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第6話
城の最下層。
機械兵たちの格納庫。
そこに一体のスクラップボッツが座っていた。
識別番号。
CL3-SC4。
かつてメンディアに仕えていた機体。
彼は三日間、ほとんど動いていなかった。
整備士たちは故障を疑った。
しかし診断結果は正常。
動力炉、正常。
演算機構、正常。
記憶領域、正常。
損傷率、許容範囲内。
なのに動かない。
壁際に座り、ただ正面を見つめている。
その手には、メンディアが最後の戦いへ向かう前に置いていった
小さな金属片が握られていた。
何の価値もないものだった。
彼女の装備から外れた留め具。
捨ててもいい。
CL3-SC4自身もそう判断している。
だが手放せなかった。
理由を演算しようとするたび、処理が停止する。
主人が失われた。
だから次の主人を設定すればいい。
スクラップボッツとは本来そういうものだ。
命令を受け、
実行し、
壊れるまで働く。
それだけ。
なのに。
胸部中央。
動力炉の少し上。
そこに何かがある。
痛み。
機械に存在するはずのない感覚。
メンディアの声を記録から再生する。
「CL3-SC4」
彼女はよくそう呼んだ。
「そこ邪魔」
別の記録。
「こっち来て」
別の記録。
「ほんと融通利かないわね」
別の記録。
笑い声。
そのたびに胸の異常値が上昇した。
CL3-SC4は再生を停止した。
静寂。
数秒後、再び再生した。
理由は分からなかった。




