表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道化と冠  作者: 青螢
11/69

嬉しいよ

 さってと。約束の場所に到着でーす。

 本日のメニューは推奨レベル百二十のダンジョン『地下迷宮』。上級者向けとなっております。

 そこは一パーティずつ違うダンジョンになって、毎回ランダム。だから自分たち以外の誰かに会うことはないし、攻略法はほとんどないに等しい。

 全五階層の迷宮式地下ダンジョン。広大なマップ。最下層には『ミノタウロス』という大ボス。きゃっ! なんてよくあるダンジョン!!

 そこそこ強いし、落ちてるアイテムも多いし、ちょうどいい練習場になるから大人気。でも他の誰にも邪魔されない。超ステキ物件。

 ただ、暗いし、洞窟っぽいから圧迫感もすごいし、苦手な人もいるみたいだけどなぁ。まあ、だったらバーチャル世界向いてない気もするけど……。

「ハクっ、お待たせ」

「今ついた」

 ……おい、これこそデートの定番……やめよう。俺のために。

「じゃ、行くか。今日は俺もはりきっちゃうぜ」

 いつもだるだるだかんなー。ひっさしぶりにガンガンいきますか☆ ……うん、ハクがいればほとんど俺要らないんだけどね、あはは……。

「クロっ」

「ん? どうした?」

 あぶねあぶね。卑屈になっちまってたぜ。

 耳まで真っ赤に(俺フィルター)したハクが緊張しながら(※俺以外にはそう見えないかもしれません)、俺の名前を呼んだ。

「終ったら、話しが……」

「? わかった。『箱庭』行くか?」

「ん……」

「うし。えぇっと、楽しみにしとくな?」

 話の内容を言わないってことは、後でのお楽しみ、でいいんだよな? 言いづらいってことじゃないよな??

「ん」

 お、俺の選択は間違っていなかったようだ。ハクは少し嬉しそうにうなずいた。


 洞窟三階層くらいまではサクサク。出てくるモンスターは蝙蝠っぽいやつとかネズミっぽいやつとか、動物系が多い。

 んで、動物系は光や炎系の魔法に弱いから、ハクの敵じゃない。なんてったって『蒼炎の魔術師』ですから。炎と氷はハクの十八番。

「“フレイムアロー”」

 スキルがカンストしてるから呪文の最後だけでも威力は減少しない。

 いやぁ、ハクだったら厨二乙な呪文でも超似合うからむしろ言ってほしい気もするんだけど。

「今日もハクサン絶好調っすねー」

 パシリ口調になりつつ俺はハクの後ろをフォロー。蝙蝠さんもネズミさんもわんさか来るからねー。一人で来ると背後注意が半端じゃない。

「クロ、魔力温存?」

「え? いやいや。さすがに全力でやんなきゃダメな相手でもないし、回復アイテムもあるから心配すんなよ」

 うん、心配すべきはハクだろー? バンバン魔法撃って……チートなのはわかるけどさ。

「でも……」

「大丈夫だってば。安心しろよ。あぁ、ボス戦楽しみ~♪」

 ちょっと強引にでも話を変える。いっつも守られてっかんなぁ。俺は弱くもないし、おこちゃまでもないつもりなんだけど。

 なめられてるとは思ってない。心配性すぎるとは思ってる。

 それをさせてる俺がいけないのか? んー、どうしたらいいんかねぇ? どうもできないよな……。

 てか、なんでこんなになつかれてんだかって思わなくもない。なんかしたかね?

「“青く光るは凍える炎 赤く燃ゆるは輝く氷 アイスファイア”!」

 俺はスキルカンストしてないし、短縮するのでいっぱいいっぱい。ついでに言えば、この魔法はハクも使えるしさ。もちろん俺なんかよりも強力で、スキルカンストだぜ?

 初心者だったらよっぽど強いやつとつるみたいだろうって思うんだけどなー。

 別にただただ卑屈ってわけでもないんだけど、なんか、腑に落ちない? っての? なんだかねーって感じ。

 ま、気にして遊ぶのヤダ。とか言うんじゃないから、別にどうでもいいけどさ。

 うーん、なんだかなー。

「クロ?」

「んあ? あ、なんでもねぇ。ちょっと俺もレベあげした方がいいのかなーって思って」

 嫌がらせとかそんな問題じゃないよな、普通なら。フォローしあえてこそのパーティだもんなー。普通のバトルでもハクに任せっぱなしなのはだめだったか。気にしろよ、俺!

「無理する必要はない」

「頼り切りもよくねっしょ」

「もっと頼ってくれていい」

 真顔でそんなこと言いなさんなよ……。

「今でも頼りすぎだと、俺ぁ思ってんよ……」

 ハクの言葉をスルーして、小声で言い返す。

 だめだなぁ。ハクの前では先輩面してぇのよ。負けたとかは思ってねぇけどさ、せめてお荷物になるような場所にはいるべきじゃなかった。

 最近になってそれをよく感じるぜ。気にしなさ過ぎて、気が付くのが遅かった。

 はぁ、まぁ、気がついたらやるべきだよな。うん。なんかあったらできるだけ力になろう。よっし。

「ハク、俺頑張る!」

「?」

 そう宣言しても自己満で、ハクには伝わらないけどな。伝わらなくていいんだよ。俺の気持ちだからよ。


 はいっ。ミノさん討伐してきたぜ~。

 ちょいレアもんの『極上霜降り牛肉』いただいてきました!! うはっ! 現実だったらもっと嬉しんだけどな!! 肉は大好物です。

 VRMMORPGは敵とかに触れるからってさ、実際に素材を敵の死体から剥いで来い。とか言われなくてよかったって思うな、俺は。

 血とかは出ないっつっても、解体作業なんてできないし、できればやりたくないし。インドア派にはハードル高いぜ。

 アイテムは袋みたいなのになって落ちてくる。んで、パーティだったらランダムか、代表のバッグに回収される。

 今回はランダム。でも俺が欲しいアイテムがあったら交換とかくれたりする。その分ちゃんと金を少なめにとったりね、そういうのは大事です。

「ふふ~ん♪」

 いろんな鬱憤込みで暴れまわったし、欲しかった素材は手に入ったしで、超ご機嫌な俺さんですっと。

 換金アイテムは売り払って、それ全部のお金を二人でいい感じにわける。それからまた移動。

 『妖精の箱庭』につくと、定位置となっている大きな切り株に座った。

「んで、話しってなんだ?」

「……」

 ハクは無言でごそごそとバッグを漁る。っていうのは比喩で、実際はアイテム欄の中を漁っている。

アイテム欄は実際にバックを漁るか、ステータス画面からアイテム欄を呼び出すか。ハクはステータス画面からアイテム欄を漁ってる。

 まぁ、バックを実際漁るとドラ○もんみたいにいろいろ取り出して散らかすことになりかねない。目当てのものが見つかりにくいんだよなぁ。リアルでもバックに持ちもんいっぱい入ってると探すの大変だろ? そんな感じ。アイテム欄だと一個ずつ整理されてるからおすすめ。

 完全にバックの中に何が入っているかを把握して、それで探すと一発で見つかるらしいけどね。

 ちなみにステータス画面とかのボタンは、目線で動かす(難易度高め)のと、空中に表示されるのを触る(一般的)のがある。

 ハクは目当てのものが見つかったようで、それを手のひらに出現させると俺に渡してきた。

「これ……」

 手のひらサイズの小さな黒い箱だった。少しの高級感が漂っている。

 今日は箱に縁がある……?

「いつも、ありがとう」

 早口でそれだけ言って、恥ずかしそうに下を向いてこっちを見ようとしないハク。

「……え、ぷ、プレゼントってこと?」

「……」

 こくり。

「おぉ~……」

 プレゼントとか、プレゼントとか!! かわいすぎんじゃん! 何!? めっちゃいい子!! 俺こそいつもありがとうなんだけどさ!?

 なんか、すげぇ感動。ほんと俺なんもしてないのに……。むしろ足引っ張ってる気がすんのに……。

 いやいや。そんなん考えたらダメだよな。うん。素直に喜ぶべきだ。卑屈さんさようなら~。

「開けていい?」

「……」

 こくこくっ。

 中はベルベットが敷かれ、真ん中にはピアスが乗っていた。

 ピアスは薄い金属で、白銀の縦に長い二等辺三角形。その中央にあいた穴があり、小さな青い石がつるされている。それと表面には紋章とはまた違った模様が。

「綺麗」

「片方しかできなかった。ごめん」

 確かにピアスは一つしかなかった。でも、これ手作りだよな? しかも結構なレベル・材料に見えるぞ?

 俺のためにわざわざ作ってくれたんなら……言葉も出ないほどの感動だよ、まったく。あぁ、何? 俺のこと萌え殺す気?

「全然。超ステキ。マジでもらっていいの?」

「ん」

「ありがとう! 大事にするな」

「ん……」

 ほっとしたのか顔をあげて俺を見てはにかむ。

 くっ、わざとだとしたら大分あざといぜ。

「でもなんで? うわぁ、俺のが世話になってんのに、なんかごめんな?」

「違う。クロは優しい。いつもいつも。だからお礼」

 少しムッとさせてしまったようだ。いつもよりも力を込めてそう言ってくれた。

「んー、そう?」

 全力でうなずかれる。お、おう……。

 言い争っても仕方ないし、ここはしっかりと想いを伝えましょ。

「ありがとうハク。マジで嬉しいよ。なっ、つけていい?」

「……」

 こくこく。

 右耳に……って、男がつけたらダメなんだっけ? 左の方がいいか。てか、前髪の関係上左の方が見えやすいかな。

 痛みを感じないからピアスを簡単につけられるのはいい。ぷつっとした抵抗だけでそんなに気持ち悪さもないし。

「どう? 似合う?」

 動くたびにちりんっと涼やかな音が鳴る。綺麗な音だから耳障りにならない。

 『細波の鈴音』。さりげなくアイテムの詳細確認したけど、名前にぴったりの感じだな。落ち着くわ。

「ん。似合う。よかった」

 ハクが嬉しそうに微笑む。

「うわぁん!! もうマジ! ハクあんがとー!! 俺も今度なんか贈るわ! タノシミにしとけよー!!」

 若干自分でハードル上げたような気もするけど、気にしない!! すんごいの作ってやる!

「ん。楽しみ」

 ハクったらさ、ちゃんと俺にあったものを選んでくる。この『細波の鈴音』だけどさ、俺にぴったりの効果あったよ。

 ホント、これつくんのにどんだけの労力使ったんだか……。

「もー!! ハクマジ大好き!! 愛してるー!!」

 勢いよくハクに抱き着いてみる。

「っ!?」

 ごめんね! 今日なんかナーバス入っててごめんね!! ハクが優しすぎて自分が汚れてて自信無くなってただけなんだよー!! 純粋ちゃんめー!!

 もういろんな感情があふれて、ハクをぎゅうぎゅう抱きしめる。

 あれだね、心の友よ~!! って感じ。

 混乱して、でも嫌がってないのをいいことに、俺は自分の気のすむまでハクを力いっぱい抱きしめましたとさ。てへペロッ★

 うん、ごめんね。やりすぎた気もしないではないや。

 だから十周年アプデで新しい材料手に入ったら、真っ先にハクにいいもの贈るね。それで許してちょうだいなっ。


 そういえば、ハクにもらったこのピアスの模様、どっかで見たことある気がするんだよね。デシャヴ?

 違うよな。あれだ、あれにそっくり。謎の物体X。何だろうね?

 ま、偶然だよな。フラグな気もするけど、結論、気にしない方向で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ