第28話 武器って見た目大事なの?
リリーのリフレッシュを受け、スタミナは回復したものの、若干の気怠さは残った。
街に戻ると、酒場へと連れていかれた。
「いや~、あんたら強いなぁ~!」
「全くだ、俺達の出番全く無かったからな!」
街の防衛に成功したか、これは宴会か?それとも祝杯だろうか?
ただ、歓迎されているのだけは分かる。
どのぐらいの時間が経っただろうか、一人、また一人と酒場から去って行き、やや落ち着きを取り戻した頃、
「フリートさん、そして仲間の方々、ノキュル隊長に代わり感謝します」
例のアーチャーが近づいて来て、頭を下げてきた。
だが、
「いや、こちらこそ助かった。君がいなければ、敵の位置も数も分からなかったし、レッサーデーモンに勝ててたかどうかも怪しかったからな」
「そう言われると、少し照れます。申し遅れました。私の名はエディム。副隊長をやっています」
青年はそう言うと握手を求めるように手を出してきたので、俺も握り返した。
背丈は低いが、アーチャーなら関係ないのだろう。
自然とアナライズを使ってみると、Lv28と普通に強い。
その後、ノキュル隊の話を少し聞いた。
基本的にはメンバーが攻撃をし、隊長がとどめを刺す。
今回トロールに突っ込んでいったのも、倒せると思っての行動だったと述べた。
一通り話も終わったところで、
「ところで今夜はどうしますか?宿に泊まって行きますか?」
「あー、いや、帰る」
「帰ると言っても、この時間に馬車は走っていないですよ?」
そんな不思議に思っている彼に、ゲートを見せる事にした。
少し驚いていたが、どこか納得したような顔で、
「また、どこかでっ!」
そう手を振ってくれた。
……そして俺たちは、レギュンの街へと帰って来た。
ギルドに寄り、依頼結果を報告。
マンティコア、コカトリス、トロール、そしてレッサーデーモン。
それらを倒した事を伝えずにはいられなかった。
だが、受付嬢は少し困った顔をしていた。
その表情を見て冷静になり、宿屋へと戻る事にした。
「はぁ~、俺達がどれだけ頑張ったかを話しても、実際戦っていない人からすると、分からんもんだな」
「そうですね~」
意外と冒険者は孤独なのかも知れん。
そしてレッサーデーモンとの戦いを思い出す。
知能もあり強さもあった。
エディムが隙を作ってくれなければ、倒せてたかどうか…。
…そういえば、
「なあクィナ、アイスアローを3本同時に撃ってたが、あれってどうやったんだ?」
戦闘時は必死で特に何も思わなかったが、今思えば不思議に思った。
俺の問いに対し、
「以前、無言で魔法を使う練習をした時に、形とか変えれないか試してみたんです」
と前置きし、氷の形を変えたり、分割したり、何が出来るかやっていたという。
アイスアローはそれが出来たものの、ファイアボールやライトニングは分割できなかったとも答えた。
そして今回の戦いでは、威力よりも命中重視にしたかったため、3本に分けて放ったということだった。
「魔法って便利っすね~。私のスキルなんて工夫しようと思ってもどうにもならないですよ~」
「そうか?旋風戟での足払い、良かったぞ」
まあ、相手がトロールだったってのもあるが、今後も応用で使えそうとは思った。
その夜、俺はクィナの足にしがみつきながら寝た。
そして朝になり起きるも、いつの間にか枕を抱きかかえていた。
これが変わり身の術ってやつか?
昨日のような気怠さはすっかり消え、気分も良い。
新しいスキルを覚えているような感覚もある。
俺自身はLv42、トゥルニーとクィナはLv40、リリーは39となっていた。
一応みんなにも新しいスキルや魔法の感覚があるかと聞いたところ、
「あるかも」
「ありそうな気がします」
「あるですぅ~」
と答えるが、こうも一緒だと、本当にあるのかどうか怪しい。
周りが言ってるから言っておこう的な?
街の外へ行き、新しいスキルが使えるか試してみる。
「光弾!!」
俺がそう口にすると、光の弾が掌から飛んで行き、遠くの地面に当たり爆発した。
遠距離攻撃で威力もかなりありそうだ。
疾風剣と違って、剣を振らずに出せるのはいいが、視認できるため避けられる可能性は高そうだ。
そして連発出来るか試してみたが、それは無理だった。
さて、他の者はどうだろうか?
トゥルニーは何か凄い高く跳んでいる、新しいスキルか?
リリーは、両手を前に出し、何かやってるようだが、何をしているのかさっぱりだ。
クィナは、杖を前にし、
「サンダーストーム!!」
そう声を出すと共に、遠くでいくつもの落雷が発生した。
あれは確か、ヒュロス隊の魔法使いが防衛戦の時にやってた魔法だ。
雲もないのに落雷地帯が発生しているっ!!
「凄い魔法だな」
「はい、ダンジョンで使ってみたいですっ!」
…この子はたまに変な事を言う。
次に、何をやってるかさっぱりわからないリリーに声を掛ける。
新しい魔法が何なのかを知りたいからだ。
しかし、新しい魔法という感じではなく、
「ヒール!」
と、俺に向かって唱えた。
癒されている感があり、ヒールを使われたのは分かる。
ただいつもと違い、手の届かない距離から使っている。
「隊長~、どうですか~?」
「ああ、遠くからでも回復出来るようになったのか」
「はいです~」
これはかなり嬉しい。
俺やトゥルニーのような前衛は、敵と近い距離にあるため、回復したくてもリリーは近寄れなかったからだ。
その後も、どれだけ遠くから出来るかも試してみたが、距離が遠くなればなる程、効果が落ちる感じはしたが、これは何度も回復を受けているからだろうか?
最後にトゥルニーだが、凄く高く跳んでいる。
10メートル以上跳んでいそうな気がする。
そのまま落下してくるかと思えば、降下中に軌道を変えたりもしていた。
「もしかして飛べるの?」
降りて来た彼女に聞いて見るも、飛べる訳ではなく、空中でも移動が出来るという事だった。
しかもそれが当たり前のように出来るため、スキルは常に発動しているような状態。
パッシブスキルってやつかっ!?
ずるいっ!!
本人曰く『飛行』というスキルだと言う。
更に、再び高く跳んだ後、
「超落下突きっ!!」
落下を加速させ、そのまま地面に激突!!
ドゴォォォーーーーン!!
という轟音と砂煙をあげるも、トゥルニーは何事も無かったかのように、ひらりと跳んで戻って来た。
そして轟音のあった場所は、小さなクレーターが出来ていた。
凄い威力だ…。
俺のブレイクストライクより威力が高い!
ずるいっ!!!
「あっ!!」
俺がずるいずるいと思っていたら、ずるい女が何かに気付いたように声を上げる。
彼女の視線は槍の先端だった。
その視線を追うように槍を見てみると、ハルバードの特徴でもあった斧の部分が、グニャリと曲がっていた。
どうやら、さっきの超落下突きの威力に斧部が耐えれなかったのだろう。
「新しい槍を買うか」
「ごめんなさい」
「いや。謝る事じゃない。強くなった証拠だ」
新しいスキルや魔法も身に着いた事だし、武器屋へ移動。
もちろんトゥルニーの新しい槍目的だが、一応各自、良さそうな武器があれば買い替える事にした。
「隊長!これが欲しいですっ!」
「どれどれ"ウィングド・スピア"か。価格は35,000G」
高いが、今の俺達なら買えない事もない。
何より、穂先の根元に翼のような飾りが付いているのが特徴。
――まさかっ!!!
この飾りが気に入ったのかっ!?
「いいぞ、買ってやろう」
「わーい!!ありがとうございま~す!!」
気に入ったなら仕方ないよな!!
次にリリーが俺を呼ぶ。
"ハートフルスタッフ"という名の通り、杖の先端がハート型になっていて、まるで前世の玩具のようだ。
この世界では違うかも知れんが、そう見えてしかない。
「いいぞ、買ってやろう」
「ありがとうですぅ~」
この笑顔のために5万G散る。
最後はクィナだ。
真剣な眼差しで杖を見ている。
そして何かを決意したように、
「フリート様、私はこれを」
完全に買ってもらう前提で俺の目の前に杖を持ってきた。
"サファイアロッド"4万G…。
魔法系の杖、高くない??
まあ、買うけどさ~~。
最後に俺は、バスタードソードを手にした。
ロングソードと同じぐらいのリーチがありつつ、重量感もあり、両手持ちも出来る。
周りからは可愛くないと言われるが、関係ねぇ!!
3万G払って購入。
そして、今まで使ってた装備は買い取って貰った。




