第16話 ついにCランク冒険者
「トゥルニー、左右から挟んで、奴の後ろまで移動するぞ」
「え?挟んだまま戦わないんですか?」
「ああ」
クィナが最初に放ったファイアストームは既に消えている。
そしてそこにいたオークたちは既に倒している。
残るはこの巨体オークだけだ。
「行くぞっ!疾風剣!」
予想通り、あっさり避けられた後、棍棒で反撃してきたが、やはり振りかぶるという動作があるだけで、攻撃予測はしやすい。
そのまま作戦通り挟んだが、敵も挟まれないようにと立ち位置を移動する。
オークの癖に頭が回る。
「トゥルニー、こっちだ!」
「了解っす!」
オークの攻撃を避けつつ、俺たちはファイアストームで焼けた地面の方へと移動した。
そこまで来て、トゥルニーも俺の意図に気づいたみたいに、オークの注意を引きつける。
もちろん、まともに攻撃を当てるつもりはなく、あくまでも俺たち二人に注意を向けさせるのが目的だ。
今、この巨体オークの背後には、クィナが立っていた。
「アイスアロー!!」
本当にその位置から届くのか?というところから、氷の矢が放たれた。
そして――
グサッ!!!
「オォォォォォーーーッ!!」
氷の矢は、巨体のふくらはぎに突き刺さった。
やはり目で見て避けているため、背後からの攻撃は避けれなかったということだ。
オークは直ぐに振り向き、クィナの方を向き、片足を引きずるように歩き出すが、
「もらったっ!!高速剣!!」
「強撃!!」
俺とトゥルニーが同時に、オークの足を片方ずつ攻撃。
ザシュッ!!
と、確かな手応えとともに、巨体は膝を折り地面へと崩れ落ちる。
それでもまだ棍棒を振り回し抵抗してくるが、
「はぁぁぁぁーーーっ!!!オーラブレイド!でやっ!!」
棍棒の当たらない場所から攻撃し、確実にダメージを与えていく。
その度に巨体の口から咆哮が響き渡るも、
ザクッ!!ゴトッ!!
トゥルニーの一撃が、オークの首を切り落とした。
「ふぅ~、やっと倒しましたねっ!!」
「ああ、みんなよくやってくれた」
「今、回復するですぅ~。リフレッシュ」
減ったスタミナも回復したところで、一度みんなのレベルを確認した。
俺とクィナがLv25、トゥルニーがLv24、リリーがLv23。
ファイアストームでオークを大量に倒したクィナだけレベルが2つ上がっていた。
俺も範囲攻撃欲しいぜ。
「さて、帰るか。リリー、ゲートを頼む」
「あい!ゲート!!」
何も無い空間に、人ひとり分が入れるような魔力の渦のようなものが出現した。
当然、奥は何も見えない暗闇のようなものだが、構わず入る。
すると、見慣れた宿屋の前へと帰ってこれた。
クィナ、トゥルニー、最後にリリーが出てくると、奥行きのない暗闇の門は、徐々に小さくなり消えていった。
「相変わらず凄い魔法だよな」
「本当ですね」
最初リリーが使った時は、一体何か分からないまま、リリーだけが入って行き、ゲートが消えたから大変だった。
この魔法は術者が入ると消える仕組みというのを誰も知らなかったからだ。
「じゃあ、ギルドに行って報告しに行こう」
「何か、Dランク試験のときより、あっさり終わった感じですね!」
「そうですね、でもそれはきっと、フリート様の作戦が良かったからだと思っています」
だろぅ~?
って言いたかったが、辞めておいた。
今は多分、何も言わない方が褒められるはず。
「隊長凄いですぅ~」
「そうだね、最初は何で挟んで戦わないのかな?って思ったけど、クィナが移動していたのに気づいてたんだね」
「ええ、私も何とか援護できないか探ってたんですが、フリート様が私の行動を察してくれたお陰で上手く行きました」
そうだぞ~!
どんどん褒めていいぞ~!!
結局ギルドに着くまで、みんなに褒められ、めっちゃいい気分!!
ギルドに戻ってくるなり、依頼をこなした事を伝えると、
「おめでとうございますっ!まずは報酬の12000Gです。それとCランクの手続きをするので――」
受付嬢が最後まで言い終わる前に、ギルド証を渡した。
ちらっと辺りを見渡すと"11”と書かれた札が壁に掛かってあるのが見えた。
いつものように2Fと上がり、席に着く。
「これでCランクだが、意外と実感湧かないな」
「そうですね、ついこの前までEランクだったのが嘘のようです」
「私も、Cランクになれるなんて思ってなかったから、本当にCランクの強さがあるのかな?って思ってるんだよね」
「ほわぁ~~、凄いですぅ~~」
そんな話をしていると、受付嬢がやってきて、新しいギルド証を持ってきてくれた。
前は銀色に光ってたプレートだったが、今は金色になっている。
これって本物のゴールドを使っているのだろうか?メッキか?
いや、そんな事より、
「オークの事で少し聞きたいんだが」
「はい、どうかしましたか?」
受付嬢が何かあったのだろうか?という顔で聞き返してくる。
俺が聞きたかったのは、今回倒したオークは何だったのか?ということだ。
分かる範囲で特徴を伝えると、
「オークジェネラルですね」
「オークキングとの違いは?」
「もし本当にオークキングだったら、魔法を使ってきますから」
へぇ~~!
それは確かに分かりやすい違いだ。
他に質問はないと感じたのか、受付嬢は一礼をして去って行った。
そんな受付嬢をアナラーーーイズ!!
Lv7と表示された。
俺がこの世界に来た時と同じレベルか。
アニメや漫画だと、普通の受付嬢と思っていたら実は強い!!
みたいな展開を時々みるが、普通の受付嬢だった。
新しいギルド証も手に入ったことで、酒場へ移動した。
Cランクへ上がった事ということで、いつもより豪華な料理を頼んだ。
俺たちがガツガツ飯を食っていると、
「おう、今日の飯は豪華だな!何か良いことでもあったのか?」
相変わらず声も体もでかいガロンが話しかけてきた。
最近知った事だが、ガロンは色んな冒険者に話しかけているため、結構顔が広い。
そんな彼に、
「ああ、Cランク試験に受かったんだ。ほら」
さっき貰ったばかりのギルド証を見せる。
ガロンは一瞬止まったが、直ぐに納得したようで、
「いや~、お前たちは本当に凄いな!まさか1か月足らずで俺と同じCランクになるとはなっ!」
そういって、俺たちを認めるように応援もしてくれた。
だが、この酒場にいた他冒険者にも話が聞こえたのか、俺たちに視線が集中する。
それだけでなく、小声でヒソヒソと俺たちの事を話し始めている感じだ。
実に居心地が悪い!!
その事に気づいたのか、ガロンが悪いことをしたという感じで、
「そういや、闘技場でバトル大会があるらしいぜ!もちろんこの俺様も出る!気になるなら闘技場へ行ってみるんだな!」
と、話題を変えてきた。
その話題に乗っかるかのように、他の冒険者もバトル大会の話題へと変わっていた。
バトル大会か、とても気になる。
飯を食い終え、闘技場の場所へと向かう。
かなり大きめの建物で目立っていたが、縁の無い場所と思っていた。
「闘技場って普段、何をやってるところなんだ?」
「腕自慢の人がモンスターと戦ったり、モンスター同士戦わせたり、賭けもやっているみたいですよ」
「そうそう、それで私の親父が借金を…まあ、昔の話ですけどね」
ふと、ディザーの街でトゥルニーの言葉を思い出す。
『隊長、いえ、フリート様。その考えは危険です。ギャンブルで負けた人が負けを取り戻そうとする人と同じ思考です』
あれは、彼女の父親の実体験だったのか。
闘技場に着くと、壁に大きな張り紙があった。
”第一回バトル大会開催!冒険者、正規兵、一般人、誰でも参加可能!参加費無料!”
と書いてあった。
既に受付期間中であり、締め切りは1週間後、その2日後に大会が開始予定となっている。
「尚、今回は魔法の使用は禁止、だとさ」
「じゃあ、私と隊長で出ましょうよ!」
「まあ、待て。他にもルールが書いてある」
ルールの欄には、
・使える武器は一種類で、魔法で模倣した武器を使用。攻撃を受けても怪我をしない安全仕様。
・大会は、一次予選、二次予選、本選で行われる。尚、冒険者ランクに応じてシード権がある。
・勝敗は、魔法武器による自動ダメージ判定、場外に出ると負け。
・スキルの使用可。
「怪我しないってのはいいな」
「これなら安全ですね、私とリリーは全力で応援しますっ!」
「隊長~、頑張って~~」
ここまで言われると、頑張るしかないなっ!!
こうして俺とトゥルニーは、バトル大会への参加を決めた。




