↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/34

30 終章

   ■■ 30 ■■ 




 後日のことである――


 事件の事後処理として、表向きはハッカー集団によるもの、また駅前での騒動も光学テクノロジーを用いたものであると発表され、何とか有耶無耶にされることになった。


 いわゆる、裏の――怪奇・陰謀界隈の“絵描き屋”的とでも言うべき工作であろう。


 ――ともあれ、そんなことは置いておき、同じ愛知県は明治村にて、神楽坂事務所の3人の姿があった。


 晩秋ながら、天気良く温かい日、


「――まったく。今回、重大な事件だったのか、くだらない事件だったか、よく分からん事件だったな……」


 帝国ホテルを前にした水辺に、綾羅木定祐が椅子に腰掛け、コーヒーを片手にやれやれと呟いた。


「まあ、これで、やっと落ち着けますよね」


 同じく上市理可も、ほっと息をなで下ろすように言った。


 妖狐・神楽坂文も二人と同様にコーヒーを片手に佇んでいたが、「……」と無言で、どこか、疲れているように見えた。


 そんな妖狐を、上市はチラッと見た。


「……」


 まあ、疲れているのも無理ないであろう。


 チートクラスの情報蒐集術の“葛葉”を何度か用い、それに加えてルーマニアと日本の往復、気象操作……、そして最後、碇賀元の投げた棍棒をライフルで狙撃し、月の破壊を防いだのであるから、なかなかの仕事ぶりである。




「明治村、か……」


 妖狐が言った。


「何というか、時を超えて“集めた”ような、……ある意味で、こちらもミニチュアな世界ということころか」


「……確かに、な」


「……」


 定祐と上市は妖狐の方に耳を傾けた。 


「こうしてみると、不思議なものか? 人間というのは、何かを壊すいっぽうで、大事に残そうとするとはな」


「そうだな……。歴史の中で、壊す必要のなかったもの、壊さずに済んだものなど、いくつもあっただろう。まあ、今となっては、どうでもよいことだが……」


「……」


 話す二人を一瞥する上市。


「――しかし、その、“残したい”という感情も“残す”という行為も、慈愛とは紙一重の、“蒐集”という欲の一種か……」


「すると、“棍棒”というのは、“破壊”と“蒐集”と……、そのどちらの目的にも使われる道具、象徴だろうな……」


 妖狐と定祐が、朧気に交わしてカップを持った手を下ろした。


 すると、


「――まあ、そんな堅い話は置いておきだ。上市よ……」


「はい?」


 今度は妖狐は上市に話を振った。


「せっかくのハロウィンであったが、忙しくて貴様に聞きそびれていてな」


「へ? 何を、ですか……?」


 キョトンと首を傾げる上市。


 その上市に、妖狐は言った。


「今回のハロウィンだ……、貴様、あのカボチャ・パンティは穿いてたのか? エロ体操服を着せることで手いっぱいで、すっかり忘れていたが」


「「おい、またセクハラじゃねぇか。――てか、脈絡なさすぎな、てめぇ」」


 定祐と上市がいつものようにつっこんだ。


 そのつっこみの響く先、佇む帝国ホテルと、晩秋の澄んだ青空が美しかった――




――終了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。