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BAR  作者: もふもふもん
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邂逅11

 仮称お客さま四人と師匠であるマスターに、自分の技術とパフォーマンスを全て出し切った氷室吾郎は、酒瓶達や使用した小道具達を洗ったり元の位置に戻したりと片付けに精を出していた。使用した酒瓶とフレシュジュースの入った瓶全てのポアラーを抜き、マスターが普段使っている様に普通の元から付いていた蓋を閉め直す。その作業に勤しんでいると、直ぐ横に立つ氷室吾郎の師匠でもあるこの店のマスターが、氷室吾郎の頭に手を乗せ、くしゃくしゃと髪の毛を乱す様に少しだけ乱暴に撫で付けると。


 「やりやがったな!いつの間にマスターしてたんだよ?合格だ。」


 それだけを氷室吾郎に伝える。それを聞いた氷室吾郎は、頭を少し乱暴に撫でられてるのを嫌がる素振りを見せながら顔は、少し照れ笑いを浮かべて師匠からの「合格」の言葉に嬉しさを覚えた。


 全ての片付けと洗い物を終えた氷室吾郎は、カウンターの向こう側。席のある方に行こうと思ったが、マスターが体で唯一の通路を塞ぎ。


 「ほら、どうやら元お仲間達らしいじゃねぇか。お前が相手してこいや。」


 そう言って氷室吾郎をカウンターのあちら側に行かせずこちら側で、四人の客達の相手をしてこい。とそう言った。


 「ちっ自分がサボりたいだけだろうがよ。」


 と悪態は付いたものの、氷室吾郎は素直にカウンターのこちら側に立ち四人の【元は同じグループ】で働く人達の前。木村本部長と風俗嬢うららの間に立つ。


 「楽しい時間は過ごせましたか?」


 そう言って四人のお客さん達に問い掛けると真っ先に氷室吾郎と一番繋がりの深い、一番壁際の席に座る若いホストの東堂聖が。


 「氷室さん最高っす!フルーツだけじゃなくこんな事も出来たんですね!」


 「お前な。それEDENの時にも言ったと思うが、俺はコレが本業なの。フルーツカービングや料理が副業の方なの。忘れるな。」


 そう言って笑いかけた。そして次に藤田部長が氷室吾郎に声を掛けてねぎらった。


 「氷室君だっけ?私は風俗のお店の方にしか携わってはいないけど、君がアルバイトをしてくれていたお店とは、同じグループの姉妹店の経営をしている者だよ。いや〜素晴らしいパフォーマンスの数々本当にありがとう。君の様な人間がうちのグループで働いていたなんて、グループでBARを出店して君にその店を任せてみたいぐらいだよ。」


 と少し舞い上がっている藤田部長も氷室吾郎を絶賛した。チラリと木村本部長の方を見た、うららは「私が次は喋ってもいいかな?」と伺った後に口を開いた。


 「ゴロー・ヒムーローさんカッコ良かったです。さすがEDEN伝説の男ですね。」


 そう氷室吾郎に言うと氷室吾郎はガクッと頭を下げて苦笑いを浮かべながら。


 「お嬢さま。お願いですからその【ゴロー・ヒムーロー】とか訳の分からない名前で呼ぶのだけは止めて下さいお願いします。どうせあのお調子者の店長が無い事無い事を吹聴してたんだろ。ひじき!お前加担してないよな?」


 そう言って、うららに呼び名の訂正を求め、ひじき君に釘を差した。図星を突かれた東堂聖は、ギクリと心の中で思いつつ「ごめんなさい氷室さん全ては店長のせいです」と小さく謝った。


 そしてこの四人の中でもっとも強敵と呼んでいい人間が最後に氷室吾郎に声を掛けた。


 「いや、見事!最後のフレア等私も初めて見たよ。これも君の師匠から教えられた技なのかい?」


 そう聞かれた氷室吾郎は。木村本部長の方へと少しだけ体の向きを変えると。


 「はい。私の持つ全ての技はあそこに突っ立っている一見すると冴えない白髪混じりのオッサンから教えられた技です。」


 とここぞとばかりに冗談交じりに悪態をつくと、木村本部長は藤田部長の方を向き。


 「藤田、本当にありがとう。お前は最高の店に俺を連れて来てくれたな。」


 そう言って、藤田部長に声を掛けながら視線だけは、カウンターの端に立つマスターを見て瞳でマスターにも感謝を告げた。


 その後のBARの中では、カウンターに座る四人の男女とカウンターの中に立つ一人の男と合わせた五人の男女で楽しそうに語らい合い。楽しそうにお酒を楽しみ。木村本部長からカクテルの話を聞き、氷室吾郎の作るカクテルに舌鼓を打ち。


 若いホストは氷室吾郎の素晴らしさを訥々と周りに聞かせ。若い風俗嬢はそれを聞き「この人が居る間にEDENに行けてたら私もそのフルーツ盛りとか頼めてたのに。」と少し残念がり。藤田部長は本気でBARを一軒出すつもりの勢いで氷室吾郎を口説き。木村本部長は時々暴走気味の若いホストと隣に座る直属の一番信頼を置く部下の二人のブレーキ役に成り。


 何の誰の何処のかは分からないが、縁が絡まり合い一つの糸になって繋がり。この繁華街からは外れたもう寂れてしまった飲み屋横丁の外れも外れにある、古い木材を壁材と使い重たいドアがトレードマークの小さな小さなたった五席しか無いBARへと導かれ。この夜、心から楽しい時間を共有して過ごして行った……。






 

物語はこれにて終わりを迎えますが後1話。この物語を思いついた出来事等を【後書き】として投稿して終わりと致します。

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