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第17話 4隊合同ダンジョン調査

 係員から、バトル大会参加方法を聞くと、参加用紙に名前と種類を書くだけだった。

 種類というのは、冒険者、正規兵、それ以外という分類だった。

 また、冒険者の場合は、ランクも記載する必要があった。


「ところで、魔法武器というのは?」

「それは大会当日に、使いたい武器を持参してもらえれば、運営スタッフが魔法で模倣しますので大丈夫です」


 ふむ、当日にこのロングソードを持っていけばいい訳か。

 参加用紙を提出し、再び大会の概要に目を向ける。

 シード権は、Bランク冒険者は本戦から、Cランク冒険者は二次予選からとなっていた。

 詳しい組み合わせは、大会当日発表らしい。

 これは多分、参加人数によって調整するということか?


「隊長!!これ見てくださいっ!!」


 トゥルニーが少し離れた場所から大声で俺を呼ぶ。

 一体何だろうと近づくを、彼女は大きな看板を指し


「優勝賞金100万G!準優勝でも50万Gですよっ!!」

「――100万Gだとぅ!?」


 俺たちがいつも苦労に苦労を重ね、やっとの思いで依頼をこなし、その金で宿屋で1つの部屋を借り全員で泊まったり、酒場で料理を頼むも、なるだけ安いものを頼んで腹を満たし、なんとか貯めた金で装備やポーションを買っているのに、そんな大金が一気に入るというのかっ!?


「うおおおお!!優勝は無理でも、当たり運さえ良ければ準優勝も出来る!!」

「そうっすよ!!隊長か私のどっちかでも準優勝すればいいんですからねっ!」

「あの~、優勝と準優勝以外は、賞金無しですか?」


 俺たちが盛り上がっている中、後ろから控えめにクィナが当たり前の質問をしてきた。

 確かに、優勝と準優勝の賞金だけ書いてあって、それ以外の賞金は書いていない。

 なので、さっきの係員に賞金の事を聞くも、


「今回は第一回ということもあり、優勝と準優勝だけの賞金となっております」


 厳しぃ~~~~!!

 ――いやっ!まだ大会当日まで9日間もあるっ!!

 その期間でどこまで強くなれるかだなっ!!

 高鳴る気持ちを胸に、俺たちは宿屋へと戻り、部屋でも大会の話で盛り上がっていた。


 翌日、Cランク冒険者として、初の依頼を受けにギルドへと足を運ぶと、


「あ、フリートさん、ちょうど良いところへ」


 いつもの受付嬢が俺の姿を見るなり、声を掛けてきた。

 そして一枚の紙を手に、


「この依頼を受けてみませんか?」


 と、手に持った紙を俺に渡してきた。

 それを受け取り内容を見る。

 "南のダンジョンに隠し通路が見つかった。かなり広いと思われるため、調査を依頼したい。報酬20万G”


「20万!?いやいや、報酬額から見て、俺達の手に負えるような感じはしないが?」

「私もそう思ったんですが、この依頼って他の冒険者チーム、4隊合同なんですよ。しかも既に3チームは決まっていて、その内の2チームが『フリート隊がいい』と指名してきたんです」


 受付嬢の話をまとめると、報酬20万となっているが、4隊合同だから、1隊あたりの報酬は5万Gになるか、活躍度に応じて受取額が変動するかのどちらかだろう。

 それでも5万Gは俺達からすると相当な額である事には違いない。

 それより気になったのは、既に決まっている3チームの隊と、俺の隊を指名してきた2隊だ。

 そこの部分を聞いてみると、


「指名してきたのは、ガロンさんとリアギーさんです。それと残りは、ルグルス隊です」


 ガロンとリアギーか。それより、Bランクのルグルス隊がいるなら、心強い。

 以前リアギーは『この街でルグルス以上にダンジョンに詳しい奴はいないだろう』と言う程だ。

 実際どんな人物か会って見たいというのもあった。


 俺がその依頼を受けると、直ぐに南のダンジョンへ向かって欲しいと言われ、10時ぐらいに南のダンジョンで待ち合わせということになっていたらしい。


「俺達が来なかったらどうするつもりだったんだ?」

「その時はスラッド隊ですね。元々ガロンさんとリアギーさんは、そのどちらかが良いということで――」


 つまり、もしスラッド隊が先にここに来ていたら、この依頼はスラッド隊が受けていたということか。

 念のため、俺やスラッド隊が来ない、または引き受けなかった場合を聞くと、他のCランク、それも全て断られたら、3隊での調査になっていたということだった。


 そして当然のように、俺たちは南のダンジョンの場所を知らない。

 それについても聞くと、馬車で1時間半程度のところにあると言う。

 ということは、今から行ってもまだ早いが、一番弱い俺たちが最後に到着というのも嫌だ。

 だから直ぐに馬車に乗り込み、現地へと向かった。


「それでだ。クィナのそのアメジストロッドって実際効果どうなってるの?」


 Cランク試験のときから気になっていた事を、馬車で移動中という暇なこの時間に聞いてみた。

 本人曰く、射程が少し伸びたことと、魔法が上手く作りやすくなったということだった。


「魔法が上手く作りやすいとは?」

「えっとですね――」


 彼女はどう説明したら良いものか、という表情で少し考えた後、次のように話し始めた。

 例えばアイスアローの場合、氷の矢をイメージするが、作られるのは氷の塊だった。それが新しいロッドになってからは、イメージした通りの形に近いものが作りやすくなると言った。


「じゃあファイアボールやファイアストームは?」


 今度は形が定まらないようなものはどうなのかを聞くと、攻撃範囲や魔法の大きさ、魔法を飛ばす速度も向上したと言う。

 つまり、魔法を使う際、意外にも調整している事が分かった。

 好奇心で、凄く小さいファイアボールやアイスアローも作れるのかと聞くと、出来るとのことだった。

 そしてロッドを使わず両手を前に出し、


「アイス!」


 そう唱えると、小石程度の小さい氷が手から少し離れた位置に生成され、床に落ちた。

 それをリリーが拾い上げ、


「冷たいですぅ~」


 手に取って喜んでいたが、直ぐに溶けてしまった。

 一応、今の魔法でどのぐらいMPを消費したかも聞いてみたが、ほとんど消費はないとの事だった。

 いつも使う魔法は、常に最大威力で放っているため、消費も大きいと言う。


「じゃあ、威力を抑えて数多く撃つってのはどうなの?」

「それは効率が悪いです。消費MPを半分にすると威力は6割ぐらいまで落ちますし、強い敵にはダメージが通りにくいです」


 確かに、そんな威力で倒せる敵なら、俺やトゥルニーの通常攻撃で倒せるだろう。

 そして、威力調整をする方が難しいらしく、全力の方が扱いやすいと言うが、魔法使いの感覚は俺には分からなかった。


 そんなやり取りをしているうちに馬車は止まり、ここから南のダンジョンまでは、少し歩かないといけない。

 ダンジョンの場所は、受付嬢から簡単に描いてもらったため、山のふもとにある穴が見えたため、直ぐに分かった。


 そのダンジョンへ近づくと、既に何人かが待っていた。

 遠目で分からなかったが、近づくと、ガロンやリアギーで無い事から、ルグルス隊と予想する。

 俺達が近づくと、相手の方から話しかけてきた。


「依頼を受けた冒険者か?」

「ああ、フリート隊の隊長をやっている。よろしく」

「そうか、俺はルグルス、この隊の隊長をやっている」


 そう言うと、彼は少し表情を柔らかくし、手を差し伸べてきた。

 俺もそれに応えるかのように握手を交わす。

 装備はダンジョン用なのか、俺よりやや軽装だが、剣は俺と同じロングソードか?

 体格も俺とそこまで変わらないはずなのに、力強さを感じた。


 手を放し、アナライズを使う。

 ルグルスがLv47、残りの三人はLv46、Lv44、Lv43と表示されていた。

 Bランクというだけあって、俺達より遥かに強い。

 一応仲間の紹介もすると、ルグルスの方も仲間を紹介してくれた。

 ただ気になったのは、


「副隊長のラルバだ」


 と言ってきた彼の存在だ。

 彼もルグルスと同じような装備をしている。

 確かにルグルスの次にレベルも高いが、副隊長というのは必要なのかどうなのか。

 仮に俺の隊で副隊長を決めるとなると…誰だろう?


 仲間たちを見る。

 トゥルニーは共に前線を支えるし頼りになるが、副隊長というガラじゃない。

 クィナはどうだろうか?この中では一番知識が豊富だと思うが、戦闘で頼れるかどうかとなると、どうだろうか?

 リリー…普通に考えて、あり得ないな。


 そんな事を考えているうちに、ガロンとリアギーがやってきて、全員が揃った。

 二人にも副隊長の事を聞こうとしたが、


「俺が先頭を行くから、君たちは後からついてきてくれ」

「おう、任せろ!」


 ルグルスの言葉にガロンが即座に反応し、ダンジョンへと入っていった。


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