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第30話 ギルドの役目

「うおおお!!ブレイクストライク!!」


 一番手前にあった石材に、渾身の一撃を喰らわせた!!

 バコーーーーンッ!!

 と、派手な音を立て、石は粉砕されたが、


 ガラガラガラガラッ!!


 地面に転がっていた石材が、誰かの手で組み立てられるかのように、瞬く間の人型のゴーレムの形となった!!

 しかし、腕の一部が無い。

 さっき俺が攻撃した部分が腕だったのか、それとも、適当に組み合わさってるだけなのかは分からないが、今、目の前のゴーレムは、明確に戦う意志がありそうな感じがする。


 3メートル以上ありそうな巨体が腕を振り上げ、そして振り下ろす。


 ズドーーーン!!


 ただの石だが、食らえば致命傷になるのが明白な程の威力!!


「光弾!!」


 顔面目掛けて光の弾を飛ばす。


 ドガーーン!!


 と爆発するも、威力が足りないのか、全く効いていないっ!!

 ――しかしっ!!


「超落下突き!!」


 高く跳んでいたトゥルニーが、猛スピードでゴーレム目掛けて落下して行き、

 ズガーーーーーンッ!!

 脳天直撃!!

 ストーンゴーレムを真っ二つに貫いたっ!!


 ズドーーーーーンッ!!

 ゴーレムはそのまま左右に割れたまま地面へ倒れるように、石材が地面へと落ちていった。


「…倒したのか?」

「…どうでしょう?」


 念のためにアナライズを使うと、何も表示されなかった。

 Bランク試験と思ってかなり警戒していたのに、こんなにあっさり倒せてしまうものなのか?

 ――いや、レベルは44と考えれば不思議はないか。

 それに、ゴーレムを破壊する攻撃力が無いと、倒せないだろうし、実際魔法は効いていなかった。

 今後は相性とかも考えるべきだろう。


「大丈夫だ。倒した」


 俺は剣を納めると、一緒に戦ったトゥルニーも安堵したように、力を抜いた。

 少し不満そうな顔をしたクィナ、喜んでいるリリーと合流し、ゲートで戻る。


 ギルドへ戻り、受付嬢に報告。


「おめでとうございますっ!」


 とだけ言い、直ぐに報酬を渡してくれた後、手続きに入った。

 まるで合格するのを分かってたかのように待っていたように思えた。


 2Fで待っていると、受付嬢が新しいギルド証を持ってきた。

 黒いプレートだが、プレートを保護するように銀色のフレームが付いていた。

 少しカッコイイ!


「それにしても、俺たちがBランクか…」

「本当に凄いです!」


 ヒュロスと最初に出会ったのはDランク成り立てだった。

 もちろん今でも実力差はあるが、同じBランクというステージまで来たぞ!!

 そう考えると、やっと自分達が強くなったと思える程の実感が出てきた。


「今日は昼も過ぎてしまったので、明日から依頼をお願いすると思いますので――」


 そういえば、そんな話もあったな。

 Bランクになると、今までのようにボードから依頼を選ぶのではなく、ギルドから依頼をお願いされるんだったな。


 その日は酒場で豪華な飯を食い、早々に宿へと戻った。

 まだ日も暮れていないせいか、ガロン達とは会えなかったが、明日になったら何って言われるだろうか?

 だが今は、試験に受かった事を仲間と分かち合う時間が何より大事だった。


 翌朝になり、少し余裕を持ってギルドへと出向いた。

 中に入る前から、ギルド内が少し騒がしい。

 これは、俺達がBランクになったからと、噂で持ち切りなのだろう。

 いやぁ~、参ったねぇ~~!!


 意気揚々とドアを開け、中に入ると、冒険者たちの目が俺に向く。

 直ぐにガロンが近づいてくる。

 ふっ、待ってたぜ!!


「おい、フリート!」

「ああ」

「オンカイムが負傷したって知ってたのか?」

「――え?」


 一瞬、何か聞き違いをしたかと思っていたが、周りの話し声にも耳を傾けると、オンカイムの話題ばかりだった。


「今もまだ意識が戻っていないらしいぜ」

「一体どんなモンスターが…」

「そんな奴が攻めてきたらどうすれば?」


 不安と焦燥の声に溢れており、とても俺達がBランクになった事を祝うような雰囲気ではなかった。

 いや、しかし…あのオンカイムがやられるなんて事…あるのか!?


 とても信じられないという思いで、ガロンを押し退け、受付嬢のところへ行き話を聞きに行くと、


「こちらへ」


 と、応接室のようなところへ招かれた。

 少し立場の高そうなギルド員が椅子に座っており、対面に座るよう促され、席に着いた。

 まずは自己紹介から始まり、目の前の者が、この街のギルド長だと言う事が分かった。

 そのまま男は本題に入った。


 オンカイムには討伐依頼を出していて、戦闘中に負傷したということ。

 負傷理由は、副隊長からの報告で、自分を庇ったかららしい。

 戦闘継続不能と見て、仲間は全員ゲートで戻ってきており、現在オンカイムのみ教会で治療中ということだった。


 そこで一旦話が止まったので、今度は俺の方から質問を投げかけた。


「この話は他冒険者には?」

「まだ伝えておりません」

「なぜ俺達にだけ?」

「あなたたちだけでなく、Bランクの冒険者の方々にはお伝えしております」


 Bランクだから特別扱いなのか?

 良く分からないが、話に続きがありそうなので、そのまま話を聞く事にした。


 ギルドは、オンカイム隊が最大戦力と評価していること。

 そのオンカイム隊が動けない今、どうやって依頼をこなしていくか、予定を調整している最中だと言う。

 まるで、オンカイムの代わりはいくらでもいる、そんな風にも聞こえ、苛立ちを覚え、


「そんなに依頼が大事ですか?」

「はい。依頼を引き受け、達成するのがギルドの役目ですから」


 依頼を達成するためなら、俺達に死ねと?

 無茶な内容をオンカイムに押し付けたのかっ!?

 怒りに任せ、まくし立てるように言うも、ギルド長は黙ったままだ。

 俺の言葉が止まったと見て、


「誤解なさらないで下さい。我々としても、冒険者がいないと依頼は達成できません。どのランクの冒険者でも大事に思っており、その冒険者が達成できると見込んで、依頼をお願いしています」


 言われてから、少し冷静さを取り戻す。

 確かにCランクまでは依頼は冒険者が選んでいたし、報酬額もある。

 ギルドからお願いされたこともあるが、無理強いは無かったし、断っても良い感じもあった。

 だからきっと、オンカイムにお願いした依頼も、こなせると思っての判断だろう。


 そこまで考え、結局、なぜここに招かれたのかを尋ねると、


「Bランクになられたばかりですが、ギルド側からの依頼を出来る限り引き受けて欲しいということです」


 続けて男は、その理由も述べた。

 オンカイム隊が動けない以上、依頼が滞るのは必至。

 それまではヒュロス隊を最大戦力として考え、ルグルス隊、そして俺達の隊にも依頼をお願いすることになると言う事だった。


 この街の人々は、ギルドを頼って依頼を出す。

 それを放置すれば、ギルドの信用も落ち、住民が不安になる。

 そうならないように、ギルドは達成可能な依頼は、完遂させたい。


 話は分かったが、俺達も無理はしたくない。

 しばらく考える。


「まず、オンカイム隊の復帰には、どのぐらいの期間が掛かるのか知りたい」


 この問いに対して、早くても2週間、長引けば1か月以上と、オンカイムの回復力次第と言われた。

 次に、


「依頼に関してだが、ダンジョンや調査は苦手だし、ある程度こっちで選ぶ権利も欲しい」


 俺からの条件も、意外とあっさり引き受けてくれた。

 なぜあっさり引き受けたのかを問うと、


「ギルドとしては、依頼をこなしてくれるだけでも有難いのです。依頼の中には割に合わないものも数多く存在します」


 言われてみると、確かに割に合わない依頼はいくつかあったな。

 つまり、割りに合わないからと誰もやらずに残るよりはマシ、という感じだろう。


 ある程度納得した上で、オンカイム不在の間、出来る限り依頼を引き受けることを約束した。


「では早速ですが――」


 今度は受付嬢が、依頼書を出してきた。

 報酬額が4万Gから10万Gと、Cランクの依頼も混じっているように思える。

 しかし実際、依頼内容を見てみると


「山にトロールの群れが見つかった、討伐して欲しい、報酬4万G…か」


 これをCランクがやるとなると、相当厳しいし、割りに合わない。

 なるほど、俺達がやる依頼は、こういう割に合わないものということか。

 しかし他にこなせる隊がいないなら仕方ないと、自分を納得させた。

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