第31話 共闘討伐
「サンダーストーム!!」
数多の落雷がトロールの群れを襲う。
しかし、巨人なだけあって、体力も高く、彼女の魔法だけで仕留める事は出来なかったが、
「旋風戟!」
前に出て来た敵を、槍で払い近づけさせない。
その間に、
「高速剣!!」
俺が1体ずつ仕留めて行く。
以前は一度使ったら、かなりの疲労感だったが、今ではこのスキルを使っても、そこまで疲労しない。
自分より高いスキルを使うと疲労が激しくなるのか、それとも単純に俺のスタミナが増えたのか、または、このスキルに慣れたのか。
そんな事を考えながら戦っていると、いつの間にか30近くいたトロールを全て倒しきっていた。
「いや~、私たちも強くなりましたね!」
「そうだな、長期戦にも慣れてきた感じだ」
「私はまだ、範囲魔法は2発が限界です」
「リリーも頑張ったよぉ~」
各々が成長を実感できるぐらい強くなっている。
そしてこれで、ギルドから受けた依頼のひとつを達成し、ゲートで戻る。
報酬を受け取るも、まだ昼前ということもあり、追加でもうひとつ依頼を受ける事にした。
「では、この割に合わない依頼ですが、どうでしょうか?」
「ん-、ハーピーの群れか、報酬はたったの3万G」
割に合わないという事は、本来であれば、6万Gぐらいの依頼だろうか?
強さ的に問題ないと考え、依頼を引き受けた。
東の山を登って行くと、直ぐに群れは見つかり、アナライズを使うとLv34と出ていた。
確かに、この数、飛行モンスターと考えれば、割に合わない。
しかし、
「光弾!」
「ファイアボール!」
アーチャーはいないが遠距離攻撃を駆使すれば、問題なく倒せる。
しかも、
「やあっ!!」
ザクッ!!ズバッ!!
飛行能力を持つトゥルニーは、ずっと飛んでいられる訳ではないが、空中でも旋回する事が出来るため、接近戦で戦うことも出来る。
最後の敵を倒すと、
「流石に数が多いから疲れたな」
「そうですね、私もMPが空になりました」
一応アナライズでレベルが上がったかどうか見るも、俺はLv43、トゥルニーとクィナはLv41で1個ずつしか上がっておらず、リリーに関してはLv39のままだった。
ダメージを受けることがないから、こればっかりは仕方ない。
ゲートで戻り、依頼を報告。
酒場で飯を食って、宿屋に戻る。
「何か、物足りないな」
「何がですか?」
不思議そうに聞いて来るのも無理はない。
実際依頼は順調だし、多くのモンスターも倒している。
連携も上手く取れ、あっさり倒してしまえる事に不満はないが、時間が余る。
ギルドの依頼がどのぐらい溜まっているかも気になった。
翌日、依頼は一体どのぐらい溜まっているのか。
もちろんAランク以上の依頼を除いて、教えて欲しいと言うと、
「そうですね~、1000ぐらいでしょうか」
予想以上に多かった…。
しかしその大半が、Eランクでも出来そうな、探し物の依頼や、街から距離の離れた依頼、つまり他の街ではこなせないものだった。
「なら、Cランクが引き受けないような依頼を俺たちに回してくれ」
「は、はい。分かりました」
オンカイム隊の代わりになれるとは思わないし、ヒュロス隊やルグルス隊の強さも無い今、無理にBランクの依頼をこなすよりは、ガロン達がこなせない、引き受けないような依頼を片付けた方が良いと判断した。
そして意外にも、その依頼は多く、次々と頼まれる事になった。
疲労と相談し、1日に2件しかこなせない時もあれば、5件こなす時もあった。
とにかく依頼の数をこなすという日々を1週間程度続けていると、以前のようにギルドの応接室へ呼ばれた。
そこにはギルド長の他、ヒュロス隊が既に席に着いていた。
そんな彼は、席に座ったまま、顔だけ向け、
「久しぶりだな、だいぶ活躍していると聞いている」
「いや、簡単な依頼をこなしてただけだ」
と素直に答えた。
俺たちが席に着くと、ギルド長は話し始めた。
西の洞窟付近にマンイーターが出現したので、至急討伐して欲しいとの事だった。
確か西の洞窟は、かなり簡単な洞窟。
つまり、放置しておくと、西の洞窟に向かった冒険者が被害に遭う可能性が高いということか。
俺がそう聞くと、街にも近いと付け加えてきた。
「ヒュロス隊だけでは倒せないから、俺たちを呼んだって認識であってるのか?」
「はい」
「だったら、俺達より、ルグルス隊の方がいいんじゃないか?」
当然の疑問を投げかけると、ルグルス隊は、2つ先の街まで行き、防衛任務に就いているとの事だった。
昨日出発し、今夜街の防衛戦になる見込みらしい。
何というタイミングの悪さ…。
確かに俺達は、遠くに行くのは嫌っていたし、数多く依頼をこなすと言ったから、2つ先の街となると、かなりの移動時間になる。
そして、ヒュロス隊だけで討伐出来ないモンスターが現れたというのだから、タイミングが悪いとしか言えない。
当然、俺達が拒否すると、ヒュロス隊だけで戦う事になるため、
「まあ、あまり戦力になるとは思えないが、引き受けよう」
こうして、ヒュロスが指揮を執り、俺達はサポート役としてマンイーター討伐に赴く事になった。
歩いて1時間程で、西の洞窟に着き、そこから更に十数分移動したところに、巨大な樹があった。
高さはどのぐらいあるか分からないぐらいの大きさで、枝と思われる部分は鞭のように地面を叩き、根と思われるものも、常に動いていた。
「こいつだ」
「なるほどな…」
確かに、いくらヒュロス隊が強いと言っても、この巨体というか、枝や根の数を相手にするのは骨が折れそうだ。
アナライズで見てみるとLv60と表示されていた。
俺のレベルが44、トゥルニーとクィナが43でリリーが40と考えると、本当に何が出来るんだ?というぐらい絶望的なレベル差だ。
「強そうですね」
「…ヒュロス、俺たちは何をすればいい?」
なまじ敵の強さが見えているから、何をして欲しいかを聞くぐらいしか出来なかった。
俺の問いに、挟撃をして欲しいと言ってきた。
もちろん、俺達の攻撃が致命傷になるはずもないのは分かっていたのか、ある程度、注意を引きつけて欲しいということだ。
「もし、隙があれば、枝や根を攻撃してくれると助かる」
確かに、敵からは俺達の強さは分からないだろうし、枝や根の攻撃が分散されるだけでも、ヒュロス隊は攻撃しやすくなる。
しかし、この植物の敵、明らかに口がある。
食虫植物ってやつか?
「みんな、あの口から何か出してくるかも知れないから、それも注意しながら敵を引き付けるぞ!」
「はいっ!」
俺達の方も作戦が決まったと見てか、ヒュロスが移動の合図をする。
俺たちは右へ、ヒュロス達は左へ、根に気を付けながら、上手く挟む形になった。
「小手調べだっ!疾風剣!」
遠距離攻撃だが、相手は移動速度は速くない。
もしかしたらダメージが与えれるかもと、淡い期待をしていたが、
バシンッ!!
剣圧が見えているかのように、俺の攻撃を枝が弾いたっ!!
「任せてくださいっ!当たれば熱い!ファイアボール!!」
今度は弾く事が難しい、ファイアボールだ!
しかしそれもお構いなしという感じで、枝で弾いてくるが、
ボッ!!
炎は弾かれる事なく、枝に引火した!!
ダメージがあるのか、枝がビュンビュンと動き回る!!
「効いているぞっ!!」
マンイーターがこっちを向いたような気がした。
それを待っていたかのようにヒュロスは、
「鳳凰剣!!」
マンイーターの頭目掛けて、気で作った鳥を放つ!!
直ぐに直撃し、大きな爆発音と共に、根まで暴れ出した!!
「オーラブレイド!!高速剣!!」
少しでも削ろうと、根の切断に成功。
とは言っても、本当に先の方だけだ。
ダメージが入っているかどうかは不明。
「強撃!!」
トゥルニーの槍も根を狙うが、上手く貫通したものの、そのまま槍は抜けず、
「うわぁぁぁ~~~」
敵の根が、大きく暴れ、彼女は吹き飛ばされてしまった。
だが、飛行能力があるため、地面に激突することなく、上手く着地をしていた。
ヒヤっとしたぜ!!
「無理はしなくていい!リリー、全員にシールドを!」
「はいです~。シールド!!」
これで一発なら致命傷になることもないだろう。
ヒュロス隊も攻撃をしているが、火力差があり、マンイーターの標的か完全にヒュロス隊に向いていた。




