第14話 Cランク試験へ向けて
あれから1週間程過ぎた。
様々な依頼をこなし、少しずつだが強くなり、金に困る事もあまり無くなってきた。
そして俺はLv24、トゥルニーとクィナは23、リリーは22まで上がっていた。
トゥルニーは旋風戟というスキルを覚え、周囲の敵にダメージを与える。そのため、囲まれても戦えるのが強みだ。
クィナの『ファイアストーム』は広範囲魔法のため、敵が多い時には相当使える。実際この魔法を覚えてから、彼女のレベルの上がり方は早くなったし、報酬の高い依頼も受けやすくなった。しかし、そんな強い魔法のためか、今のところ1発しか撃てないのがネックである。
リリーは『ゲート』という魔法を覚えていた。使うと魔法の空間が現れ、入ると宿屋の前に移動できる。これのお陰で、戦いの後、くたくたになっても直ぐ帰れるのはありがたい。試しに他の場所にも行けるか聞いてみたが、どうやら、それは無理らしい。リリーが"帰る場所"と認識しているところに繋がっていると本人は言ってた。ちなみに本来であれば、Bランクで覚える魔法らしいが、消費MPはヒールと同じぐらいと、かなり使える。
そして俺は『オーラブレイド』というスキルを覚えた。闘気を剣に込める事で単純に威力が上がるものだが、他のスキルと違って2秒ぐらい集中しないといけないし、使いっぱなしだとスタミナが減って行くのがネックだ。
今は依頼を終え、ギルドの2Fで、いつものように話をしている。
やっと報酬7000Gの依頼も達成できるようになった。
新しい魔法がとにかく便利だ。
そんな他愛のない話だ。
「ところで、Dランクの依頼もほとんどこなせるようになったし、Cランクの事も考える時期だと思う」
「そうですね、Dランクの依頼で1万G以上のものは見た事ありませんし」
「そうそう!今の私たちならCランクの試験だっていけますよっ!」
ギルドに通っているうちに、Cランクの依頼を受けている人のレベルを何度か見た事があった。
一番レベルが低い人でLv25。
Cランクの冒険者チーム数に変化はないことから、試験を受けた時は、もう少しレベルが低かっただろう。
いやしかし、相性もあるからどうだろうか?
そんな事を考えていると、
「よっ!そろそろCランク受けるのか?早いなぁ~!」
声を掛けてきたのは、最近知り合ったCランク冒険者のスラッドでLv31だ。
冒険者になって3か月という期間でCランクまで上がったという事で、ガロンやリアギーも一目置いている冒険者だ。
ちなみにガロンやリアギーはCランクに上がるまで、1年半かかったと言ってて、Cランクになったのは1年程前だと言ってた。
「そういうスラッド隊だって3か月でCランクになったんだろ?ガロンたちより十分早いじゃないか」
「周りからはそう言われてるが、お前を見てると、本当に早いのかどうか分からなくなるぜ」
等と言っているが、実際Cランクになれる冒険者は全体の1割だと、以前ヒュロスから話を聞いている。
冒険者の3割はEランクの時に、割に合わない、戦いに向いていないということで、辞めていくらしく、残った冒険者の多くもDランクで止まるのが圧倒的に多いと言ってた。
つまり、目の前にいるスラッドは、上位1割な上にCランクへ行くのも早い、冒険者の中ではかなり優秀と言える。
「ところでCランクの試験内容って、どんな感じだったのか教えてくれないか?」
俺がそう質問すると、彼は少し考えた後、
「まあ、ボードにあるCランク依頼の一番簡単なものって感じだな」
なるほどな。
Cランクの一番簡単な依頼すらクリアできないようでは、Cランクになれないってことか。
実にわかりやすい。
一通り話し終えると、彼はギルドの外へと出ていってしまった。
俺もCランクの依頼を一度見ておくべきだと思い、仲間に声をかけ一緒に見に行った。
Cランクの依頼報酬はどれも1万Gを超えていたことから、相当難易度が高いと考えていたが、似たような依頼でも必要ランクD以上の依頼は8000G、必要ランクC以上の依頼は1万G。
「なんでこんなに違いがあるんでしょう?」
「あー、これは多分あれだな」
数日前、受付嬢から"ランクが上がるとギルドからの信用も上がる"みたいな事を聞いたな。
実際俺が依頼側の立場だったら、DランクよりCランクの冒険者に頼みたいからな。
俺たちも散々割に合わない依頼をやってきたから分かるが、Cランクの人たちだって割に合わない依頼は受けたくないだろう。
だから報酬額に差があると俺は思ってる。
俺の話に仲間たちも納得していた。
これがどこまで当たってるかは分からないが、冒険者ランクとはそういうものだと考えた。
そこまで考えた上で、
「今日受けた依頼が、凶暴な魔物狩りだったな」
「そうですね。かなり苦労しました」
ブラッドベアLv28とブラッドタイガーLv26、それぞれ複数体、どっちも高い攻撃力と速さがあった。
それで報酬が7000Gと考えると、Cランク試験内容の敵は、恐らくLv30前後。
Dランク試験の時のように、いきなり強い敵が現れなければ、合格は出来るだろうが、想定外の敵が出てきた時が問題だ。
何度も依頼をこなしてきて、想定外は良く起きることも知っている。
それを考えても、今の俺たちなら合格できると考えた。
「一応、Dランク試験と何か細かいルールの違いがあるか聞いてくる」
「流石フリート様、念には念をですね」
みんなの表情も真剣だった。
普通の依頼と違い、今回もまた試験を受けるだけで、お金が必要となるだろう。
だが金ならある!!
頑張って依頼をこなし、3万Gまで貯めたのだ!
俺を先頭に受付嬢のところへと向かい、
「Cランクの試験を受けようと考えているが、Dランクの時と違いはあるか?」
「フリートさん、ついにCランクの試験を受けるんですね!違いは、試験を受ける金額が1万Gと、結構高くなっています。あとは、他の冒険者に手伝ってもらうのは禁止なので、そこさえ気を付けてくださいね」
手伝い禁止は前回も聞いてたが、手伝いのところだけ言うってことは、こっそり手伝ってもらう冒険者とかいたのだろうか?
いや、それよりも!
「いや、今日は受けない。万全の状態で臨みたいから、明日受けるつもりだ」
「そうなんですね。結構勢いで受ける人が多い中、フリートさんは慎重ですね」
「そうなのか?」
「はい」
だが確かに、冒険者を生業としている人たちからすると、危険は付きもの。
それが普通なのだろうか?
いや、きっと他冒険者も、見えないところできっちり準備をしているのだろう。
ギルドを出て、まずは道具屋へと向かう。
各種ポーションを買い、次に武器屋へと向かった。
「クィナ、金は大丈夫だから、そろそろ新しいロッドを買ったらどうだ?」
俺がそう提案すると、彼女は返事をした後、武器の値段と性能を交互に見ながら、ひとつのロッドを手に取り、
「これが良さそうです」
それは、彼女が今で使ってたロッドよりも少し長く、先端には紫の宝石のようなものが付いていた。
商品名を見てみると"アメジストロッド"と書かれており、価格は5000G。
魔法が使えない俺からすると、性能差が全く分からないが、彼女が良いと思ったものだから、信じて購入。
次に防具屋へと寄った。
俺とトゥルニーの防具だ。
今までは高くて買えなかったが、今後は防具も必要だろう。
俺たちは"プレート"と書かれたところに行った。
様々な形と大きさがあり、値段もバラバラ。
俺が手にしたのは、胸と腹の部分を守ってくれる形の金属製のプレート。
トゥルニーは、胸部分のみのものを。
試しに装備をしてみるが、体を動かしても邪魔にならないし、着けてみると、そこまで重さも感じなかった。
そしてそのまま鎧を買い金を払う。
13000Gは相当な出費だ。
本当は肩当てや腕当ても買いたかったが、これを買ってしまうと、Cランク試験を受けるための金が足りなくなる。
宿に着き鎧も外すと、やはり軽くなる感覚はある。
残りの金は12000G程で、試験を受ければ手持ちがほとんどなくなる。
ずっと貧乏!!
「大丈夫ですよっ!Cランク試験に合格さえすれば、依頼を受けてあっという間に、お金が貯まります!」
「そうね、明日は頑張らないとですね!」
「頑張るぅ~~」
「そうだな、明日のためにクィナのお尻枕をしてもらう」
半分冗談で言ったが、彼女は顔を赤くし、ものすごい勢いで拒絶した。
一体何でそこまで嫌がるのかを聞くと、
「変態っぽいですっ!!」
という理由だった。
全くその通り過ぎて反論できねぇ!!
普通に膝枕で我慢した。




