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第20話 突然の夜襲

 ギルドに戻り、今さっきの事を伝えた。

 特徴を伝えると、やはりグレーターデーモンでほぼ間違いないという事だった。


「それにしても、凄い傷ですね」


 俺のプレートを見ながら、無事戻ってこれたことに安堵しているような表情にも見えた。


 今日はダンジョンやらグレーターデーモンやら色々あって疲れたのもあって、残りの時間は酒場でのんびり過ごす。

 しかしあの悪魔は、一体どうするんだろうか?

 Bランクでは、勝てそうにないし、首都とかからAランク冒険者でも呼んで討伐するのだろうか?


 だらだらとした時間を過ごし、新しい鎧を買うため、防具屋へ。

 7000Gという大金を払う。

 今までならここで金欠となっていたが、合同調査の5万Gが大きく、金ならまだあるっ!!


 二日が過ぎた。

 昨日は、Cランクになって初めての討伐依頼をこなした。

 湿地帯にいるリザードマンだ。

 Lv26とそこまで強くはないが、足場が悪く意外と苦戦した。


 その甲斐あってか、俺はLv27、トゥルニーとクィナがLv26、リリーがLv25まで上がっていた。

 更に俺は新スキル『ブレイクストライク』を覚え、リリーも『シールド』を覚えていた。


 試しに使ってみると、かなり高い威力の攻撃スキルだが、高速剣程の速さもないため、当たればでかいが、当てるのが難しい。

 一方リリーのシールドは、対象に魔法のバリアのようなもの掛け、攻撃を受けてもシールドが無くなるまでダメージが無いという便利な魔法だ。


「隊長、また新しいスキル!私なんて全然新しいスキル覚えれないのに!」

「お前のスキルは範囲攻撃あるからいいだろ、強撃も使い勝手いいしさ」

「そうですけど~…」


 未だスキルが二つしかない彼女は、不満を口にしたが、こればかりはどうすることも出来ない。


 ギルドに入ると、直ぐに依頼を見た。

 グレーターデーモンの討伐があるかどうかを確認するためだ。

 昨日も無く、今日も無い。

 やはり、他の街にいるAランク冒険者に討伐依頼を出したのだろうか?

 そんな疑問が残ったため、結局受付嬢に聞いてみると、


「それでしたら昨日、オンカイム隊が倒してくれました」


 なん…だと…!?

 Lv63の敵だぞ!!Bランクで勝てるのか?

 一体どんな冒険者なのだろうかと気になっていると、ちょうど今、2Fにいると教えてくれた。


「オンカイム隊とヒュロス隊って、朝は結構2Fで話をしている事が多いんですよ」


 そうだったのか。

 俺たちは依頼を受けたら直ぐ現場に向かっていたから、全く気付かなかった。

 取り合えず2Fに上がると、テーブル椅子には2組のチームが座っていた。

 どっちがオンカイム隊か分からないため、アナライズを使う。

 一方は10台、まあDランクだろう。

 そして一方は、俺達より遥かにレベルの高い隊だった。

 Lv58と出ているのが多分隊長のオンカイムだと思うが、他のメンバーは、Lv46、Lv44、Lv43と、随分バランスの悪そうな感じに思えた。

 装備もしっかりしているが、全員動きやすそうだ。


 その視線に気づいてか、


「何か用か?」


 と、俺に向かって声を掛けて来たが、一昨日のグレーターデーモンの件を話すと、


「そうか、お前が噂のフリートか。俺はオンカイム、この隊の隊長をやっている」


 それに釣られて、俺たちも一人ずつ名乗って行く。

 しかしルグルス隊もヒュロス隊も女は一人もいなかったが、この隊には女が一人いる。しかもLv46と相当強い。


「ふふ、彼女が気になるのか?副隊長のルーツェンだ」


 俺たちの会話が聞こえていたのか、ルーツェンという女が俺の方を向き、軽く頭を下げた。

 俺も軽く頭を下げ、その場を後にした。

 再び依頼を探し、適当な依頼を受ける。

 新しいスキルを試すのが目的でもあった。


「あの方たちがオンカイム隊だったんですね」

「そういえば、何度か見たことありました」


 どうやら俺がこの世界に来る前に、ギルド内でうろうろしていた時期に何度か見た事があったという。

 だが今はそんな事はどうでもいい。

 オンカイム隊のレベルを見た限り、グレーターデーモンとまともに戦えるのは、隊長のオンカイムだけだろう。

 つまり、あのグレーターデーモンをオンカイムが一人で倒した事になる。

 そんな事あり得るのか?


「フリート様、難しい顔をして、どうかしましたか?」

「いや、何でもない」


 ひとまずオンカイムの事を忘れ、依頼に専念することにした。

 討伐対象である、はぐれホブゴブリンを倒し、新しいスキルの威力にも満足。

 報酬を受け取り、闘技場へ寄ってみた。


「隊長!これ見てください!参加者の名前がありますよっ!」


 言われるがまま、壁に貼られた紙を見ると、確かに参加者の名前があった。

 しかも丁寧に、一般人、正規兵、冒険者に分かれており、冒険者はランク別になっていた。

 当然のように、ガロンやリアギー、そしてスラッドの名前や、他ゴールドランクの名前もあった。


「Bランク方々も6人出るんですね」


 ヒュロス、セルシャ、オンカイム、ルーツェン、ルグルス、ラルバの順に並んでいた。

 参加申し込み順だろう。

 このBランクと一切当たらず準優勝なんて出来るんだろうか?

 そもそも、ガロン達と当たっても勝てる気がしない。


「何かCランクになって報酬は良くなったが、ガロン達とは、まだかなりの差を感じる」

「仕方ないですよ、だって私たち、Cランクになったばかりじゃないですか」


 それはそう。

 しかし、一体いつになったら追いつけるのか。

 レベルだけではなく、長年培ってきた戦いの経験のようなものが大きく違う気がする。

 悩みをリセットするため、今日は早めに宿屋へと戻り、休息を取る事にした。


 ………静寂が訪れる夜、突然それは鳴り響いた。

 カーンカーンカーンカーン!!!


「な、なんだ!?」


 街中に響く大きな鐘の音に目を覚ます。

 同じように仲間たちも起き上がり、


「なんでしょう?」

「まだ眠いですぅ~」


 しかし鐘の音は鳴りやまず、代わりに、宿の外から、


「敵襲っ!!敵襲っ!!」


 という大きな声が耳に入った。

 何か大きな事が起きるのは間違いないと見て、直ぐに身支度をし、ギルドへと向かう。

 俺たちがたどり着く頃には、他の冒険者がギルドに入ったり出てきたりと、忙しい様子だった。

 俺たちも一体何が起こってるのか知るため、ギルドへと入る。

 そこには、ギルド員と思われる男が状況を説明していた。


「今この街に向かって、モンスターの大群が押し寄せてきています。冒険者の皆さま、南門へ向かい対応に当たってもらいたい。指揮はヒュロス殿に一任しております」


 と、壊れたスピーカーのように、同じことを繰り返し伝えていた。

 それを聞き、俺たちも他冒険者と同じように南門へと向かう。


 南門へ着くと、既に正規兵が門の辺りで隊列を組んではいるものの、Lvは20前後。

 Dランクの中から上の方と言ったところだ。

 街の外には、Bランクが勢揃いしており、中心にはヒュロスがいた。

 それぞれの隊長と思わしき冒険者が、彼に指示を求める。

 そして俺の順となり、


「ああ、フリートか。今は配置を決めているところだ」


 とだけ言って、簡易テーブルの上に紙を広げて見せる。

 ライトの効果もあって、夜でもはっきり見えるのはありがたい。

 配置を見ると、最前列にBランクの3隊、その後ろにCランク隊、更にその後ろにDランク冒険者と正規兵がずらりと並ぶ形になっていた。

 基本的に中央を固める形で、ヒュロス隊が真ん中、その左側にルグルス隊、右側にはオンカイム隊。

 俺達はルグルス隊の後ろってことか。

 他の隊も見てみると、スラッド隊はオンカイム隊の後ろで、それ以外のCランク隊は全て中央に配置となっていた。


「左右だけ数が少ない気がするんだが…」


 中央に集まりすぎていることを示唆すると、基本的には中央に配置となっているが、状況に応じて、中央配置の部隊が移動するということだった。

 更に一番激戦となるのが、やはり中央になるため、疲弊したりダメージを負ったら無理せず下がり、他の隊と交代するためだと教えてくれた。


 敵は大群とだけで、どんなモンスターが来るか、大体の数すら良く分かっていないようだった。

 街道の先を見るが、まだ敵の姿は見えない。

 正規兵は着々と、街道にたいまつを設置し、明かりを灯す。


「そろそろ敵が来る!魔法職は、敵が射程内に入ると同時に範囲攻撃魔法を!範囲攻撃魔法を持っていない者は、自分の隊長の指示に従え!撤退や後退も各隊長に一任する!」


 これで説明は終わりと言わんばかりに、ヒュロスも敵が来る方へと向き直る。

 あとは、攻撃合図を待つだけだ。

 これだけの人数がいるにも関わらず、静けさだけが漂う。

 剣を握っている手に力が入る。

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