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第2話 冒険者として初戦闘

 トゥルニーから話を聞いたところ、今まで一人で冒険者をやっていたとのことだった。理由を聞いたところ、Eランクの冒険者は中々おらず、Dランクになった冒険者は大体既にどこかのチーム、つまり隊に入っているということだった。

 隊の名前は、隊長の名前がそのまま使われるらしく、


「これからはフリート隊ですね」


 と、彼女は嬉しそうに言ってきた。

 俺が隊長、つまり誰を仲間にするかも俺が決めていいってことだな!!

 フリート隊に男は要らねぇ!女だけのメンバーで構成してやるぜ!!!


「ところで、この依頼ってどうでしょう?」


 そういって俺に一枚の紙を差し出してきた。

 依頼内容に目を通すと、


「え~っと”街の外にいるワイルドドッグを倒して欲しい。報酬150G”か」


 なんとなくこのワイルドドッグってのが、犬型のモンスターであるのは薄っすら分かる。ただ強さが分からない。試しにアナライズを使ってみるも何の変化も起きない。やはり文字には効果なしで、実物を見ないといけないようだ。

 だが、報酬額と女が提示してきたことから、多分倒せるということなのだろう。

 俺は快く引き受け、依頼書を受付に提示し、そのままトゥルニーと一緒に街の外へと歩いていった。


 依頼書の詳細に書いてあった通り、北門から出ると、犬型のモンスターが三匹。

 俺は剣を抜き構える。

 今まで剣なんて持った事なかったのに、なぜか自然と構える事が出来た。これも知識のうちなのだろうか?


 俺が抜刀すると、女は槍を構えて隣に立っていた。

 顔にばかり目が行ってて、彼女の武器が何か気づかなかったが、槍か。

 そう考えていると、彼女はモンスターに向かって突進し、


「やーーーっ!!」


 と、勢いよく槍を突き出したが、あっさりかわされ、三匹の犬にボコボコにされていた。


「いたっ!痛い!!ふぇぇぇぇ~~ん、フリートさ~ん、助けて~~…」


 ある犬は前足で、ある犬は後足、またある犬は尻尾で、トゥルニーをペチペチ攻撃していた。


「おいおい、何やってんだよ!ふんすっ!!」


 ザシュッ!

 勢いよく剣を振ると、あっさり犬を一匹倒せた。残りの二匹は距離を取り、俺への警戒心を強めているようだ。

 だがちょうどいい。俺はアナライズを使いモンスターを見るとLv8と頭上に現れた。つまりこのモンスターは俺たちよりレベルが上ということになる。


「くっ!!よくもやってくれたなぁ~!やぁぁーーっ!!」


 さっきまで半泣きだったトゥルニーが立ち上がり、再びモンスターへ突撃するも、やはりあっさり避けられてしまう。

 だが、トゥルニーの攻撃がかわされるのは予想出来てたため、


「てやっ!!」


 ジャンプで避けたモンスターを更に一匹倒し、残る一匹もトゥルニーと力を合わせて倒すことが出来た。


「ふぅ~~、何とか倒せたな」

「すいませ~ん、私一匹も倒せませんでした」


 やや落ち込んでいる彼女だが、直ぐに元気を取り戻し、


「それにしてもフリートさん強いですねっ!!何かスキルとか持ってるんですか?」


 と、目を輝かせながら俺に尋ねてきた。

 スキルというのは、アナライズの事だろうかと思って、正直に答えると、


「アナライズ?何それ美味しいの?」


 女はきょとんとした表情で聞き返してきた。

 どうやらスキルは違うもののようだ。彼女曰く、二段突き、旋風戟せんぷうげきという技名を言ってきたが、要は魔法の武器バージョンってことだろう。


「いや、そういうスキルは無い」


 と答えたものの、そういったスキルは一体どこで習得するのか、習得後どうやって使うのか?そこらへんの知識は俺には無かったので、彼女に聞く事にした。


「えっと…」


 彼女も彼女で、どう説明したらいいか悩みつつも、一生懸命教えてくれた。

 スキルは戦いの中で自然と覚えるもので、覚えると自然と何のスキルが使えるか自覚が出るとのことだった。また、スキルを使うとスタミナを消費されるため、ここぞという時に使うと良いらしい。


「私もまだ何のスキルもなく、聞いた話なので――」


 なるほどな。

 実際覚えたら分かるっていうのなら、問題ないだろう。

 それよりも…


「結構ボロボロだが怪我はないか?」


 俺が心配そうに聞くと、少しダメージを受けたかもと答えた。


「やっぱり普通の4人編成で、ヒーラーと後衛職が欲しいですね!」


 その言葉を聞いて、前世でのゲームでもパーティー編成ってのがあったのを思い出した。大体は前衛職と回復役、そして火力枠の後衛がよくある編成。もっとも、戦士二人で戦い続けれる程甘くないのは何となく理解していた。


「となると、まずはヒーラーを探したいところだな。だがその前に、依頼完了の報告も済ませよう」


 とだけ言い、ギルドへと向かった。

 ふと、今回モンスターを倒したことで強くなったかどうか気になり、自分の手を見てみると、Lv8となっていた。念のためトゥルニーの強さも確認してみたがLv6のままだった。

 どうやら誰がモンスターを倒したか、またはダメージを与えたかで強くなるかどうかが決まるようだが、ここら辺は検証したいところだが、ゲームと違って検証は難しそうだ。


 街に戻り、ギルドへ向かう途中、


「待って~、猫ちゃんおいで~」


 という女の声が聞こえた。

 Eランクの冒険者の依頼は配達だったりペット探しが多かったから、もしやと思い声を掛けると、


「はい、猫探しの依頼を受けています」


 ビンゴォォォォォ!!

 しかもトゥルニーよりもしっかりした感じのお姉さんで、長い髪は後ろで束ね、服装はローブ。戦士ではない、もしかしたらヒーラーの可能性も高い!

 ここは恩を売っておいて仲間にするべきだと俺の本能が告げていた。

 トゥルニーにも協力してもらい、何とか猫を捕獲することに成功し、三人でギルドへ戻る事にした。


「ところで俺はフリート、こっちは仲間のトゥルニー、お姉さんのお名前は?」

「あ、私はクィナと言います。見ての通りまだ駆け出し冒険者でEランクなんです」


 やはりEランクだったかっ!!

 それなら――


「もしまだ仲間がいないようなら、俺の隊に入らないか?」


 と誘いつつアナライズ。

 Lv5とトゥルニーよりも低いが問題ない。綺麗なお姉さんだからなっ!!

 俺の誘いにクィナは直ぐに承諾、こうして2人目の仲間が加わり、ギルドへ到着。

 互いに依頼をこなしたことを告げ報酬を受け取る。


 俺の方は150Gだったので半分の75Gをトゥルニーに、そしてクィナは猫をギルドに預けると、報酬額100Gを受け取っていた。


「はぁ~、これで今日の食事代もなんとかなりました。ありがとうございます」

「ああ、それは良かった。ところでクィナ、早速だがトゥルニーの怪我を治してやってくれないか?」


 俺がそう告げると、クィナは不思議そうな顔をして、なぜ?と聞き返してきた。


「いや、まああまり怪我らしい怪我には見えないかも知れないが、もしよかったらヒールをしてもらえないかと思ってな」

「あー…えっと…私、魔法使いなので、回復魔法使えないんです、すみません」


 と、深々と謝られてしまった。

 なんてこった!俺のアナライズ!!

 せめて職業ぐらいおまけで見せてくれよっ!!

 いや、そんな事よりも、結局ヒーラーを未だ確保できていない!!

 俺が頭を悩ませていると、


「あ、あの…もしかしてヒーラーだと思って仲間にしたんですか?お邪魔ですか?」


 クィナは不安そうな顔で聞いてくるが、元々後衛職も入れるつもりだったことを告げると、彼女は安堵の表情へと戻っていった。

 そして何かを思い出したように、


「Eランクのヒーラーなら教会近くの川でよく見かけましたよ」

「なにぃぃ~!?みんな行くぞ!」


 と俺が教会へ向かって歩んで行くと、クィナが追ってきて横へ並び、


「ただその子は、少し幼いと言うか…私が言うのも何ですが、頼りなさそうというか…」


 少し申し訳なさそうに言うが、そんなのは些細な問題、可愛い女の子かどうかが大事なのだ!!

 そしてクィナの案内で教会から少し離れた川へと行くと、


「あっ!あの子ですっ!」


 と、川で水遊びをしている子供たちを指してきた。

 俺がどの子かと聞くと、耳が少し尖ったエルフっぽい女の子だと教えてくれた。

 三人で子供たちの方へと歩んで行き、腰まで伸びた長い髪のエルフっぽい女の子の前に移動し、まずは俺が名乗ると、クィナ、トゥルニーも続いて名乗った。そうするとエルフっぽい子も釣られるように、


「リリーって言いますぅ~」


 と、甘えたような口調で名乗ってきた。

 その後、念のために冒険者かどうかを聞くと頷いてきて、ヒーラーかどうかを聞くと再び頷いてくれたので仲間に誘うと、


「おぉ~~っ!仲間になりたいですぅ~」


 こうして、あっさりヒーラーも見つかり、やっとまともな冒険が出来そうな隊になった事に、俺は喜びを覚えた。

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