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前世オタクの私が魔法少女は解釈違い!  作者: 天氷岐 久音
だからコソコソがんばります

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第26話 リンク介入

隔獣の背板がセラ様のいる方向を向き、次々と黒光を放っているが無視!

これはヴァイセ・ブリューテに任せると決めた。


背板での攻撃にエネルギーを回しているためか、側面突起からの黒光弾や、近接防御反応のトゲの数はさっきに比べるとずいぶんと減っている。

牽制程度だ。おかげでだいぶ動きやすくなった。

どうやら隔獣もセラ様を警戒している。

さっき、アストラ・クラウンが装甲の各所を割りかけたことを重視しているな。


ちまちまとした傷しか与えてこない私のことは、ほぼ無視。

まぁ、間違ってはいない。

けれど、それが致命的な間違いだと教えてやる。もうちょっと後でな!


後方でちかちかと強めに三度光が瞬く。

後続三人が到着した合図だ。


たぶん。

ちょっと焦ってたから、そこのところ細かく擦り合わせてなかった!

だいじょうぶ、ヴァイセ・ブリューテとは二回共闘して通じ合えてる!


チラ、と上空を見る。

かなり高いところに、うっすら見える、ルミナの糸。

昔、あれが何なのか興味本位で辿っていったことがある。

辿った先では観測中継器に繋がっていて、軽くルミナで触れたら、甲高いノイズみたいな音がしてびっくりしたのをよく覚えている。

ルミナの出力が上がった今なら分かる。

あれは、境界層にある観測機器や、出撃している魔法少女間の通信網だ。


セラ様やヴァイセ・ブリューテにも糸が伸びて繋がってるのはさっき見た。

だから、私もルミナの糸を伸ばして繋ぐ。


よし、繋がった。繊細なルミナ制御は得意分野だ。


『魔法少女チェネレントラ・ステラです。巨大隔獣の臨界予兆を確認、よって魔法少女特措法第十二条三項、境界層における先行対応者権限に基づき、対巨大隔獣の臨時指揮権を求めます』


一息で言いきる。

境界層に入るようになって、特措法関係は頑張って勉強した。

法律違反は、知らなかった、は通じないからね! 言い訳と言いくるめのためじゃないよ?


『緊急! 未登録反応がリンクに強制介入して――もう通信まで?!』

『チェネレントラ・ステラ?? え、さっき変身したっていう?』

『法務担当は!? 繋がってないの?! 急いで確認させて!』


おっとマズい。混乱させた?


『特災庁の志島だ。局長権限で要請を受諾、指揮権を認める』


混乱が鎮まった! 助かった!


『ありがとうございます。現着した三名、魔法少女名をお願いします』


ここで、許可を改めて確認したり、次の指示に詰まったりすると流れが止まってしまう。

混乱する余地を与えないように、どんどん指示を出して、動かしていく。

正直、緊張で心臓バクバクだけど、声を震わせてはダメだ。


『ぁ、プリズム・ティンカーです』

『ミント・スパークです!』

『ノワール・ガルド。指揮よろしく、チェネレントラ・ステラ』


円卓来た! マジか!

ノワール・ガルド。黒き姫騎士。守りのトップ! 通称ノワ様!

さらっと私の指揮を認める発言、場の空気を読んだ上での後押し。ありがたいけど、プレッシャーもすごい。


それに他の二人も良い魔法少女だ。戦術に幅が出るタイプ。


『プリズム・ティンカーさんはセラ様の左斜め前方、隔獣との中間点に進出。鈴魔法、反響の鈴と共鳴の鈴を一つずつ配置して維持。ミント・スパークさんはプリズム・ティンカーさんと同じ位置に。合図でプリズム・ティンカーさんの反響の鈴に電撃を連続で当ててください』

『ぇ、あ、はい!』

『鈴に電撃、わかりました!』


真っ直ぐな返事。疑念を抱かれないのは、今はありがたいけど、素直過ぎるのも心配になる。


『ボクは?』

『ノワール・ガルドさんは、セラ様の後方二百メートルで全周警戒防御をお願いします』

『前には出ずに、セラの後ろでいいの?』

『瘴気濃度が下がっていない現状、イレギュラーな隔獣発生が連鎖する可能性があります』

『セラに余計なちょっかいがかからないように、だね?』


指示内容に疑問を持っての確認じゃない、他の魔法少女への情報共有を兼ねた確認。

さすが歴戦の魔法少女、円卓の魔法少女だ。こちらの配慮不足をサラッとフォローしてくれた。


『はい。ヴァイセ・ブリューテさんは、セラ様の右斜め前方、隔獣のモニターと、プリズム・ティンカーさん、ミント・スパークさんの援護を』

『お任せください!』

『セレスティアル・スターさんは、アストラ・クラウンの全力射を待機状態でお願いします』

『かなり目立ちます。相手も警戒しますが、よろしいのですね?』

『ボクがいる。小石一粒だって通さない』

『ノワール・ガルドさん、お願いします』

『了解、任せて。あと、ノワさんでいいよ』

『ノワール・ガルドさん、お願いします』

『堅いなぁ』


いえ、心の中ではノワ様なので。


『セレスティアル・スターさんは、合図で射撃をお願いします』

『わかりました。私のこともセラさんで』


ノワ様に対抗しないでください、セラ様!

セラ様はセラ様なので!!


『んん! 皆さん、お願いします。大丈夫、勝ちます』


よし、なんとか言いきった!

っひゃー。うひゃー。セラ様とノワ様、配信ツートップの二大魔法少女コラボ!

ぇ、なに、もしかして私へのご褒美回ですか、これ!


……っと。浮かれてないで、真面目にやろう。

九十九パーセントで勝ちを確信して、一パーセントで足元をすくわれないように。


全員が配置についたのを確認し、深呼吸を一つ。

っふぅ。ヨシ!!


セラ様がアストラ・クラウンをチャージし始める。

すぐさま隔獣が反応し、一際激しく黒光を放ち始めるが、セラ様の周囲に次々と展開される黒銀の盾が悠々と防ぐ。


『ヴァイセ・ブリューテさん、私のいる位置に、プリズム・ティンカーさんの共鳴を飛ばしてください!』

『はい!』


渦を巻いて集う花片が、プリズム・ティンカーの位置から、私の位置までを舞い、繋ぐ。

リン、リン、と花片を通じて、共鳴の鈴の音が隔獣まで届く。

位置ヨシ。


『ミント・スパークさん! お願いします!』


指示を出して飛び退く。

ミント・スパークが連続して放った小さなスパークがプリズム・ティンカーの反響の鈴に命中した瞬間、白く輝く轟雷へと膨れ上がり、さらに共鳴の鈴の音に乗って隔獣まで一瞬で迸り、花片が舞う位置――隔獣の装甲に入った亀裂の中でもっとも大きい箇所を灼く。


『ふぇ?!』


ミント・スパークの素っ頓狂な声がリンクに乗る。

うんうん、ちょっとした電撃を出した筈が、横に奔る落雷になったらビックリするよね。

鈴に触れた低出力の魔法を増幅する、反響の鈴。前々から、他の魔法少女の魔法を増幅させたら化けるとは思っていたけれど。

思ったより威力が出て、私もびっくりしてるのは内緒ね!


飛び退いた勢いも利用しつつ、思いっきり振りかぶった斧槍をフルスイング。

隔獣の胴から飛び退いたことで、ちょうど目の前に来た隔獣の頭を全力で横殴りしてぶっ飛ばす。


クリーンヒット!!


こちらの体勢も崩れて流れ、隔獣からの攻撃に対して無防備になるが、ヴァイセがきっちりカバーしてくれる。

ヴァイセさん、マジ天才!


『セラ様!!』


横に吹き飛んだ頭に引っ張られるように、隔獣の巨体が流れる。

ヴァイセ・ブリューテとプリズム・ティンカーの魔法で誘導、増幅されたミント・スパークの雷撃が抉り拡げた装甲の亀裂が、アストラ・クラウンの照準線に晒される。


チェック・メイトだ!!

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