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第21話 南門の防衛戦

 ヒュロスの説明が終わってから数分…いや、1分にも満たないだろうか?

 やがて南門の上にいた兵と思われる人物が、


「きたぞーーー!!」


 と、大きな声を上げる。

 その声に応じて、体中に緊張が走る。

 確かに敵の群れがこっちに向かってきているのが分かる。

 一体、どれ程の規模の敵が来るのか、また、どれ程の強さがやってくるのか。

 一瞬グレーターデーモンが頭をよぎったが、直ぐに忘れるようにした。


「射程内!行きます!サンダーストーム!」


 ヒュロス隊の魔法使いが声を上げ魔法を唱えた。

 それを合図に、他の隊も次々と魔法を唱える。

 当然クィナもファイアストームを唱えた。

 目の前で雷と炎が入り乱れ、爆音が鳴り響く。


 実際の威力は分からないが、前方に広がる複数の広範囲魔法。

 並みのモンスターなら即死するレベルの攻撃だ。

 しかし、


「キマイラが突っ込んでくるぞっ!!」


 誰かがそう叫んだ。

 あの魔法の中をくぐり抜けてくるなんて、どんなモンスターなんだよっ!!

 やがて象程の獣型モンスターが視界に入り、強さを見てみるとLv54!

 おいおい…こんなのと戦わないといけないのかよっ!!


「任せろ!!気合砲!!」


 ヒュロスが叫ぶと同時に、キマイラが一瞬のけぞるように足が止まった。

 その隙を見逃さず、彼の剣が巨獣を切り裂くも、まだ倒すには至らなかったが、他の者も攻撃に参加し、

 ズドーーーンッ!!

 と、音を立ててキマイラはその場に倒れた。


 流石Bランク冒険者だ!!

 ただ強いだけでなく、戦い慣れている感がある。

 しかし、範囲魔法を耐え抜いたモンスターが、次々とやってくる!!


「トロールが数体来るぞ!!」

「各個撃破だ!」


 身長4メートルありそうな巨人が数体、ドスンドスンという地響きを鳴らしながら向かってくる。反射的にアナライズで見るとLv42とキマイラと比べれば弱いが、とくかくデカイ!!


「マジックアロー!!」

「ライトニング!」

「ピアシングアロー!」


 魔法使いとアーチャーがそれぞれ攻撃をする。

 やはり一発で倒すことは出来ないものの、確実にダメージが入っている。

 最前線で戦っているBランク隊が、次々に来る敵を的確に倒している。

 これは俺たちの出番は無いんじゃないか?

 と思っていたが、


「範囲魔法の効果が弱まってきている!」

「二発目行きます!!サンダーストーム!」


 再び範囲魔法を唱えるが、魔法を撃ったのはBランクの魔法使い二人と、Cランクの魔法使い三人のみ。

 クィナの方を見るも、首を振り、MPが足りない事を俺に伝えてきた。

 やはり範囲魔法の消費MPは大きいのか!?


 それでもやはり範囲魔法の効果は大きく、かなりのモンスターがそこで足止め、または次々に倒れているのが分かる。

 さっきと同じように、範囲魔法を抜けてきた敵は、Bランク隊が倒してくれるが、


「一度撤退しますっ!」

「隊長、すみません、MP尽きたので一度撤退します!」


 と、Cランク隊の魔法使い三人が撤退していった。

 範囲魔法を二発撃ったからだろうが、青ポーションはなぜ使わないのか?

 そんな疑問を持ったが、直ぐに以前の事を思い出した。

 短時間で回復をすると、回復しきれなくなってくるからだ。

 つまり、ポーションの類は、本当にいざという時に使うと分かっての行動だろう。


 再び範囲魔法の効果が弱まってきて、ついに敵の大群が本格的に押し寄せてきた!!

 見えるだけでも百体を超える大群!

 とてもBランク隊だけで捌き切れる量じゃないっ!


「フリート!!強そうな奴は俺たちが抑えるが、抜けてった奴だけ何とか倒せ!」


 前方で戦っているルグルスが大声で叫んだ。

 既に中央部隊はガロンもリアギーも戦っていた。

 それだけ中央は戦闘が激しいということだが、だからといって左右に来る敵が弱い訳じゃない。

 やがて、数体のモンスターがルグルス隊の防衛網を抜け、俺達の方に向かってきた!!


「来るぞ!!トゥルニー構えろ!!」

「わ、わかったですですっ!!」


 くっ、パニクってやがるっ!!

 抜けてきた敵は数体、ブラッドタイガーとブラックウルフ、どちらも戦った事のある敵だっ!!


「アイスアロー!!トゥルニー、落ち着いてください。倒せる相手です!」


 彼女の放った魔法は、ブラッドタイガーの脳に刺さり、一撃で仕留めていた。

 それを見て、トゥルニーも落ち着きを取り戻し、向かってくる敵を槍で迎え撃つ。


「シールド!頑張ってですぅ~!」

「ありがたい!でやっ!!」


 攻撃を受けても良い状態になると、攻勢に出れる。

 そのためか、俺の剣が先に刺さり、敵の攻撃を意外と受けない。


 どのぐらい戦い続けただろうか?

 徐々にルグルス隊を抜けてくる敵の数が増えてきている!!

 かなり苦しくなってきたところで、


「すまねぇ!一旦撤退する!」


 さっきまで戦っていたガロン隊が、街へ撤退していった!!

 負傷したのか?

 いや、単純に疲労だろう。かなり派手に戦っていたようだからな!!

 それにガロン隊の代わりに、他のCランク隊が前へと出た。


「ヒュロス!!数が多い!!」


 次に前方で戦ってたるグルス隊がたまらず声を上げる。

 それに呼応するかのように、


「待ってろ!!グランドタイド!!」


 また何かのスキルか?

 目の前の敵に集中しているため、どんな技かは分からないが、物凄い音とともに地面が揺れた!!

 何が起きているか分からないが、ルグルス隊も持ち直し、俺たちも何とか持ちこたえれた。


「すみません、MP尽きました!」


 応戦している最後の敵を倒したところで、クィナが俺にどうすればいいか指示を仰いできた。

 他の隊長と同じように、ここは一旦退かせるべきだろう。

 そう判断し、彼女に撤退し、しっかり休むよう命令した。


 しかし、これで後方からの援護が貰えない状態となる。

 気が付くと、他の部隊もかなり数が減っていた。

 隊全体で撤退したのか、それともMP切れや負傷した者だけ撤退したのか分からないが、中央で戦っていた冒険者数は半分以下になってる気がした。


 ドゴッ!!

 何かがぶつかり、俺は後方へと吹き飛ばされた!!

 幸いシールドがあったお陰でほぼノーダメージだったが、今の攻撃でシールドは破壊されてしまった。


「何をぼさっとしている!戦いに集中しろ!!」


 どうやら、モンスターの攻撃を受けたようだ。

 急いで立ち上がり、リリーに襲い掛かろうとしている敵に、疾風剣を放つ!

 そのままリリーを守りながら再び戦闘に復帰し、


「すまない!」


 リリーを含め、トゥルニーやルグルス達に向かって声を掛ける。

 だが、一度吹き飛ばされたお陰で、全体が良く見えた。

 仲間も減っているが、敵の数も相当減っていた。

 攻撃魔法が使える者は、既にMP切れで街に退避しているため、倒すのには時間が掛かるものの、確実に数は減らせていた。


 やがて、暇を持て余していたのか、右側を守っていたオンカイムが、いつの間にか中央で戦っていて、最後の一体にとどめを刺し、モンスターの大群は殲滅した。


「みんな、良くやったな。オンカイムもありがとう、助かった」


 やっと、長い戦いが終わった。

 緊張の糸もプツリと切れ、俺はその場にしゃがみこんだ。

 どこにいたか分からないが、


「リフレッシュ。隊長~、大丈夫ですか~?」


 リリーが心配そうに聞いてきた。

 もう何度目のリフレッシュか分からないが、やはり効果が薄く、あまり疲れが取れなかった。

 それでも力を振り絞り、ゲートを出してもらうよう言い、宿の前へ。


 そこからは気力を振り絞り動いていたため余り覚えていないが、気が付くと朝になっていた。

 いつの間にか、ベッドで寝ていたようだ。

 体を起こそうにも、気怠さが残っていた。

 隣を見ると、仲間もまだ寝ていたので、俺も二度寝をした。


 次に目が覚めた頃には昼だった。

 大きく体を伸ばし、起き上がる。

 他の仲間たちもダラダラと起き上がってくるが、昨日の疲れが残ってるのが分かる。


「そういやクィナ、お前は早めに撤退したが、休んでなかったのか?」


 一番戦闘時間の短いクィナまでもが、疲れが残っている様子に疑問を感じ聞いてみると、街を守るために戦っている冒険者たちを考えていたら、全然気が休まらなかったと答えた。

 もちろん休むといっても、MPを自然回復させるためであり、寝たりはせず、ずっと街の中から戦場を見ていたとの事だった。


「疲れてる中悪いが、結局どうなったか確認しないといけないから、ギルドに行くぞ」

「はぁ~い」


 やる気のない返事だが、俺だって面倒だと思っている。

 それでもギルドへと向かった。

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