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第8話
「一つ質問ガアリマス」
「何?」
「主人ヲ連レ戻シタ場合」
白い仮面の奥から、CL3-SC4がアムネリスを見る。
「記憶ハ復元可能?」
アムネリスは少しだけ目を伏せた。
「可能性はある」
「確率ハ?」
「分からない」
これは本当だった。
「女神の核が残っていれば、刺激する方法はある。
そこから記憶を呼び戻せるかもしれない」
「元ノ主人ニ戻ル?」
アムネリスは答えなかった。
CL3-SC4が顔を上げる。
「元ノ主人ニ戻ル?」
「……連れてきなさい」
「回答ニナッテイナイ」
「見つける前から心配しても仕方ないでしょう」
珍しく、CL3-SC4はすぐに返事をしなかった。
「行くの?」
「命令デスカ」
「いいえ」
「デハ」
「あなたが決めること」
スクラップボッツに自分で決めろと言う者は少ない。
彼らは命令されるために存在している。
CL3-SC4はメンディアの最後の記録を再生した。
決勝へ向かう直前。
彼女は振り返って囁いた。
「帰ったら、またね」
それだけ。
ありふれた言葉。
帰らなかった人間が残した、ただの言葉。
CL3-SC4は記録を停止した。
「行キマス」
アムネリスは目を細めた。
「そう」
「主人ヲ回収シマス」
その言葉に、アムネリスの表情がわずかに曇った。
CL3-SC4には判別できないほど小さな変化だった。
「……ええ」
彼女は言った。
「見つけられるといいわね」




