悲しい現実
神様は意地悪だ。
なんで、こうなったのだろうか。
私は、いろんなことを頑張った。
家族に愛される努力をした。
婚約者に好かれる努力をした。
だけど、だめだった。
両親が好きなのは妹だけだ。
兄さんだって、そうだ。
婚約者は、とても素敵な人だ。私は彼に恋をしていた。
けれど、彼が恋していたのは妹だ。
どこで、私は間違えたのだろうか。
わからないよ。
「あなたは、なぜ自身の妹にひどい仕打ちができたのですか」
そう言って、私の婚約者は冷たい笑顔を私に向ける。
そんなことはしていない。そう言いたいのに、声が出ない。
いや、声が出たとしても私の声なんて彼らには届かない。
「なにも、言わないのですか」
「………」
私はもう、疲れていた。
涙すら、もう出てこなかった。
私は、婚約者の元に走った。
彼はひどく驚いたが私が何か妹にすると思ったのか妹を庇った。けれど、私の狙いは彼の剣だ。
彼の剣を奪うとそれを私は私に突き立てた。
なぜか彼は焦っていた。なぜ、そんな顔をするの。
みんな、みんな私のことなんてどうだっていいのだろうに。
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私はアルシュタリア家に生まれた長女だ。
父は厳しく母は穏やかな人だった。
兄は聡明で家族のことを愛していた。
妹はそんな家族に愛される、天真爛漫なお人形のように愛らしい存在だった。まるで、天使のようだとみんなが言った。
私は、妹が羨ましかった。いつも、いいなと思っていた。
妹や兄は父や母に似て美男美女であり綺麗な金色の髪をしていた。その反面、私は赤錆色の髪の毛、容姿も妹のように可愛くない。
いつも、私は周りに比較されていた。お兄さんや妹さんはあんなに両親に似ていて素晴らしいのに、と。
そんなの、私が一番よくわかっている。顔立ちはそこそこだと自負しているが妹には絶対に勝てない。髪の色も赤錆色だとよく笑われている。魔法だって、兄さんや妹のように上手く扱えない。
こんな私が、ある時、殿下の婚約者に選ばれた。だからこそ、みんな驚いたし、私も驚いた。
選ぶのなら、私なんかじゃない、妹のほうだろうとみんなの顔が物語っていた。
父は私に聞いた「本当にいいのか」と。
選択権なんて物与えられるわけもない。一度顔合わせと称して城に招かれた。
私は、その時、初めて王太子を見た。
「はじめまして。私はカイル・アルハリアです。」
王太子を天使かと思った。
この時のことを私はあまり覚えていない。緊張のあまり、なにかをもごもごとしてた気がするがわからない。
ただ、覚えているのは、手を握り穏やかに微笑んでくれたことだけだ。




