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第12話 死闘の果て、帰還

「うわぁぁぁー!!強撃っ!!」

「シャーーーーーーーーーッ!!!」


 その強撃は、サンドワームの皮がボロボロの剥がれているところを攻撃していた。

 しかも突きではなく、ハルバードの矛先にある斧で叩き斬る形での攻撃だ。

 これならさっきのように刺さって抜けない、という事態にはならないとの判断だろう。

 俺は意識が途絶えるのを必死に堪え、戦いを見届けていた。


「アイスアロー!」


 ドゴッ!!

 クィナもそれに気づいたのか、トゥルニーが攻撃をしているところに合わせるように魔法を放った。


「MP尽きました」


 そう言って俺の隣に座り込む。

 その顔には疲労の表情が浮かんでいた。

 今立っているのは、トゥルニーとリリーだけだ。

 二人とも、頼むぞっ!!


「やぁーーーー!!」


 ザシュッ!!!

 もう何度目になるか分からないが、ついにサンドワームに致命傷を与えたのか、その巨体は大きく仰け反った後、

 ズドォォーーーーン!!

 という音を立てて動かなくなった。


「隊長!!倒しましたっ!!」

「すごいですぅ~~!!」

「ああ、みんな本当によくやった…」


 安堵と共に、眠気もやってきた。

 ここから街まで歩いて2時間、そう考えると気が重くなる。


 トゥルニーの肩を借りながら30分程歩いたあたりで、気怠さも徐々に抜けて行き、一人で歩けるようになっていた。

 ところどころ休みながら歩いていると、街に着く頃には昼を過ぎていた。


「やっと街に戻って来たな」

「なんだか安心しますね」


 街に入っただけで、安全地帯に入った気分になる。

 この気分は、生還したという実感なのか、気怠さが無くなったものなのかは分からないが、取り合えず達成感はあった。

 実際今回の戦いで、武器による相性や、戦い方というのを大きく考えさせられた。


 ギルドで報酬を受け取り、そのまま馬車に乗り、レギュンの街へと向かう事にした。

 いざ離れるとなると、名残惜しさもあるが、冒険者として地に足が付いた気持ちにもなっていた。


「あー、今でもサンドワームを倒したっていう実感がないっす~」

「分かります。1週間ぐらい前まで、ゴブリン相手でも苦労していましたから」


 彼女たちの話を聞いて、この世界に来てからの戦いを思い出す。

 新しいスキルを覚えた、武器も新しくなった、戦い慣れて来た。

 そういうのもあるが、本当に強くなったかどうかの実感は正直なところ無い。


 アナライズを使っても、俺とトゥルニーがLv19、クィナとリリーがLv18。

 レベルは少しずつ上がってるものの、これが本当にどのぐらいの強さかが分からない。


「フリート様、街に着きましたよ」


 どうやら馬車に揺られ、いつの間にか眠っていたようだ。

 だがお陰で、戦闘での疲労もかなり抜け、調子が戻った気がした。

 空を見上げると、すっかり夜になっていた。


「なんか、凄い久しぶりな気分だな」

「そうですか?」


 あれ?みんなも同じ感想だと思ったが、久しぶりと感じたのは俺だけだった。

 だが直ぐにその違いにも気づいた。

 彼女たちはこの街に長い期間居たが、俺はこの街には数日しかいなかった。その違いだろう。


 ギルドに立ち寄ろうか悩んだが、それ以上に腹が減っていたので、まずは酒場へと足を運んだ。

 ディザーの街と違って、やはりこっちの街の酒場は活気がある。


「あっちの料理も良かったけど、やっぱりこっちの方が美味しいですねっ!」

「ああ」


 トゥルニーの言う通り、俺もこの街の料理の方が好みだが、何よりこの雰囲気が好きだ。

 相当腹が減っていたのか、ガツガツ飲み食いしていると、


「よお、フリート!久しぶりじゃねぇか、面構えも少し変わったな!」


 後ろから声をかけられ振り向くと、ガロンがビールを片手に立っていた。

 何と答えようか迷っていると、少し離れた席から一人、こっちへ歩いて来て、


「この人が噂の?」

「おうよ!」


 俺が、誰?という顔をしていると、


「俺はリアギー、リアギー隊の隊長をしている」

「俺はフリート、フリート隊の隊長だ」


 そういって軽く挨拶をかわしつつ、アナライズを使う。

 Lv33、ガロンのようなマッチョではないが、強さはガロンとほぼ同等。

 このリアギーという男も、恐らくCランク冒険者だろう。


「なるほど、確かに他の冒険者とは違うな」

「意味が分からないな、どういうことだ?」

「そのままの意味だ、もちろん良い意味だ」


 それだけ言うと、彼は元の席へと戻って行った。

 それに続くように、ガロンも軽く挨拶だけして、自分の席へと戻って行った。

 二人が席に戻ったのを見届け、仲間たちの方へと向き直ると、


「隊長、すっかり有名人ですね!」

「フリート様を他の冒険者と違うと一目で見抜く眼力、リアギーさん、侮れません」

「隊長~、リリーお腹いっぱいになりましたぁ~」


 う~~~ん、リリーはお腹いっぱいかぁ~。

 マイペースで非常によろしい!!

 そして大きく欠伸あくびをしていたので、ギルドに寄らず、宿屋へと向かった。


「いらっしゃい!ああ、フリートか。久しぶりだな。泊まって行くのか?」

「ああ、今日からまた世話になる」


 宿主は嬉しそうに歓迎してくれた。

 少し言葉をかわし、そのまま部屋へ入ると、まるで我が家に戻ってきたかのような錯覚に陥った。

 いや、錯覚ではなく、きっとここが今の俺たちの家なんだろう。


「寝るですぅ~」

「あ~っ、ちゃんと着替えてから寝るんですよ」


 眠くて棒立ちになっているリリーを、クィナがぱぱっと着替えさせベッドへ寝かす。

 寝ているリリーの寝顔を見て、今日もよく頑張ったと思いつつ、ある事に気づいた。


「そういやさ、リリーってMP切れ起こしたところ、見た事ないな」

「言われてみれば…そうですね」


 ヒールやリフレッシュのMP消費量がどのぐらいかは分からないが、もしかしてハーフエルフだからMPが高いとかあるのだろうか?

 意外とリリーは謎が多い。

 そんなリリーの横にトゥルニーがもぞもぞ布団に潜って行き、


「お先に寝ま~す、おやすみ~」


 とだけ言うと、直ぐに寝息を立てた。

 釣られるようにクィナも大きな欠伸をし、トゥルニーと反対側へと移動し、これまたリリーの隣で寝ようとしてた。


「おいおい、待て待て、膝枕は?」

「膝枕は閉店で~~す」


 と、意味不明な事を言い、直ぐに寝息を立ててしまった。

 お、おい…待てよ…俺は馬車の中で寝ちまったから、そんな直ぐ寝れねぇよ…。

 そう思っていたが、意外と早く睡魔が来て、30分もしない内に寝れた。


 朝、一番最初に起きたのが俺だった。

 その後、他の仲間たちも起きてきて、しばらく部屋でダラダラしてから、ギルドへ。

 早速依頼を探しをするも、報酬3000G以下は極端に少ない。


「隊長、これなんてどうですか?」

「ほう、コボルト退治で報酬は1500Gか」


 かなり物足りなさを感じるが、今の俺たちがどれ程強くなったか腕試しには良いかも知れない。

 依頼書を受付嬢のところへ持っていくと、


「ディザーの街はどうでした?」

「ああ、ちょうど良い依頼が多く助かった。なぜこっちは依頼が少ないんだ?」


 俺の推測では、Dランクが多いからと思っていたが、受付嬢の話によると、それだけが原因ではなかった。

 ある程度依頼をやっていると、大体の冒険者が割の良い依頼ばかりやるようになったり、安全な依頼を選ぶようになる。

 だから割に合わない依頼が残ったり、強い人も仕方なく報酬が低くても安全そうな依頼を選ぶということだった。


 その話を聞いて色々納得がいった。

 基本安全な依頼を受けるため、報酬額の低いものが残る、報酬額が低くても残ったものは割に合わないもの。

 ディザーの街でもクィナが安全なものを選びたがっていたから、それが普通なのだろう。

 つまりこのコボルト退治の依頼は、割に合わない依頼の可能性が高いということになる。


 しかし依頼を受け、現場へと向かった。

 昔は畑とかがあったのだろう、機能していない柵や小屋があり、そこを拠点にしているのか、コボルトもいる。

 アナライズを使うとLv15と出た。

 ゴブリンよりレベルは高いものの、数は数匹。


「一気に倒すぞ!疾風剣!」

「ファイアボール!」


 最初に遠距離から攻撃し、残りは距離を詰めてしとめる。

 ザクッ!!ズバッ!!

 2分と経たないうちに、殲滅出来た。

 この時俺は確信した。ただ連携が強くなっただけでなく、俺たちも強くなっていると。

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