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第25話 オンカイム vs ヒュロス

「いよいよ決勝戦です!決勝まで勝ち進んだのは、優勝候補1位のオンカイム選手と2位のヒュロス選手!」


 観客に向かって、司会が盛り上がるように二人の紹介に入った。

 同じ冒険者だから二人の事を知っているっていうのもあるが、冒険者と関りがある、ギルドと関りがある、興味がある、と言った程度でも、この二人は有名なようだった。


「フリート様、どちらが勝つと思いますか?」


 ふと、隣からそんな質問を投げられた。

 直感ではオンカイムだが、今までの戦いを考えてみる。


 オンカイムはスキルらしいスキルを使っていないため、強いのは分かるが、具体的に何が強いのかが分からない。

 一方ヒュロスは、ルグルスとの戦いで見せたスキル、特にグランドタイドという防御も回避も不能な攻撃を見せた。

 だが、あんな強力なスキルは当然疲労もあるだろうし、あとどのぐらい使えるのだろうか?


 そこまで考えてから、


「基本的にはオンカイムの方が強いだろうが、ヒュロスのグランドタイドを破れるのかどうかじゃないか?それでも直感的にはオンカイムが勝ちそうな気はする」

「隊長はオンカイムさんなんですね。私はヒュロスさんが勝つと思ってたっす」


 トゥルニーと予想が割れた。

 この俺の予想に異を唱えるとは、生意気な小娘め!!

 と、内心思ったが口に出さない俺は大人!!


「リリーはどうどっちが勝つと思う?」

「う~ん、隊長と同じで、オンカイムさんです~」

「偉いぞリリー」


 リリーを仲間に付けれて俺は満足した。


 そして紹介も終わり、いよいよ決勝戦が始まろうとしている。


「それでは、決勝戦………開始ですっ!!!」


 開始の合図とともに観客席から一斉に声が上がる。

 応援なのか何なのか良く分からないぐらい、色んな声が飛び交っていたが、選手である当人たちは構えながら未だ動きがない。

 しかし、


「お前と戦うのは初めてだな」

「ああ、だが勝たせてもらうぞ、オンカイム!」


 二人が短く言葉をかわす。

 その言葉からは両者が互いに実力を知っているようにも思える。

 先きに動いたのは――


鳳凰剣ほうおうけん!!」


 ヒュロスだった!!

 剣を横に振ると、大きな鳥のようなものがオンカイム目掛けて飛んでいった!

 あれも気なのか?

 俺のオーラブレイドも気だが、その使用量が違う。


 そんなオーラの塊のような鳳凰剣だが、オンカイムは大きく横に避ける。

 しかし気の塊の鳥は、戻ってくるように再びオンカイムに襲い掛かる!


「ちっ!!」


 オンカイムが少し舌打ちをしたように思えたが、次は避けずに剣を振り下ろし、迎撃する。

 鳥が真っ二つに割れた瞬間、


 ドゴーーーン!!


 と爆発が起きるも、オンカイムはそれを予想していたのか高くジャンプしていた。


「グランドタイド!!」


 更にその動きも予想済と云わんばかりに、ヒュロスの広範囲攻撃、地の津波が宙にいるオンカイムを襲う!!

 鳳凰剣は囮でタイミングを計っていたのかっ!?

 ――だがっ!!


「甘いぞっ!!ぬんっ!!」


 宙でヒュロスの方に向き直し、迫り来る地面に向かって剣を振る。

 その瞬間、津波のような地面が左右に割れ、そのままヒュロス目掛け攻撃に向かう。

 それでもまだオンカイムは宙にいるためか、


「くっ!!鳳凰剣!!」


 2発目の鳳凰剣を放ち迎撃を試みる。

 斬れば爆発、宙にいるため回避不能と見ての攻撃だろう。

 一体どうするのだろうか?

 そう思っていると、


「終わりだっ!はっ!!」


 鳳凰剣をどうやってすり抜けたのか、そもそも、いつの間にヒュロスの後ろに立っていたのか!?

 ヒュロスの背後に立っていたオンカイムが一撃を食らわす。


「ぐはっ!!」


 痛みはないはずだが、ヒュロスは地面に倒れ込み、


「おおぉおぉぉおおぉぉ!!オンカイム選手の勝利ですっ!!」


 司会は驚きつつも、勝者の名前を叫んだ。

 その瞬間、観客席からも大歓声が起き、いつの間にか俺も立ち上がって叫んでいた!!


 その後は優勝者、準優勝者に賞金が贈られ、インタビュー等もあったが、俺たちは途中で席を立ち酒場へと向かった。

 いくら怪我のしないバトル大会とは言え、疲労はある。


「いやぁ~、凄い戦いでしたねっ!最後、ヒュロスさんの攻撃が決まったって思ってたのに、あれってどういう事なんですか?」


 興奮止まずといった感じで尋ねられるが、俺にもさっぱり分からない。

 ただ、ほぼ間違いなく、何らかのスキルを使ったんだとは思う。

 つまり、スキルの発動…いや、もしかしたら魔法の発動も、もしかしたら口に出さなくても発動させれる方法があるのではないだろうか?


「俺にもさっぱり分からん」


 飯を食いながら、彼女にそう返した。

 実際俺も以前、無言でスキルが発動するか試した事はあったが、発動しなかった。

 スキルの種類なのか、訓練によるのか、そこは分からないが、今後試してみる価値はありそうだ。


「でも、オンカイムさんがグランドタイドを真っ二つにしたときは凄かったですね」

「隊長ぉ~、真っ二つに、できるですか~?」


 ふむ、真っ二つにか…。

 観客席から見てたからよくわかるが、あれ結構厚みもあるからな~。

 俺のブレイクストライクで削る事はできても、完全に真っ二つは無理だろう。

 というか、どう考えても押しつぶされる未来しか視えない。

 そこまで妄想して、やれやれポーズのまま首を横に振り、


「無理」


 とは言え、負けたヒュロスもやはり強い。

 ヒュロスの強みはどう考えても、あのスタミナだろう。

 明らかに燃費の悪そうなグランドタイドや鳳凰剣を連発で使えるだけでも、相当なものだ。

 これもあとでギルドにいって、スキルランクを調べておくか。


 飯も食べ終わり、まずはギルドへ寄った。

 ヒュロスの使っていた、気合砲はCランクだったが、グランドタイドと鳳凰剣はAランクとなっていた。

 ついでに、セルシャの使っていた、千本桜はBランク、リアギーの分身はCランクとなっていた。


 ギルドを出て、次は街の外へ。

 スキルや魔法を口にしなくても、使えるかどうか試すためだ。

 俺がそれを説明すると、みんなも無言で杖やら槍やら振り回し始めた。

 ……無言でこれやってると、怪しい集団のように見えるな。


 俺も心の中で『疾風剣』と言いながら剣を振るも、やはり何も起きない。

 何度も試していると、


「できましたっ!フリート様、見てください!」


 振り向くと、そこには火の玉が浮かび上がっていた。

 俺を含め、みんなも驚く。

 一応どうやったのかを聞いてみると、いきなりファイアボールを撃つのではなく、火を作るところから始めてみたと言う。


 つまり…どういうことだ?


「分かったですぅ~」


 同じ魔法ということで、リリーは分かったようだが、俺達戦士組は、さっぱりだ。

 しかし、リリーは何か集中するように目を瞑ると、そのまま少しずつ浮いて見せた。

 フライの魔法だ。

 だが長くは続かず、


「ふぅ~…」


 息を吐いて地に足を着けた。

 それを見て、質問の矛先を、クィナからリリーに変えると、


「魔法を使ってた時の感覚でやりました~」


 それを聞き、クィナも頷き、そんな感じだと俺たちに説明するも分かりにくい。

 特にトゥルニーは、強撃の感覚と言っても、地面を思い切り叩いたり、旋風戟も槍を振り回すだけで、それがスキルかどうかが全く分からない。


 結局その日は、魔法組だけ成功、戦士組は成果得られずで終わった。


 翌日も練習してみたが、やはり俺とトゥルニーは成果出ず、クィナとリリーは成果は出ていたが、


「普通に唱えた方が良いですね」


 という結論に至った。

 唱えなくても使えるが、集中するのに時間が掛かる上、通常よりも効果が落ちるという理由からだ。


「それにしても、なんでこんな練習考えたんですか?」

「それ、私も思いました」


 そういえば理由を言っていなかった事に気付き、軽く説明をした。

 すると、納得しつつ、オンカイム本人から聞けば良いのではないかと言われてしまった。

 全くもってその通り!!


 その日の夕方ぐらいから待っていたが、どうやらオンカイム隊は、夕方はあまりギルドに寄らないようだ。


 なので翌朝ギルドの2Fへ行ってみると、ちょうど見つけれたので、スキルを使っていた前提で話を聞いてみた。

 意外にも素直に、スキルを使っていた事は教えてくれたが、どんなスキルかは教えてくれなかった。


 だが、メリットは教えてくれた。

 どんなスキルをどのタイミングで使うか知られないで済む事。そして、モンスターに気づかれないで済むということだった。


 どうやったら口に出さず使えるかについては、慣れるしかないと言われてしまった。

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