表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/42

第32話 最悪のタイミング

 マンイーターの枝や根は、ヒュロスの方ばかり攻撃をしているが、それでも、


「くっ!根が邪魔で近づけねぇ!」


 本体を中心に、何者も近づかせないように、不規則に動いている。


「燃やします!ファイアストーム!!」


 本体の根本を、炎が燃え盛るが、顔と思われる花の部分までは全く届いていない。

 逆方向からも、ファイアボールがドガドガと撃たれているが、やはり枝に阻まれ、顔部分は守られている。

 やはりあの花の部分が弱点なのか?


「光弾!!」


 ドゴーーン!!

 掌から放たれた光の弾は、枝に阻まれる事なく、モンスターの頭に直撃した!!


「その調子だ!何とか一瞬でもいい!隙を作ってくれっ!!」


 反対側から、指示が来た!

『一瞬』という事から、何か策があるのだろう。


「みんな!一斉に攻撃して、こっちに注意を向けさせるぞ!」


 俺はオーラブレイドで威力を高め、トゥルニーは宙に高く跳びあがった。

 クィナには、遥か高い位置にある顔を狙うように伝え、それを合図に攻撃を仕掛ける事にした。


「いきますっ!ファイアボール!」


 炎の玉が花の部分、つまり頭目掛けて飛んで行くが、やはり枝で弾かれる。

 お陰で、根本のガードが甘くなる。


「ブレイクストライクッ!!」


 ドゴーーーーン!!

 レベル差があるとは言え直撃だっ!!

 そこそこ削れているのが分かる。

 ――だが、


 ばしっ!!


「くっ!!」


 根が跳ねて、俺は後方に吹き飛ばされるも、


「トゥルニー!!」

「分かってますっ!超落下突き!!」


 枝を避けつつ、俺の攻撃した場所に追加攻撃という形で、

 ズドーーーーーン!!


「ギャァァァァ!!シャァァァッ!!」


 効いてるぞっ!!

 マンイーターは完全に俺達を敵と見なし、振り向き、まるで力を溜めるかのような動きを始めた!!


「何か来るぞ!距離を取れ!!」


 大きく後退し、敵の攻撃に警戒をした瞬間――!!


「ドミニオン・インパクト!!」


 ヒュロスの声が聞こえたと共に、マンイーターという大木が爆発するかのように破壊され、本体と思われる花の部分が落下し、


 ズドーーーン!!


「とどめを刺すぞっ!!鳳凰剣!!」

「流星乱舞!」

「マジックアロー!」


 間髪入れずに、ヒュロスは攻撃をし、今まで攻撃が届かなく出番が無かったセルシャも何かの技を放ったようだ。

 その二人の邪魔にならないように、魔法使いも火の魔法を使わず援護している。


 鳳凰剣の爆音しか聞こえなかったが、根の動きは徐々に弱まり、やがて完全に制止した。


「お疲れさん。フリートのお陰で助かった」

「役に立てたなら良かった」


 戦いが終わり、緊張が解けたのか、今になって疲労が出てきた。

 リリーのリフレッシュで疲労は回復したが、精神的な疲労は回復しなかった。


 それにしても、ヒュロスはまだあんな大技を持っていたのか…。


 ゲートでギルドに戻り、ヒュロスが依頼の報告を行う。

 報酬は30万Gだったので、半分の15万Gを俺達に渡してきた。

 …これが割に合うのかどうか、全く分からないが、俺達からすると高額だ。


 しかもこれだけ戦って、俺たちは誰もレベルが上がっていない。

 あまりダメージを与えてなかったからってことか?


 酒場に行く余裕もなく、さっさと宿屋へ戻り休む事にした。

 ベッドに転がり、先の戦いを思い出す。

 今の俺達ではどう足掻いても、あのマンイーターには勝てない。

 帰り際にヒュロスを見るとLv55となっていた。

 まあ、納得の強さでもある。


 ………。

 いつの間にか寝ていたようだ。

 外を見ると、薄暗くなっていて、霧も少しある。

 ちょうど日が沈んだばかり、といったところか。

 クィナとトゥルニーは既に起きていたようだが、表情からは起きたばかりといったところだろう。


 グ~ッと腹が鳴る。

 そういえば食わずに寝たんだったと思い出し、寝ているリリーを起こそうとしたが、起きそうで起きない。

 仕方なくクィナが寝たままのリリーを着替えさせ、俺が抱っこし、酒場へと行く。


 料理が運ばれると、匂いに釣られてリリーも目を覚ます。

 飯を口に運びながら、周囲の声に耳を傾ける。

 今日もいつもと同じように、オンカイムの話題だった。

 一昨日の時点で意識が戻ったという話を耳にしたものの、俺自身は実際見ていない。


「まだ傷が治っていないから、復帰まで最低1週間は掛かるって話だぜ」

「なんでも、巨大な魔獣と戦ったって聞いたぞ」


 意外と情報が出回るのは早いんだな。

 そんな事を思いつつも、食事を終え、仲間たちとだらだらと過ごしていると、


 カーンカーンカーンカーン!!!


 ――この鐘の音…まさかっ!!


「敵襲っ!!敵襲っ!!」


 なんてタイミングだ!!

 急いでギルドへ行くと、既にヒュロス隊がギルド長と話をしていた。

 他の冒険者も、その話が終わるのを今か今かと待っていると、話が終わったのか、


「今、敵の大群がこの街に向かっている!前回と同じく南側からだっ!!」


 現状から話し始めた。

 大群が来るまで、約1時間。

 発見が遅れたのは霧のため。

 今直ぐ、冒険者は南門の外へ集合と、全員へ指示を出した。


 南門の外へ行くと、前回同様に、各隊長がどうすればいいかをヒュロスに聞く。

 だが予め考えていたのか、手際よく次々と配置を決めて行く。


「俺たちはどこだ?」

「フリート隊は、そうだな…」


 かなり迷っているようだが、マップに丸を付け、ここだと答えた。

 そしてその横にもう1つ丸を付ける。

 どうやら、俺の隊とヒュロス隊が最前列で横並びになり、敵を止める形だ。


 30分程で、Cランクの冒険者は全員集まり、Dランクはまだ数隊来ていないのもあったが、前回の防衛戦を考えれば、逃げたくなるのも分かる。

 肝心のBランクは、オンカイム隊、ルグルス隊は未だチェックが付いておらず、来ていない事を意味する。


「オンカイム隊は分かるが、ルグルス隊はなぜ来ないんだ?」


 という不安の声が徐々に大きくなる。

 確か、2つ先の街の防衛任務に就いてたはず、しかも今夜がその戦いになる予定だから、来れるはずがない。

 ヒュロスも同じ事を考えていたのだろうが、もしかしたら、防衛任務が早く終わって戻って来る事に賭けていたのかも知れないが、


「ルグルス隊は…別任務で遠征に行っている。多分、この防衛戦には間に合わない!」


 意を決したように、後ろにいる冒険者達に声を掛けた。

 すると、それを聞いた冒険者たちは、更に不安を口にする。

 当然だろう。

 最大戦力と評価されたオンカイム隊だけでなく、ずっとBランクでやってきたルグルス隊も不在、俺達がBランクになったとは言え、まだ日も浅いし実績も無い。


 ――だがっ!!


「お前等!いつまでもオンカイムやルグルスに頼ってるんじゃねぇ!俺達でこの街を守るぞっ!!」


 不安を一蹴するようにガロンが叱咤する。

 それに呼応するかのように、リアギーもスラッドも声を上げ、連鎖的に激励へと変わっていった。


 彼らのお陰で不安はかなり解消されたものの、戦力不足という事実は変わらない。

 実際配置は、俺達とヒュロス隊の二隊だけが最前線、その後ろに、ガロン隊、左右にはリアギー隊とスラッド隊、更にその後ろに残りのCランク。

 南門の近くに正規兵とDランクの冒険者がいる形だ。


 そんな不安を察知してか、ヒュロスが声を掛けてくる。

 敵が見えたら、まず範囲魔法で数を減らす。


「今朝、マンイーターと戦っていたが、MPや疲労は大丈夫か?」


 今朝の戦いも気にしていたのか、俺達の状態を聞いて来た。

 直ぐに休んだ事や、その後も特に戦ってないことから、その点は問題ないと答えた。

 すると彼も安心したように、更に案を詰めてきた。

 MPが尽きたら青ポーションで回復し、その後は通常魔法で応戦。

 前衛である俺達は、敵を溜め込まないように、敵を減らして行く。


「もし前回よりも、敵が強かったり多かったりした場合は、逃げてもいい」


 最後にそう付け加えた。

 それは街を捨てる事を意味する。

 その言葉に、ディザーでの防衛戦を思い出す。

 俺たちが逃げたら、街が壊滅する。


「いや、逃げれるはずがない」

「…そうか」


 俺の覚悟を受け取ったのか、彼はそれ以上何も言ってこなかった。


 そろそろ敵が見えてきてもおかしくない頃だ。

 少し霧が掛かっているが、戦闘に支障はない。

 しかし、遠くの敵を見るには邪魔過ぎる。


 視認するより先に、地鳴りが敵の接近を知らせてくる。


「来るぞっ!!」


 ヒュロスの声に、一体どれ程の規模だろうか?

 と尋ねたくもなるが、彼だって知るはずもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ