第27話 ディザー防衛戦
無数のモンスターの群れと思われる影が近づいてくるのが分かる。
「クィナ!!」
「はいっ!!ファイアストーム!」
敵の群れを炎が焼き尽くす。
今までの経験から、レベル30以下や体力の低い敵なら、これ一発でほぼ倒せる。
問題は、残った敵だ。
そんな炎の中から最初に出てきた敵は、大きな獣のようなものだった。
「マンティコアだっ!」
直ぐ後ろにいる冒険者から声が上がった。
アナライズを使うとLv36と出ている。
尻尾にある毒にさえ気を付ければ難無く倒せる相手だ。
そう思って一歩踏み出そうとした時、
「コカトリスも来てるぞっ!」
後ろから発せられた声に、辺りを見ると、闇夜に紛れる形で、飛行モンスターも確認できた。
Lv43と表示された事から、マンティコアより強いモンスターだ!
それにしても、俺でも気づかなかった敵を、ノキュルは気づいていた。
何かのスキルだろうか?
「任せてくださいっ!ライトニング!」
闇を貫く閃光が、そのまま飛行モンスターをも貫くと、力を無くすかのように落下した。
倒したのか、麻痺ったのかは分からないが、この戦いでクィナはかなり重要位置にいるのが分かる。
「ていっ!!」
「ギャオオオッ!!」
マンティコアを斬り、まずは一体。
その奥には、さっき魔法で撃たれて落ちたコカトリスが立ち上がろうとしている。
とどめを刺しに行きたいが距離が遠い。
それに、
「隊長!一気に来ました!どうしますか?」
マンティコア4体、コカトリス2体か。
見逃している可能性もあるが、俺が確認できたのは、それだけだった。
「なるだけ引き付けて倒すぞ!」
「分かりましたっ!」
「シールド!!」
状況を理解したのか、リリーが俺たちに魔法をかけてくれた。
どのぐらい耐久性があるかは分からないが、致命傷は避けられるはず。
それに、マンティコア相手ならスキルを使わずとも一撃で倒せる。
コカトリスはクィナのライトニングで動きを封じてからとどめを刺せばいい。
――いけるっ!!
俺の予想通り、マンティコアはほぼ一撃で倒し、コカトリスも魔法攻撃後にとどめを刺し、意外とあっけなく全滅させれた。
ザクッ!!
「これで全部か?」
俺が後ろに控えているノキュルに聞くと、
「いえ!まだ来ますっ!!」
「どこからだ?」
俺がそう問うと同時に、地面が揺れ、地中から巨大モンスターが現れた。
すかさずアナライズを使うもLv25!
良く見ると、サンドワームだった!!
ここは砂漠じゃないのに、なぜこんなところに?
「強撃!!」
いち早くトゥルニーが反応し、一撃でしとめる。
当時は大苦戦した相手でどうなるかと思っていたが、やはりレベルの通りの強さってことか。
その後も3体現れるも、今の俺達の敵ではなく、あっさり倒しきる。
既にファイアストームの炎は消え、残党がいるかを確かめる。
「まだいるか?」
「はい!まだ遠くですが、来てます!」
俺は少し下がり、そのノキュル隊と合流する。
どうやって敵を見ているかを聞くためだ。
すると、
「仲間のアーチャーがサーチスキル持ちなんです」
詳しく話を聞くと、目視出来なくても、何となく敵がどこにいるかが分かるというスキルだと言う。
そういえばルグルス隊にもアーチャーがいたな。
見えないところの敵が分かるのは、かなり便利だ。
逆にダンジョンとかだと範囲魔法なんてほとんど使えないから、俺達には不向き。
「見えました!隊長!トロールですっ!!」
はっ!!
俺は戦いの最中に何を考えていたっ!!
仲間の声で意識を戦場に戻し、敵を見る。
身長4メートルはありそうな巨人が5体もっ!!
「うおおおおっ!!オーラブレイドッ!!トゥルニー、隙を作ってくれ!」
「分かりましたっ!!旋風戟っ!!」
本来であれば、敵を一掃する技だが、相手が巨体であったため、上手く足払いとなり、トロール共は態勢を崩す。
「ブレイクストライク!!」
「おおおっ!!アクススマッシュッ!!」
好機と見たのか、ノキュルも参戦するが、威力が足りていないっ!!
「逃げろぉぉぉ!!」
「――え?」
ドゴッ!!!
ノキュルの攻撃を受けたトロールだったが、ほとんどダメージが無かったかのように棍棒を振る。
その攻撃をモロに受けた彼は、後方まで吹き飛んでいった!!
「リリー!」
「はいですぅ~~」
指示を出した俺を次の標的と見たのか、
「オオオオオォッ!!」
「ぬおおっ!!稲妻斬り!!」
棍棒を振ってくるが、咄嗟に高速移動スキルで回避しつつ、攻撃を加える。
倒しきれてはいないがダメージは与え、そのまま別のトロールに、高速剣を放つ。
トロールたちの注意が俺に向いたのを見てか、
「落下突きっ!!」
ズドーーーンッ!!
2体目はトゥルニーが撃破した。
「ライトニング!」
電光が巨体を貫く!
しかしダメージはほぼ無かったのか、それとも体力が高いのか、トロールの標的が変わる。
「ブレイクストライクッ!!はぁ…はぁ…クィナ!こいつらは俺とトゥルニーで倒す!!」
「わ、分かりましたっ!」
隙を見て赤ポーションで体力を回復し、残りのトロールも倒しきった。
深く息を吐き、リリーの元へ行く。
「す、すまない…」
ノキュルが俺に声を掛けた。
つまり生きていた事に俺は安堵した。
だが、鎧は割れ、未だ横になっているところを見ると、完治していないように思える。
「リリー、ヒールは?」
「使いましたぁ~。でもこれ以上治らないですぅ~」
ふむ…回復に限界があるのは回数だけでなく、傷とかもそうなのか。
今まで、瀕死になるようなダメージを受けた事が無かったから気づかなかった。
やがてDランク冒険者が駆け付け、ノキュルを街の方へと運んで行く。
俺達も戦いが終わり、戻ろうとしたが、
「まだ一体きますっ!!」
ノキュル隊のアーチャーが叫ぶ!
しかし1体来たところで…いや、こういう時は決まって強敵が来るのかっ!?
何かが凄い勢いで、こっちに向かってくるのが分かる!!
――あの形はっ!!
「グレーターデーモンかっ!?」
一瞬背筋が凍ったが、以前見た悪魔よりは二回り小さい。
アナライズで確かめるとLv50と表示されていた。
「あれは、レッサーデーモンですっ!!強敵ですっ!!逃げましょうっ!!」
例のアーチャーが、俺たちに告げるも、正直迷っていた…。
『今の俺達なら倒せるのではないか?』と、心の中で思ってしまったからだ。
「はああああっ!!オーラブレイドッ!!トゥルニー!!クィナ!!リリー!!奴を倒すっ!!」
「分かりましたっ!!」
「はいっ!!」
「シールド!!」
仲間たちは誰一人として逃げる事なく、俺と共に戦う道を選んでくれたようだっ!!
シールドも張り直してもらったし、一撃で即死ということは無さそうだ!!
「足を狙いますっ!アイスアローッ!!」
3本の氷の矢がデーモンの足目掛けて飛んで行くも、あっさりジャンプで避けられる。
だがそれでいいっ!!
「高速剣っ!!」
ガガカキンッ!!
ドゴッ!!パキンッ!!
くっ!!足を狙ったのに、蹴りで防がれ、そのまま反撃までされてしまったっ!!
シールドのお陰で致命傷は避けられたが、それでも多少ダメージは受けた!
「シールドッ!!」
「落下突き!!」
再びリリーがシールドを掛けると同時に、トゥルニーが頭上から攻撃を仕掛ける!
しかし、槍は頭に届かず、デーモンに捕まれ、そのまま放り投げられてしまった!!
「うわぁ~~~…」
「助けに行くですぅ~」
くっ!!だいぶ遠くに飛ばされたなっ!!
合流は難しい!!
俺とクィナ、リリーとトゥルニー、完全に分かれてしまったっ!!
「ファストアロー!」
後ろから声が聞こえたと思った瞬間、
ザクッ!!
「グオオオオッ!!!」
デーモンの目に矢が刺さっていたっ!!
例のアーチャーの攻撃だっ!!
どこから放ったのか分からないが今が勝機っ!!
「稲妻斬りっ!!」
デーモンの死角となる方へ駆け抜け、足を斬るっ!!
スパッ!と手応えはあり、膝を付かせたっ!!
「ファイアボール!」
「強撃っ!!」
呼吸を合わせるかのように、二人が同時に攻撃を繰り出す!
ファイアボールは片手で弾かれたが、槍はデーモンの胸を貫いていた。
痛みで更に吠えるが、
「終わりだっ!!ブレイクストライクッ!!」
ズバッ!!!
俺の剣はデーモンの胴を切り裂き、この戦いは幕を閉じた。




