第41話 サーチの重要性
ファイアボールの火が未だ残り、若干の悪臭が鼻をつく。
…いや、結構臭いな。
それよりも、討伐目標であるリッチとやらを探さないといけない。
クィナが追加でライトの魔法を使う。
それを上手く操り、辺りを探るように照らして行く。
「フリート様、あそこに人影が!」
俺に教えるように、ライトを動かすと、確かにかなり離れたところに人影らしきものがある。
向こうは俺たちに気付いているのだろうか?
そう考えてた矢先、その人影から火の玉が飛んできたっ!!
「避けろ!!」
咄嗟に声を上げながら避ける!
後方で爆発音が聞こえたものの、再び火の玉が2発放たれる!
「シールド!」
いつの間にか降りてきたリリーが、俺たちに魔法をかけるが、このシールドは魔法に対して効果があるのか?
それよりも、魔法を使ってくるモンスターと戦う事自体初めてだ!!
「アイスアロー!」
敵の魔法に応戦するように、クィナも魔法を放つ!
しかし、意外と人影は動きも素早く、魔法が当たっていないっ!!
「トゥルニー!近づけそうか?」
「や、やってみますっ!」
俺は地上から、彼女は宙から。
二手に別れ、接近を試みる!
幸い、クィナが敵とドンパチやりあっているためか、相手はまだ俺たちに気付いていない様子だ。
やっと人影が、ローブをまとった魔術師のようなものと分かったが、杖は持っていない。
アナライズを使うとLv53と出ていたっ!!
俺達よりレベルが高いっ!!
恐らくこいつがリッチだろう。
「光弾!」
側面から攻撃を仕掛ける。
当たればそれで良しと思っていたが、予想通り普通に避けられた。
そして避けた先には、
「超落下突き!!」
ズドーーーーーンッ!!!
轟音が鳴り響く!
直撃しなくても、クレーターが出来る程の威力だっ!!
派手な土煙が上がってる中、攻撃を終えたトゥルニーが俺の隣に着地し、槍を構える。
「手応えはあったか?」
「良く分からないっす」
土煙が収まりつつあるも、反撃してくる様子はなく、やがて視界も良くなった頃、彼女の作ったクレーター近くに、ボロボロになった布切れがひとつ。
どうやら倒していたようだ。
俺たちは安堵の息を漏らし、仲間と合流しようとしたその時!!
「くっ!」
別方向から火の玉が2つ飛んできたっ!!
リリーを庇うように跳んで避ける!!
しかし地面に倒れ込んで体勢が崩れたところ、追い打ちをかけるように新しい火の玉が飛んできた!!
「ファイアボール!」
飛んでくる火の玉に、ファイアボールがぶつかり、途中で爆発するっ!
魔法がぶつかると、相殺できるのか?
それより助かった。
俺は立ち上がり、位置を変えながら
「疾風剣!」
相手がこの攻撃を避けれるかどうか!!
ザシュッ!!!
「アァァァッ!!」
どうやら当たったようだ。
光弾は見えるが、疾風剣は見えない。
多少空間の歪みは生じるものの、この暗闇だと分からないのだろう。
再び疾風剣を放つも、相手の火の玉と相殺される。
だが、敵の注意は上手く引き付けれたっ!!
「強撃!!」
背後まで近づいていた彼女の存在に気付いていなかったのか、もろ串刺し状態になり、今度こそ倒したっ!
地面に倒れた敵は、ローブこそ残っているももの、まるで何かが浄化されるかのように、黒い煙のようなものが立ち上り、やがて消えて行った。
意外とLv53でも何とかなるもんだなと思っていた矢先、
「隊長!」
トゥルニーの声に、意識が戦闘状態へと戻る!!
飛んできた火の玉を咄嗟に避け、そのまま疾風剣で反撃する!
ザシュッ!と、確かな手応えのある音はあるが、
「倒したんじゃなかったのか?」
「倒したはずですっ!」
――!!
俺は何を勘違いしていたんだ?
なぜ敵を一体だけだと思い込んでいた!!
ギルドで見せてもらったネームドにも、リッチの名前は無かった。
「フリート様!ファイアストームで焼き払いますか?」
彼女も敵が複数いると考えたのだろう。
だが、相手もファイアボールを使って来る。
ファイアストームの奥から魔法を撃たれると、相手の火の玉が見えなくなる可能性もある。
何より、この敵が最後の1体かも知れない!
「いや、面倒だが1体ずつ倒すぞっ!」
敵の魔法は厄介だが、力がある訳でも、防御力が高い訳でもない。
上手く連携を取り、
「稲妻斬りっ!!」
「アァァァァッ!!」
手応えありっ!!
さっきの敵同様に、その場で崩れ落ち、ローブだけがその場に残った。
だが油断は出来ない!!
まだ敵が何体残ってるか分からないからだっ!!
戦闘態勢を崩さず、周囲に敵がいないか、気配を探る。
「どうやら、今ので最後のようだな」
攻撃が来る様子もなく、墓地は静けさを取り戻していた。
緊張を解き、やっと一息つく。
辺りを見渡すと、墓地がボロボロになっていた。
……でも仕方ないよね?
ここに敵がいたんだし、戦うしかなかったからさっ!!
ゲートで街に戻り、ギルドに報告。
無事依頼を達成し、宿屋へ戻る。
全員が寝る準備をしている中、
「以前ディトロっていう冒険者いただろ。あの人が持っているサーチっていう能力があったら便利だよな~」
と、誰に言うわけでもなく、ぽつりと呟く。
今回だって、あの能力があれば、敵の数も位置も知れたからだ。
ヒュロス隊やオンカイム隊も、俺達と同じくアーチャーはいない。
サーチが職によるスキルなのか、関係ないのか、そこも知りたいところだ。
翌朝、いち早くギルドへと向かい、2Fへと行く。
そこには、復帰したオンカイムが仲間たちと何か話をしていた。
彼らも俺たちに気付いてか、手を上げ声を掛けてくれたので、
「もう傷は大丈夫なのか?」
「ああ、すっかり大丈夫だ、心配をかけたか?」
「まあな、死ぬんじゃないかと思った」
と、軽口を叩きながら、本題のサーチについて聞いて見た。
すると、オンカイムがそのスキルを持っていると言う。
……まあ、この人は何でもあり見たいなところあるから、参考にならんかも知れん。
ちなみに他のメンバーは持ってないとの事だった。
そんな話をしていると、ヒュロス隊も来た。
同じ質問をすると、セルシャがサーチのスキルを持っているという。
まあ、職業盗賊だから、不思議はない。
「フリートは、サーチスキルに興味あるのか?」
「まあ、俺の隊は使える奴いないからな」
「それは不便だな」
ヒュロスはそう答えた後、少し考えてから、道具屋へ行くと言い出した。
俺達にもついて来るように言ってきたので、ぞろぞろと大移動。
道具屋に着くなり、彼は店主に話しかけると、店主は部屋の奥へと行き、筒のようなものを持ってきた。
彼はそれを受け取ると、
「これを使うといい」
と、手渡してくるが、これは一体何なんだろうか?
筒を開け中を取り出すと、1枚の紙、恐らくスクロールだろう。
もしかして、サーチのスクロールだろうか?
そう思って聞いてみたが、
「それは、スキル習得書ってやつだ。適正があれば、そのスキルが使えるようになる」
へぇぇ~~~~!!
そんな便利なアイテムがあったのか。
それなら、色んなスキルを覚え放題じゃないかと言うと、
「さっきも言ったが、適正が無いと覚えられないし、サーチはCランクのスキルだからな、ランクが高くなる程、価格も高くなる」
なるほど。
つまり今更俺が、EランクやDランクのスキルを覚えても効果は期待できないし、スキルだけ多くなっても、使い分けが難しいのか?
しかし俺たちはBランクだから、Cランクのスキルは多くて困る事はなさそうだと思い、何か他にオススメスキルが無いかと聞いたが、
「どうだろうな~?もし適正が無いと使っても効果は発動しないし、習得書は使い物にならなくなる」
「これ、消耗品なのか。ちなみにこれっていくらぐらいなの?」
「ああ、サーチか?30万Gだ」
さ、さ、30万G~~~!?
え?そんな高価な品、頂いてよろしいのでしょうか?
恐る恐る聞くと、防衛戦でのお礼だと言う。
ヒュロス~~~、やっぱり君は最高の冒険者だ!!
ゴクリと生唾を飲み、スキル習得書を、
「これ、どうやって使うんだ?」
「それを持ったまま『ラーニング』って口に出せばいいだけだ」
俺は言われた通り、ラーニングと口に出すと、習得書はスクロールと同じように消えた。
しかし、何となく、誰がどこにいるかという感覚は掴めた。
どうやらサーチを無事習得できたようだっ!!




