第2話
それを知ったのは、アムネリスが一度、この戦いの先へ進んだからだった。
彼女はそこで見た。
光に満たされた巨大な聖堂。その地下に隠された祭壇。
そして、六つの棺。
棺の中に横たわっていたのは、ゾンビゴッデスバトルで敗れた女神たちだった。
死体ではない。
もっとひどいものだった。
身体から何かを抜き取られ続けていた。
神であるための力。
記憶。
魂。
それらすべてが細い光の管を通り、祭壇へと吸い上げられていた。
祭壇には、巨大な獣の頭部を思わせる三つの影が浮かんでいた。
まだ輪郭を持っていない。
それでもアムネリスには分かった。
何かが生まれようとしていた。
そして、祭壇を囲んでいたのは四人。
白い祭服。
黄金の仮面。
人々が「レジェンダリー」と呼ぶ、光の宗教の最高司祭たちだった。
彼らは世界で最も清廉な存在として崇められていた。
王でさえ、彼らの前では頭を垂れる。
戦争を止め、
飢饉に食糧を送り、
病人に薬を与える。
人々は彼らを光の使徒と呼んだ。
だが、祭服の下に人間の身体はなかった。
金属。
配線。
歯車。
腐食した装甲。
四人ともスクラップボッツだったのだ。
彼らの企みは、ゾンビゴッデスバトルそのものを利用することだった。
敗北した七人の女神を生贄にし、ケルベロスを召喚する。
そして、その圧倒的な力を背景に、
最後まで生き残り女王女神となった一人を支配する。
表では女王女神が世界を統べる。
だが、その女王すらレジェンダリーの意志には逆らえない。
そうして彼らは、光の宗教の司祭という立場のまま、
裏側から世界のすべてを操ろうとしていた。
六人の女神はすでに祭壇へ送られている。
必要なのは、あと一人。
アムネリスか。
メンディアか。
ゾンビゴッデスバトルの決勝で敗れた者。
七人目の生贄が祭壇に載せられたとき、
召喚は完成する。
そして最後に残った女神には、
ケルベロスを従えたレジェンダリーの傀儡として、
百年の王座だけが与えられる。
その結末を知ったアムネリスは、
始祖女神と契約を交わした。
決して、無償の契約ではなかった。
それでも彼女は代償を受け入れ、過去へ戻ってきた。
決勝が始まる前へ。
今度こそ、結末を変えるために。




