戻る。
急に戻るのね。作者、話下手なのね。
「お嬢様?お嬢様。起きてくださいまし」
なぜ、こんな懐かしい声がするのだろうか。
私、死んだんじゃなかったっけ?
「なにを寝ぼけたことを。まだ夢から覚めてないんですか」
私は勢いよく起きた。その結果、侍女とぶつかりそうになりすごい顔をされた。すまん。
「今、私何歳だっけ。」
「12歳ですね。」
「………12歳?」
「そうですとも。まぁ、今日はマリア様のお誕生日なので、マリア様のおめでとうパーティをする日ですがね。」
私は空いた口が塞がらなかった。
けれど、わかった。もし、これが夢でなく現実ならば私はこの先同じことを2度と繰り返さないと。
まぁ、時が戻っても妹のことが主体なのは解せぬが。
確か、今日、私は過去にパーティをぶち壊した結果、父母兄に怒られ、妹には大号泣されるのだ。
パーティぶち壊しだけならいい。この時から徐々に私は家族から距離を置かれるようになる。
確か、私は侍女から厨房に大きなケーキがあると聞いて見に行ったのだ。そしてまず、大きなケーキに嫉妬するのだ。この時はカイルと妹の仲の良さを見て嫉妬してたし、それに、デートに行っただの噂を聞いていたし、自分の時より大きいから羨ましくなったのだ。うむ。無理もないな。そして私はこのケーキを倒した。
それから、極め付けは王子から妹へのプレゼントである。アクセサリーを妹に王子が贈ったのだ。私は、誕生日の時、花束しかもらえなくてさらに嫉妬して暴言を吐いたのだ。
まぁ、しょうがないよね。うん。
今回は大丈夫。まずは暴言を吐かなければいいし、厨房にケーキを見にいかなければ大丈夫。
よし。朝は図書館に行って、午後からは中庭に行って夕方まで散歩しよう。そう決めるとまずはご飯を食べるために下に降りた。
「遅い。」
そう言って父に怒られた。
「申し訳ありません」
「今日は大事な日なんだ。」
うん、知ってる。あなたたちの娘の大事な日だもんね。
私はなんとなく少し悲しい気持ちになりながらご飯を食べた。けれど、やはりあまり食べる気にならず途中で退席した。私が部屋を出て少しすると後ろから兄がやってきた。
「父さんは、今日少し緊張してるんだよ。俺たちの時もそうだけど、マリアには内緒で計画してるから」
この時はまだ兄も優しかった。けれど、なんとなく信じられなくて
「そうだといいですね」
そう言ってしまった。可愛げない。
兄は何か言いたそうだったが私の顔を見て黙ってしまった。
そんなに酷い顔していただろうか。失礼な。
私はそんな兄を放置して図書館に向かった。
我が家の図書館は他家に自慢できるほど蔵書がある。
歴史など学ぶためのものから物語など楽しむための本まで様々だった。
私は、この図書館が1番好きだった。
本を読めば1人の時間になったから。特に、今日のような日は。
妹や兄は昔から頭が良かった。発想力はもちろん、地頭がいいからすぐに色々なことを吸収した。私はといえば努力をしてやっと2人に追いつける程度だった。追いついてすらいないかもしれないけれど。
魔力コントロールもそうだ。よく、私は暴発させては周りに被害を出していた。
それもあって、父や母は私のことが嫌いだったのかもしれない。
ふと昔のことを思い出し私は暗い気持ちになった。
「ユウ?……大丈夫?」
びっくりした。本当に心臓が飛び出るかと思った。
目の前に気づいたらカイルがいた。それに、前回はこんなことなかった。彼は誕生日の時に顔を出して妹と話して帰るはずだ。
「そんなに、びっくりさせたかな。」
少し申し訳なさそうに言う。いや、まぁ、突然の登場にも驚いたが、久しぶりに彼が私の名前を呼んだのを聞いた。
そういえば、私前回はあんまり名前で呼んでもらえてなかったな
「いえ、申し訳ありません。今日はなにか……」
私は途中で言葉を切った。そりゃそうだ。何用なんて聞く必要がない。わかりきっている。妹を祝いに来たのだから。
「この前のこと、まだ怒ってるの?」
なんて、無神経な男なのだろうか。この前のこととは妹と2人でデートをしたことを言っているのだろう。
「いいえ。」
「嘘」
「本当です。本当に、どう思ってもいないのです」
「そう……」
多分、私が私だったら泣いていたのかもしれない。
だけど、もう私は私ではないから。
ふと、王子の顔を見るとなんだか辛そうな顔をしていた。
なぜ、あなたがそんな顔をするの?
なんだか2人の間には気まずい空気が流れた。
「そうだ、ユウにプレゼントがあるんだ」
そう言って取り出したものに私は悲しくなった。
だって、彼がくれたものは本当は今日彼が妹にあげるはずのものだったから。
「なぜ、これを、私に?」
「君を喜ばせようと思って。実を言えば、これを選ぶためにマリアと出かけたんだ」
そう言って彼は申し訳なさそうな顔をした。
では、なぜ前回あなたは、これを妹にあげたの?
そんな無意味な質問、する必要がないか。
「ありがとうございます。」
複雑な気持ちになりながら、私は彼が会いたいであろうマリアの元に案内しようとした。
「待って、」
そう言ってからは私の手首を掴んだ。
その力が少し強くて私は顔を顰めた。
「すまない。私は、今日あなたと一緒にいたい」
………え?
なぜ、こんなことになったのだろうか。
別に、今更私に遠慮する必要などないのに。




