図書室
作者まさかのログインパスワードを忘れるという悲しいことをやりました。
「あ、すまない。嫌だったろうか」
なんだ、この人。
「いえ、すみません。驚いただけです。カイル様は、」
「一緒にいたいのはユウだけだよ」
なんだ、この人。
どうして、今更そんなことを言うのだろうか。
私のことなどどうでもいいではないか。
「そう、ですか。」
なぜ、あなたが悲しそうな顔をするの。
「今日はおすすめの本でも一緒に読みたいと思う」
「それでは、こちらなどいかがでしょう」
そう言って本を取ろうとした時図書室の扉が勢いよく開いた
「カイル様!」
もちろん。来たのはマリアだ。なんだ、やっぱりマリアも来るんじゃないか。
少し、期待したのに。
結局マリアを間に3人で本を読むことになった。
「これは何と読むのでしょう」
「ああ、これはね」
うるさい。
ずっとこの会話が続いている。
なぜ、妹は私ではなくカイルに聞くのだろうか。
……いや、そんなことはわかってる。この時のマリアは私のことを自分より学が足りないと思っているのだ。
私は、父からよくマリアはこの歳でこんなことをもうできる。ユウはなぜできなかったのか。と比較されていたから。
兄様はそれを見て私の方に慰めに来たけどすぐにマリアの方に戻った。
結局のところ私自身、できないことが多すぎたのだ。こんなのが王妃になるならやはりやめた方がいい。
ふと、気がつくと2人はもう私のことなどいないものかのように2人の世界に入っていた。
さっきは、一緒にいたいと言ったくせに。
「私は、失礼しますね」
どうせ、この言葉すら聞こえていないんだ。
そう思い、席を立った時、またカイルが私の手首を掴んだ。
「どこに、行くの」
この人は私の心臓を潰したいのだろうか。
「いえ、私は静かに本を読みたいのです。なので、中庭に行こうと」
「では、一緒に行こう」
まさか、そうやって言われるとは思わなかった。
いつものように、私のことなんて見向きもしないと思ってた。
けれど、やはりマリアは王子にいて欲しいらしい。
私は、邪魔なのだろうか。
「マリア嬢、今日はユウと一緒にいると約束をしたのです。」
「でも、今日は私の誕生日なのに」
そう言ってマリアが泣き出したのである。
これでは結局、私が悪者ではないか。
カイルも中途半端に優しくするくらいなら突き放せばいいのに。
マリアは泣きながら部屋を出て行った。
これで、私は今日また父親に怒られるのだ。
「すまない。」
「いえ、今日はカイル様はなんだか謝ったばかりのような気がしますね」
そんな、悲しそうな顔をするくらいなら私と会うのをやめればいい。そうすればみんながうまく行く。
「中庭に、移動するかい?」
「いいえ、カイル様はマリアといてください。私は、一人で行きますから」
「ユウは、それでいいの?」
なぜ、そんなことを言うの。
あなただってその方がいいんでしょう?
「……はい。」
「そう。」
カイルはそういうと、部屋を出て行った。
この時私が行かないでといえば行かないでいてくれたのだろうか。いや、愚問だ。結局、マリアのそばに行くことになったはず。
私は、なんだか虚しい気持ちになった。
ソファに座り、また本を読み直そうと思ったがもうそんな気分ではなかった。
中庭に出て散歩でもしよう。
そう思うと今度はお父様が現れた。
今日はなんだかお客が多い。
「マリアが泣いていたぞ。」
「そうですね」
「そうですね、とはどういうことだ。マリアはお前の妹だ。しかも今日はマリアの誕生日だぞ。かわいそうだとは思わないのか。」
かわいそうって何。かわいそうで全てを片付けるの?私の話も聞かずに?
前からそうだ。この人の中で大切な娘は1人であるかのように私はマリアを立てなければいけない。
なぜ、そんなことをしなければいけないのだろうか。
私だってこの人の娘なのに。
もう、好きにすればいい。
「私は何もしていません。私が婚約者といたのに邪魔をしたのはマリアです」
「な、邪魔だと?妹だ。一緒にいればいいだろう。なぜそんな態度が取れる。本当にお前という奴はひどい」
こうやって、よく怒られたな。
マリアが泣けばみんながマリアを善とした。
そして、私は悪だった。
こんなクソみたいな家、どうかしてる。
「では、マリアを王子の婚約者にすればいいのではないですか。」
「それは、」
「できないのでしょう。」
「な!?」
私はもう、父親と話す気もなかった。だから何か言いたそうだったが無視して中庭に急いだ。




