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道化と冠  作者: 青螢
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今後の方針

 飯を無理やりにでも食わせて、その後風呂場に放り込んだ。服は適当に何とかするだろう。

 ハクが風呂に入ってる間、俺は二階でちょっとした作業。

 階段を上がると通路の真ん中に出て、木の扉が通路の右に二つ、左に二つ、奥に一つある。部屋の大きさは、奥が一番広い。他はそこまで変わらないかな。

 奥と左の奥は完全に倉庫部屋として潰してて、右の手前はちょっとした作業部屋。右奥が俺の部屋で、左手前は……おっと言えない。

 んー、作業部屋は片付けんの大変そうだしなー……左奥でいっか。

 左奥の部屋の荷物を全部奥に押し込む。と言っても、アイテム欄で動かすだけなんだけど。

 奥の部屋が広くて助かった。いつも適当に放り込んでるから、こういう機会に整理でもすっかなぁ……。

「よし、入った。満杯になっちまったけd……ちょっと奥の部屋、雪崩とか起きねぇよな……?」

 開けた瞬間中身あふれ出るとか言ったら嫌だぜ? 

 倉庫部屋を放置して、綺麗になった部屋に入り、くるりと見回す。

 ドアと逆の方に大きな窓がある長方形の箱。床はフローリングなのは変わらない。壁は茶色の布っぽい壁紙。

「んー?」

 ハクって何色が好きなんだろう? とりあえずだから適当に家具配置してもいいかな?

 ベッドやカーペット、カーテンなどを配色に気をつけておいていく。

「……こんなん?」

 まぁ、今んとここれでいいか。明日になったらすぐにでも希望とって何とかしよう。

 配置とかはアイテム欄からだから簡単だしな。家具アイテムとか手作りだからたくさんあるんだぜ……!! 作ってもいきばがないから可哀想なくらいなんだぜ……! 売れよっていうな!!

 さて、んなこたどうだっていいな。そろそろ下にいくか。リビングにいればそのうち来るでしょ。

 あ、部屋わかんなくなると困るかな。扉の外にネームプレートを下げておく。俺の部屋にも一応。

「これでよし」

 木の板に墨で名前を書いただけだけど、ないよりゃましだろ。満足してタンタンタンと階段を下り、明日のことを考える。

 何からするべきか。とりあえずハクの部屋だよなー。後一緒に生活すんなら色々ルール決めないとだめだよなー。あそこにいたってことは行く場所ないんだろうし。

 まぁ、今日はゆっくり休んでもらおう。まずはそれからだな。


 ~Side・White~


 クロ、わかってるのかなぁ?

 ご飯のこのおいしさは異常だし、大体お風呂なんて、宿にだってないんだよ?

 普通のゲームだったら味もしないご飯なんて作らないし、お風呂に入ろうだって発想もない。だからみんな今泣いている。

 なのに、クロは……。

 クロのこの恩恵にあやかってる俺は、すごく、贅沢だ……。

 というか、たぶんすぐにお風呂なんて作ったわけじゃないだろうし、ゲームの時に作ったんだよね? 何で作ろうとしたんだろう……。

 それもある意味贅沢な気がする。不必要なことをする贅沢?

 というか、どうやってつくったんだろう……? 仕組みも謎だ。

「……?」

 あ、ちゃんと服脱げる。というか、普通に脱いでたけど、アイテムとしてしまえばよかった。

 髪飾りは面倒なので画面を操作してしまう。……現実より楽でいいなぁ。

「あ」

 髪、洗うのか……。かっこいいと思って長髪にしなければよかった。洗うのめんどくさい……。

 あれ? シャンプーとかあるの? 髪長いけどリンスするべき?

 色々悩んで浴室に入る。

 お風呂は現代にありそうな普通の浴槽だった。家の外観は中世ヨーロッパとかそんな感じだったけど、中は普通に現代日本だった。

 あぁ、でも生活空間はここだけみたいなこと言ってたから、使いやすいようにかな?

 タイル張りの浴室に、すりガラスの窓、ワイヤー製のシャンプーとかを置く台、壁に埋め込まれた鏡、壁に張り付いたフックとそれに引っ掛けられたナイロンのタオル。

 ちゃんとシャンプーもリンスもボディソープもあった。ボトルに入って。あ、洗顔料もある。固形石鹸まで……。

 だからなんであるの!!

 後この窓どうなってるの!? ちょっと開けたら森が見えたよ!? でもこっちの方って隣のブロックがあるはずだよね!? なんで森が見えるの!?

 ……考えるのやめよ……クロはいろいろ規格外だと思う……。

 皆俺のこといろいろ言うけど、俺としてはクロの方が異常だと思うよ……。えっと、ちーと、だっけ? だって、ねぇ? もう、本当、色々おかしいよね? ね??

 プラスチック製の椅子と桶もしっかりある。何? このいつもこのセット使ってますよ感。シャワーまであるし……。普通にシャワーだよ……。現実と変わらないよ……。

 クロのこういうスキルって、きっと俺のメインレベル以上にすごいことになってると思う。

 遠い目をしながら髪を濡らす。

 シャンプーはなんだろう? フローラルっぽいいい匂い。リンスも同じ。

 ボディソープは柑橘系。タオルはつかっていいかわからなかったから使わなかった。他人が勝手に使うのは嫌って言うかもしれないし。

 手洗いだとあんまり汚れが落ちた気がしないけど、そんなに汚れてる気がしないから大丈夫だよね。

 ゲームみたいに汚れたりしないのかな? モンスター倒しても汚れたりしなかったし……?

 顔も洗って、お湯につかる。入浴剤は乳白色で、ミルクみたいにふんわりした甘いにおいがした。

「んふぅ~……」

 あったかい。気持ちいい。強張っていた体がほどけていくみたい。

 ゆっくり息をついて力を抜く。

 ん、ねむくなってきた……。

 こんこんっ

「ハクぅ? 寝てたりしてないよな?」

 クロの声が聞こえる。

 あ、まずい。ちょっと意識失ってたみたい?

「ハク? おーい?」コンコンコンっ

「あ、だ、だいじょぶ! もうあがるから!!」

 ぼんやりとしていた頭を無理やり起こして返事をする。

「ん。ならよかった。リビングにいるから、出たらおいで。あ、後棚のタオル勝手に使っていいから。使い終わったらそこの籠に突っこんどいて」

「はーい」

 素直に返事をして扉の外の気配をうかがう。

 あれ? すぐそこのドアの前……脱衣所兼洗面所みたいなほうにいるのかと思ったけど、廊下から声をかけてた? なんで?

 あ、早く出ないと。

 勢いよくお湯から立つと少し眩んだ。貧血? うー、のぼせたかな?

 ゆっくり脱衣所の方に戻って、洗面台と逆の方にあった棚に置いてあったバスタオルを借りる。

 体を拭いて、服は……どうしよう……部屋着とか持ってないし……。

 昔の青っぽいローブが一番やわらかそうだったからそれを引っ張り出して着る。

 髪用に小さいタオルも借りて肩に引っ掛ける。バスタオルの方は籠に入れてから、リビングの方に戻った。

「んぁ、ハ……ちょ、服いいのない? もしかして?」

 ソファに座ってコーヒーを飲んでいたクロが首だけで振り返り、こっちを向いて固まる。

「うん……」

「あー、ちょっと待っとけ。なんかあったと思うから」

 そう言って立ち上がるクロを俺は止めた。

「そ、そんな迷惑かけられない……」

「でもそんなんじゃ寝れないだろ? んー、でも気になんなら、そうだな……じゃ、今度俺の実験に付き合ってくれね? こんなんなって、いろいろ気になることがあってさ」

 クロは俺が気にするからって交換条件を付けてくれた。確かにその方が少し気持ちは楽になるけど、そんなの、クロのお願いなら何でも聞くのに……。

「わ、分かった」

「じゃ、交換な。っと、その前に、ここ座って、ほら!」

 さっきまで自分が座っていた場所を指し示して、俺を促す。

 俺は疑問符を浮かべながら従った。

「リアルじゃ髪短いだろ? 男だもんなー? 髪乾かすからちょい待ちな」

 そういって肩にかけられていたタオルを取って、まず毛先の水分をぬぐい、その後頭の方をかき混ぜるように拭いて、少し髪を手櫛で梳かれた。そしてまた毛先の方をポンポンと叩くように拭く。

「うーー……」

 目をギュッとつぶって耐える。何とも言い難いこの感触……むーーー。

「はいはい。んじゃま、ちょいっと実験に付き合ってもらうかな」

「え?」

 今から? 何するの?

 実験という響きに少し不安になる。

「熱かったら言って?」

 ふわっと風が起きて、髪を大きく揺らした。

「温度感じる?」

「んー? 無温?」

 何も感じない。ここまで感じないことってあるのかって言うくらい感じない。涼しくも熱くもなんともない。逆に変な感じがする。

 風が髪を揺らして少しくすぐったい。

「そっかー。やっぱ熱風魔法だからか? 攻撃魔法って認識されてる? あ、でも乾いてきてるな……ん、急に乾かしたら痛むかな……」

 クロはぶつぶつ言いながら俺の髪を風によく当たるように動かした。

「あ、今温かくなった」

 突然温度を感じるようになった。暖かいと言うより少し熱いくらい。……ドライヤー?

「んー? なるほど。温度調節なんてモノができるのか……ん、ありがと。またなんかあったら言って?」

「ん」

「んー、なんだろう。気持ちの問題? やろうとしたらやれるのか? 色々試してみる余地はありそうだけど……」

 クロはぶつぶつ言いながらも手は休めずに動かした。器用だよね。

 髪をぬう指の感じが気持ちいい。猫だったら喉を鳴らしている気がする。

「ハクー? まだ寝るなよー?」

 色々疲れが出てきたのか、うとうとし始めた。

「んー……」

 瞼が重くて持ち上がらない。こっくりこっくり頭が揺れる。

 しばらくそうやって舟をこいでいたけど、クロが終わったのか髪の毛を櫛でときはじめ、それも終わったのか肩をポン、と叩かれた。

「終了! ハーク。起きて。んで着替えてー」

「んー」

「ほら、部屋は二階だし! ほらほら!!」

 クロに追い立てられて、ゆっくり立ち上がって歩く。

「階段気を付けてな!」

 引っ張られて、躓きそうになりながらも二階へ上がった。

「はいこれ着替え。新品だから安心してな。なんか足りなかったら言って……って、もう夢の中か? じゃあ、おやすみ」

 服を受け取って、ぼんやりしている間に一人になっていた。

 着替えないと……せっかく探してもらったんだから……。

 のろのろと着替えて、近くにあったベッドに倒れ込む。

 そのまま毛布も掛けずに、泥に沈むように眠りに落ちた。


 ~終~


 ……ハク、ダイジョブかぁ? 最後すんげぇ眠そうだったんだけど……。

 ま、まぁ、やっと眠気が出るほどリラックスできたんだろうし、いいのか?

 ハクのいる部屋を振り返って微妙な顔をしつつ、一階に降りる。

 飲みかけのコーヒーをとって、ダイニングの方のテーブルに座ってから一口飲む。

 すっかり冷えていた。

「ま、別にいいけど」

 そいや、ハクとあんなにしゃべったのは初めてかもな。あっちが……あのちょっと子供っぽい感じが素なんだろう。

 ……無口なほうを知ってる俺がいたら、素の方だしづらくなったりするか?

 ゲームみたいに短い間だったらいいけど、長期間一緒に暮らすことになったら、キャラ作ってたら疲れそうだよな。気にしないように言っとくか。

「ふぅ……」

 コーヒーを飲み干して考える。

 俺も風呂入らないとなぁ。あ、その前にハクが起きた時に俺が起きてるかわからんからなー。書置きは残しとくか。

「二階は自分の部屋以外はいらないこと! 一階は好きにしていいけど、キッチン奥の扉には触らないこと! あと案内してない場所には近づかないこと。お腹減ったら冷蔵庫漁ってよし」

 こんなもん? あとで扉の外に置いておこう。

 手紙(?)を書き上げてから、とりあえず机に置いて、空のカップを置きにキッチンへ。

「んー?」

 もうだいぶ夜だけど、眠くないし、いろいろやるか。あー、でも明日起きれないのは困るかな。

 明日の計画をしつつ、余ったチキンライスはおにぎりにして冷蔵庫へ。なんかあったらそれを朝ごはんに。あ、ちがう、アップルパイだっけ?

 パイ生地はちょうどある、林檎もあるし……よし、作っとくか。アップルパイは朝ごはんになれます! ただのケーキとかはだめだけど!

 現在十時。作り終わったら……問題ない。オールでもいける。でも生活夜型になったら困るからできるだけ寝ようとはしよう。

 林檎を煮詰めて、食感を残しつついい感じに味付けして、パイ生地に詰め込んでオーブンで焼く。

 焼くのはキッチン横の扉の奥、厨房だぁ!!

 キッチンの奥に厨房……。もう意味わかんないよね。なんでこんなつくりになってんだろ……アハハ←つくったやつ

 しかも残念ながら広さの関係でオーブンは厨房の方にしかないって言うね。本当意味わかんね(笑)

 アップルパイが焼き上がるまでに風呂に入って、焼き上がりを確認。うんうん、いい色いい匂い。

 適当にカットしてから冷蔵庫という名の倉庫もどきにぶち込む。

 これ、しっかり棚があって、そこに詰め込んでおけば形は崩れないし、腐敗もしない。時が止まったみたいになるっていうだけの箪笥? みたいなやつなんだよね。アイテム欄では見れないし、一つずつしかしまえないけど、食料用だからそれは当たり前。

 焼き立てでしまえば焼き立てのまま出せる。もうそれ冷! 蔵庫じゃねぇ!!

 ……。

 なんかむやみにハイテンションな気がするなー。疲れてんのかな……。

 そろそろいい時間だし、今日は寝ることにしよう。……そう、新しい今日! 零時こしましたよ~。

 なんかまだやることあった気もするけど、もういいや、疲れたから寝る。

 明日はできれば早く起きよう。ハクに温かい朝飯食わせてやりたいしな。いくら残り物でもね!!

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