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第7話 Bランクのヒュロス隊

 一度ギルドを出て酒場へ行き、ランクアップ祝いを兼ねて、少し豪華な食事をした。

 お陰で金欠になるも、今後はDランクの依頼が受けれる。宿代や食事代ぐらいは問題なく稼げるだろうと考えていた。


 すっかり試験の疲れも取れ、再びギルドへ戻ろうと提案した。


「依頼を受けるんですか?」


 既に夕方になりかけていたため、みんな不安そうな顔で俺を見るが、


「いや、ギルド名簿で、どんな冒険者がいるのを見るだけだ」


 俺の言葉に安堵しつつ、みんなもどんな冒険者がいるのかは気になっている様子だった。

 早速ギルドへ入り、奥へと歩いて行き、冒険者名簿を取り出す。

 そこにあるテーブル椅子に座り全員で見ていく。


「これ、ランク別になっているんだな」

「そのようですね。あ、見てください、フリート隊がDランクの一番最後にありますよ!」


 確かに、Dランクの一番最後に俺たちの名前があった。メンバーの名前と、それぞれのクラスも載ってある。

 強さ順ってことは多分ないと思うから、そのランクになった順に追加されていく感じだろうか?


 次にこの街で一番強い冒険者が誰なのかを確認した。

 ランクの高い順から並んでいるため、見つけるのは簡単だった。

 どうやらこの街で一番強いランクはBランクで、3つの隊がある。


「ルグルス隊、ヒュロス隊、オンカイム隊って書いてあるな」


 だが、冒険者ランクはBの上にもAがあり、更にその上にSがある。

 そう考えるとBランクがどのぐらい強いのかよく分からなかった。


「私、その隊は全部聞いたことあります」

「有名なのか?」

「多分有名だと思います」


 等と話していると、いかにも戦士という感じの鎧を身につけた男と、同じ隊と思われる冒険者たちが俺の方にやってきて、


「見た事ない顔だけど、新人の冒険者かい?」


 と優しく問いかけて来た。

 どうやら悪い人ではなさそうだし、ベテランと見た。

 なので、新人であることを明かし、ランクについて聞く事にした。


「Bランクが強いのかどうか、か。う~ん、どうだろうな~」


 と、考え込んでから、ある程度の目安と各ランクの情報を教えてくれた。

 Sランク自体、世界で片手で数える程で、Aランクはこの国内でも5隊しかいない。

 そしてBランクは大きめの街でトップクラス、小さい街だと最大ランクがCというのも珍しくない。

 新人冒険者はEランクから始まり、ある程度慣れたらDランクになるが、Cランク以上になれるのは全体の冒険者の中で1割程だと言う。


「ところで君たちは…もうDランクのようだね」


 どうやらギルド証のプレートからランクを当てたようだ。俺も相手のギルド証を見ようとしたが、鎧や服の中にしまっているため見えなかった。


「名前を来ても?」

「ああ、俺はフリートで隊長を務めている、そっちは?」

「おっと失礼、俺はヒュロス、ヒュロス隊の隊長を務めている。よろしく」


 ――っ!!

 俺たちが今、噂をしていたBランクの隊の隊長が目の前にいる!?

 これはチャンスかも知れないっ!


 俺はアナライズを使い、ヒュロス隊を見た。

 目の前にいるヒュロスはLv51、その後ろにいる3人も、Lv48、Lv48、Lv47と、全員が高レベルだった!

 つまりBランクというのは、50前後のレベルということか…。


「ところで、なぜ俺たちに声を掛けてきたんだ?」


 Bランクの冒険者が新人である俺たちに声を掛ける理由がないと思い、疑問を口にすると、


「君たちが俺たちの噂をしていると思ったから、っていうのは冗談で、さっきギルド員から『冒険者になって3日目でDランクになった人がいる』と聞いて、どんな人物かと思って挨拶をしに来たんだ」


 なるほどな。

 この人は悪い人には見えないし、恐らく好奇心とかからだと思う。

 特に話すこともなくなったと考えたのか、ヒュロス隊はそのまま去っていってしまった。


「はぁ~~、緊張しましたぁ!」

「それよりもフリート様は、冒険者になってから、まだ3日目なんですか!?」


 その言葉に、ギルド内にいた冒険者一同が俺の方を見る。

 取り合えずこれ以上、他の冒険者に絡まれるのも嫌なので、一度宿屋へと戻ることにした。


「でだ、普通の冒険者は大体どのぐらいでDランクになれるんだ?」


 宿に戻るなり、俺が聞きたかったことをそのまま口に出した。

 三人は考え込むようにし、最初に口を開いたのはトゥルニーだった。


「普通は半月から1か月は掛かると思います」

「そうなのか?力を合わせて依頼をこなしていけば直ぐだと思うんだが――」


 と反論するも、直ぐに指を立て、チッチッチッと、まるで分っていないと言った風な素振りを見せる。

 生意気っ!!


「その仲間を集めるのが大変なんですよ!Eランクっていうのは、中々自分から声を掛けにくいし、ギルドに行っても他の冒険者はもうどこかの隊に入ってるから、浮いてしまって居心地が悪いんです」


 確かにっ!!

 話し相手がいないのに、一人でギルドに長居することは無いだろうし、Eランクがギルドに行くとしたら依頼を探す時ぐらいだろう。

 ということは、ヒュロスは俺の何が気になったんだろうか?


「でもたまに、元から凄い強い人がいて、Dランクに直ぐなる人もいますね」

「つまり、もしかしたら俺がそういう感じの冒険者だったかも?ってことでヒュロスは俺の顔を拝みに来たって感じか」

「どうでしょう?」


 流石に彼がどういう真意で俺たちのところへ来たかは分からないが、今はそのことを考えても意味がない。

 まずは試験の疲れを癒し、明日に備える事にした。


 日が昇ると同時に目が覚めた。

 俺が起き上がると寝ていた者たちも、もぞもぞと動き始め、


「おはようございます…」


 眠そうな目をこすりながら、起き上がってきた。

 宿暮らし、一緒の部屋で寝泊まりする仲間たち。

 そんな世界にもだいぶ慣れて来たと、自分でも思う。

 ややしてから、全員でギルドへと向かった。


「眠いですぅ~」


 リリーは俺と手をつないだまま、ふらふらと歩いていた。

 仕方ないので抱っこしてやることにすると、そのまま眠ってしまった。


「あーっ!リリーだけずる~い!」


 何がずるいのか良く分からないが、そのままギルドへと入り、今日の依頼を探す。

 Dランクの依頼も出来るようになったため、幅は広がるだろう。

 と思っていたが、意外とDランクの依頼が少ない。

 いや、あるにはあるのだが、


「報酬の高いものが多く残っていて、報酬の低いものはほとんどないですね」


 一緒に依頼を見ていたクィナがそう呟く。

 だが今の俺たちはDランクの底辺だ。

 報酬の高いものはこなせないだろう。

 そんな中、ひとつだけ俺たちに見合いそうな依頼が目に入る。


「これはどうだ?”街の外にウルフがうろついてる、出来るだけ倒して欲しい。報酬1200G~”」

「出来るだけとは、どのぐらいでしょう?」

「さあ?ただ報酬が1200G~ってなってるから、倒せば倒しただけ増えていくんじゃないか?」


 意外にもギルドにある依頼には、こういった曖昧な内容が結構ある。

 俺が見た中で一番やべぇと感じたのは"行商人が行き来する街道を安全にして欲しい"というものだった。今日はその依頼が無いのは、誰かが引き受けたのか、ギルドの方で下げたのか、多分後者だろう。


 そんな事を考えながら現地へと到着。

 寝ているリリーを起こし、地面に降ろす。


「頑張るですぅ~」


 ちゃんと自分の足で立てて偉いぞ!

 あとは、ウルフを探すだけだ。名前から狼だろうと予想。

 しばらくうろうろ探していると、遠目にそれらしき影が一匹見えた。

 この時は正直、ワイルドドッグと同じぐらいの強さだろうと考え、楽勝だと思っていた。


「ワオォォォォォン!!」


 俺たちの接近に気づいた影は、空に向かって大きく吠えた。

 距離的にもウルフだと気づきアナライズを使ってみるとLv12と表示されていて、内心ほっとしていたが、ウルフが次々と現れ足を止めた。


「隊長、敵の数多くないですか?」

「…30いや、40以上いるかもな…」


 これはまずい!!

 10ぐらいだと思っていたが、ここまで多いとは誤算だ!!


「みんな、一旦逃げるぞ!!」

「は、はいっ!!」


 直ぐにリリーを抱きかかえ、街に向かって走る!

 狼の群れが追いかけてくる!


「クィナ!ファイアボールで足止めできるか?」

「はぁはぁ…や、やってみますっ!!ファイアボール!!」


 敵の群れに向かって火の玉が撃ち出され着弾!

 ドゴーンという音とともに数体倒したと思うが、ウルフ共は怯む事なく追ってくる!


「もう一発だ!!」

「は、はい!ファイアボール!!」


 再びドゴーンという音とともに、数体のウルフが宙を舞うが、それでもまだ30体近くいる!

 これは…この世界に来て、一番のピンチかも知れないっ!!

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