欲しいですっ!!」


 それは黄色のワンピースのようなローブだった。

 ローブの説明欄には特に何も書かれていないことから、普通のローブと性能は変わらないのだろう。

 単純に新しい服が欲しい、と言ったところか。

 だが、700Gだったので買った。

 すると更衣室っぽいところで早速着替えてきて、古いローブは処分することとなった。


「前のローブ、結構ボロボロだったので、とても嬉しいです」


 全然そんな風には見えなかったが、やはり着ている本人にしか分からないものというのがあるのだろう。

 俺は一人勝手に納得していた。

 今日はとても良い買い物をしたと、俺も満足だった。

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