ハク=嫁?
すみません長くなりました。一話一話の長さが不ぞろいすぎて申し訳ありませぬ……。
クリスマスですね! 進みが早かったら季節ごとの話書きたかった! 悔しぃ!!
というか、この話は一体いつごろ設定なんだっていうね!(決めとけよ
あ、題名アレですけど、BLではないデスヨ。ホントデスヨ。
「アリスは……水色のマントを被っていてね。口元しか見えなかったよ。しゃがんでいたし、背もよくわからない。何か変わっていてもよくわからなかったな。三月は女性だね。胸がかなり大きかった。背は百六十あるようには見えなかったかな。顔は、結構美人な部類かもしれないな。可愛い系かもしれない。だが、勝気な目は変わっていなかった。声も変わらなかったと思う。もちろんウサギの耳はなかった。以上だ。何か気になる点はあるか?」
探すために帽子屋から二人の容姿を聞いて、俺は少し考える。
「なぁ? お前さ、例えば、例えばだぜ? 二人が顔中やけどだらけの醜い化け物みたいなやつだったとしても受け入れられる?」
三月は違うだろうけど、マントをかぶっていたというアリス嬢は何か外見をさらしたくない事情があったんじゃないか?
それを暴くことになる? それでいいのか? そもそも勝手に踏み荒らしていい領域ではないだろう。それをする覚悟が帽子屋にはある?
「……正直言って、わからない。だが、ただ離れていくのは悲しいと思う。せめてメールでだけでいい。一言だけでいい。最後に話をしたいんだ」
「ん、そっか」
それくらいならなんとかなりそうだな? 最初よりハードルが下がったから行けるかもって思っちゃっただけ?
とにかく見つけないと話にならんか。
「よし、じゃ、もし見つけてもがっつくなよ? おけー?」
「わかっている」
「よし、じゃ、おやすみ帽子屋。間違ってもこれから動こうとするなよ。睡眠不足からの思考力低下を甘く見んな」
もう一回念を押してから俺は席を立つ。
「いいか。絶対、絶対だぞ!? 絶対だからな!!」
「これはフリか何かか?」
押すな押すなじゃねぇよ!!
念の押しすぎは逆効果のよう……って当たり前か。
「まー、真面目にな。お前マジ顔ヤバいぞ。寝てないの丸わかり」
「お前は大丈夫なのか?」
おー、それを聞いちゃうかー……。
「半日近く寝ちまったぜ……」
「それは……バカだな」
ストレートに言ってきやがるこいつ。ねぇ、殴っていい? 殴っていい??
俺だってやっちまったって思ってんだよ糞がッ!!
「殺気を感じるな」
「失礼な」
ソンナコトナイヨー。
「では、とりあえず宿をとることにしよう。お前の話だと最低ランクか最高ランクくらいしか空きはなさそうだが……」
「そらなー……仕方ねぇだろ。まぁ、一泊くらい高級ランクにでも泊まったら? 罰は当たらんだろ」
ずっと寝ずだったらしいし、やっすい宿のかったい布団で眠れなかったら本末転倒だかんな。
「ふふふ。そうだな。少しくらい贅沢してもいいか。『グランジュアリー』にでも泊まろうかな」
「このゲーム内最高峰のホテルじゃねぇか……」
「あぁ、一階でいいから泊まってみたいものだよ。くすっ」
無理してるようでも、少しでも笑えるようで結構。冗談言えるようならなおさらいいね。
「まぁ、どこでもいいさ。今ならどこでもねられそうだし、しっかり休んで体調崩さないようにせねばな」
前向き発言が出たところで、俺は今度こそ立ち去ることに。
「そそ。んじゃ、お互いガンバ☆」
「あぁ、助かった、ありがとう、よろしくな」
「うっし」
さて、アリス嬢を探すのか……あー、どうするべきか……。
あ、そうだ。こういう時の変態がいた!!
フレンドリストからそいつがログイン中なのを確認してチャットをつなぐ。ギルマスとリリア嬢からの通知がさらにヤバいことになってたけど気にしない方向で。
数回電話特有のトゥルル音を聞いて、いきなりハイテンションな声が聞こえてきた。
「黒鷺じゃーん!! ひっさしぶり!! お前も巻き込まれたんだ!?」
チャットってね、耳元に手を当ててやるんだよね。じゃないとだめなんだけど、耳に痛すぎて思わず手を離したくなった。
俺悪くないよね?
「うるせぇー」
「あ、ごめごめ! で、なに!? なしたん!? 僕に用!?」
俺の文句はほぼなかったかのようだ。音量が変わらねぇ……。
「用無かったらかけるかよ」
「ですよねー!!」
何でこいつこんなにテンションたけぇんだよ……。
俺が知ってるこいつは男だったけど、声がかなり高いな。女だったか?
「セツナ?」
「はいはい?」
「俺間違い電話してる?」
「んなわけないじゃーん!! 僕は僕だよ!? 僕僕詐欺なんかじゃないんだからねっ!」
……どうしよう、テンションがついてけないよ……。
てか聞きたいのそう言うのじゃなかったんだけど……ま、いっか。関係ないし。
セツナ。ハイテンション特徴だけど、今は異様に高すぎる。ついでに落ちる時はとことん落ちるやつ。最高と最低の差が激しいって感じ。まぁ、たいていの奴には受け入れられるから、顔が広い。だから情報網も広くて、よく活よ……頼ってる。
「あ、あー、あのさ?」
「はいはいはい?」
「お前サブ職『追跡者』まだもってたりすっか?」
サブ職ストーカー。うん、変態って言ってる原因は主にここにあるかもしれない。
フィールド上に対象がいて、対象がフレンドリストにストーカーを登録していれば現在の居場所を特定できる、ある意味怖いサブ職である。
「持ってるヨー!」
若干イントネーションがおかしかった。テンション高すぎて頭までおかしくなってね? きのせ? まいいや。
「んで、三月ウサギのこと知ってる?」
「あぁ、はいはい。緑髪の毒舌スレンダー美女! ウサミミも可愛かったよねー! 無くなっちゃうなんて残念……」
「フレンドリストに追加されてる?」
「何回か大規模戦闘でご一緒したからねー。外されてない限り。ちょいま……おけ。できそ。ふぅん。兎探し? いいよーやるよー! 報酬はー!?」
話しが早くて助かる。けどやっぱ耳痛い!! 音量落とせ!!
「成功報酬! 宿どまりだと思うから、場所わかりそうだったら言って。とりあえず三日おきに一応報告して。姿見せても連絡して。んで、ある程度何が欲しいかメールよろ」
まだできるかどうかもわからないのに報酬の話されてもねぇ。
「んー。わかった! 何個か欲しい魔法とかあるんだよね~!!」
「無理なものは無理だかんな?」
そこは要相談。作れるなら作ったりもするけど、魔法系は難しいし……。集めるのもな……。
「わかってるって! 他には?」
「あー、アリス=りでるは知ってるか?」
アリス嬢はあんまりフレンドリストって登録しない方だから望み薄。
「しってる……けど、連絡はしたことないし……」
やっぱ無理か。
「おけ。じゃ、三月ウサギだけ頼んだ」
「りょかーい!!」
「ついでに水色マントの背は百六十の±五センチの範囲内、もしくはアリス=りでるっぽい人見かけたら教えてくれ」
「もちばち☆」
「頼んだー」
「あいさーまたねー!!」
チャットを切る。
「……はぁ」
耳が痛い。
トゥルルルル!!
「ふぁっ!?」
きった直後に通知くるって何事!? あれ? 通知切ってなかったっけか俺!?
「もしも……」
「あ、ごめごめ! 僕。セツナだよ~☆」
あぁ、さっきまでチャットしてたから通知生きてたんだ? まだ猶予期間だったのか。びびった……。
「あのさー、白狼サン。ものほんの美人だったねー!!」
「あー、そうだなー」
あいつ顔隠してないのか? 大丈夫か?
「もしかしてお探しじゃなーい?」
「ん? 知ってんの?」
俺もちょっと心当たりはあるけども。
「たぶんねー!! さっき見たんだよー!! あっちの方向は……「妖精の箱庭?」って知ってたぁ!? なんだよー!! 驚かせようと思ったのに!!」
妖精の箱庭だけハモってやったらぶーぶー文句を言ってきた。ふふん。だてにあいつの顔で思考読めるようになってないぜ。
「早く迎え行ってあげなよ! 僕ら、ある程度生活は確保できるけど、白狼サンはそうじゃないっデショ!?」
そうなんだよなぁ。もっと心に余裕があったら気づけたのに。
はぁ、俺ってばばか……。
「行くから切るぞ」
「イッテラ★ ガンバッテネ☆」
むっちゃ早口でそれだけ言ってきりやがった。
もう俺こいつの相手で疲れたよ……。
そしてやってきました『妖精の箱庭』。
夜でも蛍みたいな明りにあふれて幻想的な様子を見せてくる。
ハクが俺を待つときの定位置、大きな切り株に、こちらに背を向けて座っていた。
その背中は途方に暮れているように見える。ぼうっとしてるのか、俺には気が付いていないようだ。
「ハク?」
「っ!?」
そっと声をかけると過剰に肩を揺らして、恐る恐る振り返る。
「ハク!? どうした!?」
俺を見るその目は、少しうるんでいた。
「なした!? 痛い? 辛い? なんかあった? だいじょぶか!?」
急いでハクの傍にしゃがんで聞き出す。ちょっと見上げることになったが、顔はちゃんと隠れてるっぽいから問題ない。
「だいじょ、ぶ……」
かすれた弱弱しい声が何とか、といった風情でハクの口から零れ落ちる。
全然大丈夫そうに聞こえないし見えないんだよ!
「ホントかよ!?」
いつもぐっと黙って我慢するんだから! 俺がちゃんと気づかないと!! とかいう使命感に動かされて、俺はしっかりとハクの顔を見つめた。何かを見逃さないように。
「少し、疲れただけだ」
「そうか? それならいいんだけど……」
あんまり言っても聞かないのは知ってる。だからここはいったん引くけれど、何も言ってくれないのは少しさみしい。
「クロは? 大丈夫か?」
……俺の心配までしてくれる、なんていいこなの!!
「大丈夫だぜ。心配してくれてサンキュな」
「んんん。クロが大丈夫ならいいんだ」
? 今日はいつもより饒舌な気が……。
ハクはうつむいた。俺の方を見下ろすわけじゃなくて、疲れて会話を拒否するように。
なんで? どうして?
ハクにも俺と関わりたくないような事情があったりした? 踏み込んじゃだめだった?
でも俺は、気になるからハクのこと知ろうとするぞ。良いも悪いもいつも言わないから、だから踏み込む。嫌ならちゃんと拒絶して。
「ハク、お前行くとこあんの? もしかしてずっとここにいたりした?」
ぴくっ、と肩が揺れる。図星か。
おかしいと思ったんだよ。なんでこんなところにいるんだろうって。いくら人気がなくてもさ、夜だぜ? 普通なら帰って寝る支度する時間だろ。ある意味物騒なんだから、早めに門は閉じるべきだ。
それとハクの表情。疲れて、途方に暮れて、迷子の子犬ってこんな感じじゃね? って感じ。
「……飯ぐらい食った?」
「……食べた」
俺とは反対方向に少し視線をずらす。図星ですねっ!? 何日たったと思ってる……!!
「今の間はなんだ、ハクぅ?」
「く、果物を食事にしていいなら食べた」
「お前はダイエット中の女子か!」
自分でもおかしいと思ってるならちゃんとした食事をとりなさい!!
「だ、だって、ご飯美味しくない。食べる気がなくなる。果物は美味しい。だから……」
少しいじけモードが入って、視線を逸らしまくりながら言い訳してくる。
「ご飯がおいしくないってさぁ……」
それくらい我慢しろよ! 死活問題だろ!? いや死なないんだけども!!
「ダメだ。砂みたい、絵具みたい、薬みたいな味がする。紙でも食べてた方がまし」
紙以下の味って何!? 普通に料理したらそんなん……ん? 料理スキルの問題か?
だとしたら料理人は少ないし、流通してるのならNPCが作った既製品しかなくなる。イコール、低レベルの物しかなくなるか。で、低レベルのものは味も保証しないと。
ゲームらしくコマンド選択で作れば手作業に劣るし、NPCが作ったことになる既製品はさらに……。もしNPCが最高級品を作ったとしても、俺の作った料理の下の下くらいのレベルしか……。基本的にNPCは全部に置いてPCに劣るからなー。
そう考えるとヤバそうだな、味。あぁ、帽子屋のお茶がまずいってそう言う理由だったのかもしれんな。
料理スキル持ってる職業なんて限られてるし、そんなの持ってるやつなんてさらに限られる。ただのゲームじゃ使えない屑職だったから。趣味にするのにも味がないんじゃって感じだったし。
じゃ、無理か。砂は食いたくないもんな。……あぁ、今食糧問題が起こってんのか? 餓死者が増えるかね。死なないだけマシとは言えないな。ずっと空腹で苦しむのか?
……あれ? 俺今なら生産チートで頂点極められる気がs……やめよう! 不謹慎だ!!
「ごほんごほん!!」
「く、クロ?」
突然咳き込んだ(咳払いのつもり)俺に、気遣わしげな声がかけられる。
「ナンデモナイヨ。で、ハク」
邪な思いが一瞬よぎったが、無かったことにして、俺はハクに提案する。
「なぁ、俺自分の家持ってんだ。だいぶ広くて、部屋も余ってる。どう? 一緒にすまね?」
帽子屋には提案する気も起きなかったけど、ハクなら全然いい。
「え……」
「おいしいかどうかはともかく、ちゃんとした味のする料理、食べさせてやるよ」
なんか微妙なセリフだな、いろんな意味で!!
ハクは俺の顔を見て、ポカーンとして……ハクには珍しい間抜け面だったな。それから数秒後、視線を泳がせて聞いてきた。
「い、いいのか?」
「俺が提案してんだぜ?」
「でも、姿見せたくないのに?」
どうも最初に顔を見せなかったのがちょっとしたトラウマのようになってるらしい。
「気にしないでくれよ。俺が慣れるまで、少し待ってて。それだけの話。お前が嫌とかじゃないぜ? いやか?」
「べ、別に……。あ、でも、迷惑……」
「だーかーらー、俺が提案してんの。迷惑ならまず勝手に頑張れとしか言わねぇよ」
帽子屋みたいに。……いや、別に嫌ってるわけじゃないけど、嫌ってるわけじゃないんだけど!!
たっぷり一分くらい、ハクの中で色々な葛藤があったらしいが、結局。
「ふ、不束者ですがよろしくお願いします?」
……ハク、それちゃう。嫁さんの言葉や……。
え、ハクは俺の嫁?(錯乱




