第11話 サンドワームとの死闘
店を出るて宿に向かう途中、
「ところで隊長、いつまでこの街に滞在するつもりですか?」
突然の問いに、俺は少し考えてから、
「そうだな、Lv20になってからだな」
「Lv20って何ですか?」
しまった!
レベルの事は俺しか知らないんだったっ!
どう誤魔化そうか、どう説明したものかを考え、
「レベルというのは、俺の独断と偏見で決めている強さのことだ。今の強さは、そうだなぁ~、隊としては17ぐらいだなっ!!それに装備も色々買って、金はこの通り、3000Gぐらいしかないから、稼げるうちに稼ぎたい」
これで乗り切れるか分からなかったが、みんな妙に納得したように頷き、
「流石隊長!計画性が高いですねっ!!」
「フリート様の隊に入れて貰えて、本当に感謝しています」
「隊長~、凄いですぅ~」
なぜか褒められた気がした。
宿に着いてから、レギュンの街の事を考えていた。
この世界に来て最初に行った街であり、彼女たちと出会った街でもある。
色々あって濃い日々を送っていた。
しかし俺たちが受けれそうな依頼が無くこの街にやってきたが、やはりレギュンの街の方が好きだと実感した。
「明日、大きな依頼をやってから帰るとするか」
「フリート様、何か言いました?」
「いや、何でもない」
どうやら考えていた事を、口にしてしまったようだ。
改めて仲間を見る。
もし初日に彼女たちと出会えていなかったら、今頃どうなっていたか。
少し不安を感じたため、
「クィナ、膝枕」
「えぇ!?もぉ~、しょうがないですね~」
甘えて不安を消したくなった。
彼女も何かを察したのか、あっさり受け入れてくれた。
翌朝、気合を入れてギルドへと向かい、依頼を探す。
大体はこなせそうな気はするが、ひとつだけ気になる依頼があった。
「これを見ろ。"北の街へ続く道にサンドワームが出た、討伐して欲しい。報酬4000G”っていうのがあるぞ」
「うわぁ~、強そぉ~~」
ワームですら苦労したのを思い出す。
だがあの頃と違って武器も新しくなったし、連携も取れてきている。
この依頼を達成すれば、自分の強さに自信を持てる気がしたし、ここで踏み込めないと、今後も前に進めないのではないか、という恐怖もあった。
「これを受けるぞっ!」
「もう少し安全そうな依頼の方が~…」
「いいや、これにするっ!」
「は、はいっ!」
依頼を受け、念のために道具屋へと向かう。
まともに道具を見るのは初めてだったが、直ぐに目当てのアイテムであるポーションを見つけた。
問題は、その効果だ。
「これが体力回復、こっちはMP回復、ダメージを回復するのはないのか。あとは解毒とか解呪とか、こっちには肉体強化ってのもあるな」
意外にもポーションは高く、所持金を考えると、少ししか買えない。
結局、体力回復の赤ポーションとMP回復の青ポーション、そして肉体強化の黄ポーションを2個ずつ買った。
青ポーションはクィナとリリーにそれぞれ1個ずつ、赤ポーションと黄ポーションは、俺とトゥルニーでそれぞれ1個ずつ。
「フリート様、今日はずいぶん念入りですね」
「ああ、予想外に強かったりすることがあるからな、いざという時はためらわずに使うんだぞ」
……街を出て2時間、俺たちの目の前には砂漠が広がっていた。
正確な距離は分からないが、遠くにワームらしきモンスターが砂漠を泳ぐように移動しているを確認できた。
「この距離だと、疾風剣は届かないな。クィナの魔法は届きそうか?」
「いえ、ちょっと届きそうにないです」
となると、砂漠に足を踏み入れて戦わないといけなくなる。
この砂漠を超えたところに別の街があるらしいが、一体どうやって移動しているのだろうか?
道とかあるのか?
しかし辺りを見渡すも、それらしい道は見つからない。
「仕方ない、もう少し近づこう」
砂漠を進むに連れ、段々と歩きにくくなるのを感じる。
足場を気にしていると、
「隊長!ワームがこっちに向かってきますっ!」
どうやら俺たちの存在に気付いたようだ。
今ならはっきりと、敵の姿が認識できる。
直ぐにアナライズを使うとLv25と表示されていた。
俺とトゥルニーがLv18と考えても相当な開きがあるのに、クィナとリリーはLv16だから、10近くのレベル差がある。
「撃ちます!アイスアロー!」
射程内に入ったのか、クィナが先制攻撃の魔法を放った。
氷の塊が命中し、敵が一瞬ひるむ!
「俺たちも行くぞっ!疾風剣!」
砂煙を上げながら、剣圧がワームに直撃するも、あまりダメージを与えているようには見えなかった。
側面に回り込んだトゥルニーが直ぐに強撃を打ち込む!
槍は刺さったが、そこでワームが身を起こす。
「でかいっ!!」
5メートル、いや、6メートルはあるか?
横にいるトゥルニーと比較すると、その大きさがより巨大であるのを物語る。
「このっ!もう一発!強撃っ!!」
今度は槍を刺すのではなく、ハルバードの先端にある斧で叩き斬るようにワームへと振り下ろした。
ダメージがあったのか、興奮したように激しく動き、その巨体による体当たりを受けたトゥルニーは、軽々と吹き飛んだ!
「大丈夫かっ!」
「へ、平気ですっ!!」
「助けに行くです~」
ヒールをするつもりだろうが、ワームがリリーの方へと向いた。
まずいっ!!
「うおおっ!!高速剣!!」
「アイスアロー!!」
ズガガガガッ!!ドゴッ!!
咄嗟に攻撃を仕掛け、敵に注意を引く。
それと同時に赤ポーションを飲みスタミナを回復し、続いて黄ポーションで肉体強化もした!!
「ヒール!」
「リリー、ありがと~。でも危ないから離れてるんだよ」
「はいですぅ~」
リリーもワームとの距離が近いと理解したのか、離れようと距離を取った。
ザッ!!ザクッ!!
何度も剣を振ったり突き立ててみるものの、分厚い皮のせいか、ダメージらしいダメージを与えれない。
「隊長、任せてくださいっ!強撃!!」
ザクゥゥゥ!!
戻ってきたトゥルニーが再び槍で突き刺す。
今度はかなり深く刺さったが、
「ぬ、抜けないぃぃぃ~~!!」
槍と共にトゥルニーの体は、ワームが暴れまわった事で振り回される形となるも、槍から手が離れ、体だけが飛ばされた。
これでは、槍の回収は難しいか!?
「リリー、高速剣を使う!リフレッシュで回復を頼む!」
「わ、わかったですぅ~!!」
「高速剣!!」
ガガガガガッ!!
さっきよりもダメージが入っている気がする。
黄ポーションの効果が出ているということだろうか?
「リフレッシュ!」
スキルでの疲労がリリーの魔法で回復し、再び高速剣を叩きこむ!
これならいずれ倒せるっ!!
そう確信していた。
「リフレッシュ」
再びリフレッシュで疲労は回復したものの、なぜか少し疲れが残ってる気がした。
だが、十分スキルは使える!
「はぁぁ!!高速剣!!」
「シャーーーーーッ!!」
同じ場所を何度も攻撃したからか、ついにサンドワームの皮は破け、完全にダメージが入ったっ!!
すかさずリリーがリフレッシュをかけてくれるが、
「はぁ…はぁ…リリー?MP切れか?」
「まだ使えるですぅ~、隊長、回復してないですかぁ~?」
――いや、僅かだが回復はしている。
魔法の効果が弱まったのか?
「アイスアロー!!フリート様っ!一旦離れてくださいっ!魔法による回復は万能ではありませんっ!アイスアロー!!」
俺がワームから離れる時間稼ぎをするためか、クィナが魔法を連発してた。
リリーを抱きかかえ、クィナの方へと駆け、どういうことか説明を求めると、魔法にしろポーションにしろ、回復には限界があるということだった。
「詳しくはこの敵を倒してからでっ!アイスアロー!!」
良く分からないが、リリーの回復効果が弱まったじゃなく、俺自身の回復力が尽きた感じか。
確かに感覚的に、抜けきらない気怠さのような疲れを感じる。
しかしこのままではっ!!
「アイスアロー!!青ポーション使いますっ!ごくごく…っ!!アイスアロー!!」
俺はスタミナが尽きかけて、まともに戦えない。
トゥルニーも武器がワームに刺さったまま取れない状態で戦えない。
クィナの魔法攻撃だけが頼りだ。
「くぅ~~!!武器さえあればっ!!」
「アイスアロー!!…あと2発で尽きます」
何とかしなければ、せめてハルバードさえ抜ければっ!!
――そうだっ!!
「トゥルニー、俺が槍の刺さったところを攻撃するっ!!お前は頑張って槍を抜けっ!」
「わ、わかりましたっ!!」
「うおおおおっ!!高速剣っ!!」
ガガガッ!!
くっ!いつもの威力が出ていないのが自覚できる程だったが、手応えはあった!
俺はその場で膝を付き、攻撃した個所を見る。
予想通り、一か所に狙いを定めたおかげで、槍がぐらついていた。
それを見てか、トゥルニーも槍を引き抜いたっ!!




