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第33話 二度目の南門での防衛戦

 少し霧があると言っても、200か300メートル先までなら見える。

 今のクィナの最大射程は150メートルぐらい、十分対応出来る距離だ。


 霧の中から薄っすらとモンスターの大群が見え始めた時、


「サンダーストーム!」


 ヒュロス隊の魔法使いが攻撃を仕掛けた!

 瞬間、敵の見えた位置に大規模な落雷が発生し、閃光が暗闇を切り裂く!

 並みのモンスターであれば、この攻撃に耐えれるとは思えない。

 ――しかしっ!!


「キマイラだっ!!」


 あの落雷を耐え、真っ先に突破してきたのは、前回も見た魔物だっ!


「行きますっ!ファイアストーム!!」


 射程内と見てか、クィナも魔法を放つ。

 キマイラを包むように、炎の嵐が巻き起こる!!

 だが当然、その炎も突破し、俺たちに向かってくる。


「気合砲!!」


 前回の戦いで、対応済と云わんばかりに、ヒュロスが一瞬足止めをし、仲間たちが攻撃を仕掛ける。

 ズドーーーンッ!!

 まずは一体仕留め、残り二体!


「光弾!!」

「千本桜!!」


 俺が狙った相手とセルシャの狙った相手が被ったが、お陰で相当なダメージを与えれた。

 その隙を見逃さず、ヒュロスがとどめを刺し、残り一体。


「ライトニング!」

「超落下突き!」


 電撃によるダメージ自体は低いが、一瞬動きが止まる、そこをトゥルニーが一撃で仕留めた。

 一番の強敵と思われたキマイラを三体も倒したっ!

 これは意外といけるんじゃないか?

 そう思ったのも束の間、


「ゴォォォォ!!」


 まさか…ドラゴン?

 恐竜のような姿、大きな翼、そして飛んでいる!!


「ワイバーンだ!」


 ヒュロスに、ドラゴンとは違うのか?と問うと、ドラゴンの成りそこないと教えてくれた。

 とは言え、Lv56で4体もいるっ!!

 キマイラより強い上に飛行という厄介な相手だ!


「街に入れさせるな!落とせっ!!鳳凰剣!!」

「光弾っ!!」

「マジックアロー!!」

「ライトニングッ!!」


 まずは手前の飛竜に集中攻撃っ!!

 いくらレベルが高いと言っても、一斉攻撃を受け、そのまま地面へと落ちる。

 残りも一体ずつ倒すしかないが、手数が足りないっ!!

 門の上にいる正規兵が弓矢で応戦するも、全くダメージは与えれていないのが分かるっ!!


「くそっ!!一匹だけ街に入るぞっ!!」


 どうする?

 俺達が引き返す訳にも行かず、一体どうなるのか?

 その時、


鬼神流きしんりゅう衝撃波しょうげきは!」


 門の上から声が聞こえたと瞬間、ワイバーンに目に見えない攻撃が当たり、そのまま落下する。

 落下中の敵に追い打ちをかけるように、門の上から人影が飛び出し、


鬼神流きしんりゅう天馬脚てんまきゃく!」


 ただの蹴りで、ワイバーンを街から遠ざけた!!

 当然その隙を見逃さず、


「光弾!」

「スローナイフ!!」

「マジックアロー!」


 俺とヒュロス隊の連携でとどめを刺した。

 街への侵入を阻止出来た事に安堵しているところ、さっきの人と、魔法使いと思われる人物2名が、俺達の方へと駆け寄って来た。


「遅れて申し訳ありません。オンカイム隊、参戦します!」

「ルーツェン!助かる!!」


 隊長のオンカイムはいないが、それでもルーツェンはLv48、残り二人もLv46と、俺達よりも強い。

 だが隊長不在のため、当然ルーツェンたちはヒュロスにどうすればいいか指示を仰ぐ。

 彼は少し考えた後、範囲魔法を重ねるのではなく、この街道に並べるように放つのが良いかも知れないと答えた。


 なるほど、一か所に集中した場合、その場所で大ダメージは与えれるが、並べておけば、それだけ長く、範囲魔法のダメージを与えれるということか!!


 既に最初のサンダーストームの威力は切れかけていたため、二度目のサンダーストームを同じ場所へ。

 同じように、ファイアストームも効果が切れかけていたため、クィナは二度目のファイアストームを放つ。


 そんな範囲魔法の中でも、お構いなしという感じで進んでくる影が見えた。


「ファイアストーム!」


 オンカイム隊の魔法使いが、クィナの魔法に重なるか重ならないかぐらいの位置に魔法を放つ。

 Bランクの範囲魔法が三段並んでいる状態だ。

 どれだけ強い敵でも、かなりのダメージを負うはず。


「フリート様、MPが尽きそうです」

「そうか、青ポーションで回復して、範囲魔法はもう使わずにな」


 せっかく範囲魔法が3つ並んだが、既に二度の範囲魔法と、いくつかの攻撃魔法を使っているため、MPが切れそうなのも当然。

 むしろよく今までMPが持ったものだと感心している。

 だが、ヒュロスの作戦通り、今後はもう範囲魔法は使わず、個別撃破に回る事になった。

 クィナが青ポーションでMP回復したことをヒュロスに告げ、敵を待つ。


 ゆっくりだが、重々しい足音とともに炎の中から何かが来る。

 そこそこ大きいが一体どんなモンスターなんだ?

 やがて炎の中から出て来たのは、


「ゴーレム!!」

「ああ、ゴーレムだな、しかもマジックゴーレムだ」


 強さを見てみるとLv49となっていた。

 通常のゴーレムと何が違うかを聞くと、魔法で強化されているということだった。

 だが基本的には、物理で破壊するのは同じとの事だったため、


「超落下突き!!」


 ズゴーーーーーン!!


 トゥルニーの一撃で、あっけなく粉砕した。

 しかし、


「まだいるぞ!!」


 同じのが後6体!!

 ルーツェンは少し引き気味になっている。

 武器を持たない彼女にとっては、相性が悪いということだろう。


「俺のナイフじゃ、とても破壊出来そうにないなっ!」


 ルーツェン同様に、セルシャも少し下がる形となった。

 当然魔法は効かないため、このゴーレム共を倒せるのは、俺、トゥルニー、ヒュロスだけってことか…。


 俺たちがゴーレムと戦っている間、嫌がらせのように、


「サラマンダーだ!!」


 また新しいモンスターかっ!!

 炎をまとった大きなトカゲのようなモンスター、Lv52かっ!!

 残り4体までゴーレムを減らしたが、とてもサラマンダーの対応に行く余裕はない!


「アイスアロー!」


 クィナが魔法を唱え、それは命中したが、大した効いていないようだ。

 炎属性には氷が弱点とかっていうのが定番じゃないのかよっ!!


「ブレイクストライクッ!!」


 ズギャーーーーーン!!


 残り3体!!

 チラっとサラマンダーの方を見ると、10体近くもいるじゃないかっ!!


「千本桜!!」


 数には数を、という感じで、セルシャが無数のナイフを出現させ、サラマンダー共にナイフを飛ばしまくる!!


「グギャアアアアア!!」


 獣のような叫び声から、ダメージを与えているのが分かる。

 一体どのぐらい倒せたのだろうか?


「まだ何か来ますっ!」


 ルーツェンが叫ぶ!!

 まだ、あの範囲魔法を超えて来る敵がいるのか?

 ――いや、良く見ると、魔法の効果が弱まっているっ!!


「オーガかっ!!」


 マジックゴーレムの攻撃を避けつつ、オーガが来ると思われる方に目を向ける。

 Lv51と表示された敵が、20体ぐらい群れを成して向かってくるのが見えた!

 トロール程ではないにしろ、3メートルぐらいありそうな巨体、そして石で出来たような巨大なハンマーも持っている!

 あんなもの食らったら、ひとたまりもないぞっ!!


「俺に任せろっ!!グランドタイド!!」


 地面が盛り上がり、やがて高い壁となり、それはオーガに襲い掛かるように雪崩落ちて行く!!


 ズドーーーーーン!!

 という轟音と共に地面が揺れた!!

 もしかして全て倒したのか?

 オーガの方に注意を向けていると、


 バキンッ!!


「ぐっ!!」


 もろにゴーレムの攻撃を食らってしまい、何度も地面を跳ねる程、飛ばされたのだと理解する!!


「隊長!!」

「ヒール!!」


 直ぐに仲間の声が聞こえ、痛みも消えていく。

 シールドのお陰で致命傷にならず、咄嗟のヒールで痛みもほとんど無かった。


「大丈夫だっ!!」


 俺は声を上げるも、直ぐ隣にはガロンが立っていた。

 随分飛ばされたものだ。


「すまねぇ、俺達ではとても戦力になれそうもねぇ、それどころか下手に前に出ると、お前達の足を引っ張りかねないっ!」


 ふと、ガロンから声を掛けられる。

 彼も、今の状況を理解した上で、まだこの戦場に立っているのだろう。

 ――負けられねぇっ!!!


「光弾!!」


 地に膝を付いたまま、サラマンダーを攻撃する。

 直撃したからか、相当ダメージが入り、セルシャがとどめを刺した。

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