過去
ここら辺は少し主人公の過去に触れてるので長いですね。
それから私は婚約者と会うようになった。
最初はなんとなくぎこちなかったが彼といることは楽しかった。
穏やかに流れるその時間が好きだった。
そのうち、王妃教育と称してさまざまなことの習得が義務付けられた。けれど、彼と会えるその時間が癒しだった。
「最近、疲れていませんか」
「ええ。けれど、大丈夫です」
「……そう。」
彼は気遣ってくれていた。私は彼のために頑張りたかった。
この時はまだ家族仲も良好だったと思う。
私は、確かに妹に、兄さんに嫉妬はしていたけれど愛していた。
「おかえり」
そう言って父や母も迎えてくれた。
今日の出来事を話せばみんな、そうかと頷いてくれた。
けれど、ある時を境にみな、私のことを遠ざけるようになった。少しずつ少しずつ不安が重なった。
わかっている。私が悪いのだということは。
私は段々と家族と話すことがしんどいと感じるようになっていった。彼らもそうだったのかもしれない。
まだ、カイル様だけは違った。
あるとき、カイル様は我が家を訪れた。
「こんにちは。私の婚約者殿は元気だろうか」
少しずつ砕けた話をしてくれるようにもなっていた。
私は、彼にとって良い婚約者でありたかった。
けれど、妹ととても楽しそうに話す姿を見て嫉妬してしまった。
妹や兄に会いたいと言った彼に紹介した。するとカイルは少し驚いたように兄や妹を見た。私と似ていなかったからだろう。むしろ、私だけが似ていない。そして妹はいつものように可愛らしい笑顔を浮かべ王子の手を取った。
度々、カイルは我が家に訪れるようになった。私がすぐに出られない時は妹が対応していた。遅れていくと彼は、私に気づき笑顔を向けてくれたがすぐに妹の方に向き直った。妹はなんだか気まずそうにこちらを見たがそれも一瞬で終わった。
私だけがその場で異物だった。
こんなことは、つまらない嫉妬だとわかっていた。カイルは私に好きだと言ってくれていた。私も好きだった。なんとなく、私と話すのがつまらないのだろうか、苦痛に感じていないだろうか、そう思うようになった。
そして、私はある噂を耳にした。
妹とカイルが外に2人きりでデートをしていたと。
驚いた私はカイルに事実を聞いた。
カイルは少し驚いたが事実であることを認めた。私は嫌だった。そして、婚約者がいるのだからそのような行動は控えて欲しいことも伝えた。カイルは必要なことだったとそう言った。
婚約者以外とデートをすることの必要性とはなんなのだろうか。
私は沸々と湧き出てくるくらい感情を押し込めた。
彼からは後日お詫びの花束が届いたがなんとなく私は捨てたい気持ちになった。
それから、私たちは学園に入学する年になった。妹はその2年後に入学した。それもあってか、社交界で妹とカイルの話は噂されるようになった。
本当はカイル殿下は姉の方ではなく妹と恋仲ではないのかと。
カイルは私を必ずエスコートしてくれていたが必ず、妹ともダンスをした。カイルも妹も、ダンスをしている時はとても楽しそうだった。その間、私は1人で壁に立っていた。
以前、カイルに私以外と踊らないで欲しいと言われたことがあった。私は、そんなことは王太子姫になるものとして難しいと伝えると、彼は私のつまらない嫉妬なのだと言った。
私は、嬉しかった。
私はダメだけれど、あなたは嬉しそうに妹と踊るのね。
私は、学園でも彼らが一緒にいる姿を度々見た。




