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獣で叫ぶ愛  作者: 子子子
8/8

お待たせしました!


なかなか書き込めず四苦八苦してましたorz


頑張ったので許してください(T ^ T)

一通り喚き散らした女は深呼吸を何度か繰り返し、漸く落ち着いた。


女が落ち着くまでの間、ご主人は小声で椅子の下に防音の魔方陣を展開させて、ひたすら私を愛でていた。で、私はご主人の指先に翻弄されてメロメロのヘロヘロになっていた。


ご主人の指テクは日に日に威力を増している…。これはご主人の私への愛の力だと思う!


女が落ち着くと、ご主人は魔方陣を消し、何事もなかったように話し始める。


「昨夜のうちに神殿に使いを出している。本当は今すぐ出て行って欲しいが、神殿を敵に回すのは面倒だからね…。迎えが来るまではここで暮らしても構わない」


ご主人が淡々と話すが、その内容は私には歓迎できないものだった。


女を見れば肩をぷるぷるさせながら顔を真っ赤していたが、スッと目線を胸元に落とすと、不安げに瞳を揺らしながらご主人を見て頭を下げた。


「ご迷惑をおかけします…。その上連絡までして頂いて、ありがとうございました。私の名は、ロザリアンと申します。契約している光の精霊が今は酷く弱っております…。迎えよりも早く精霊が回復した際はすぐにでも立ちますので、それまで、どうかよろしくお願いします」


「ここにいる間はそこの寝室を使え。着替えもその部屋にある物を使えばいい。あと、地下室には入るな。破れば即追い出す。わかったな」


ご主人は女に必要事項を伝えると私を抱えて、席を立った。


ご主人の肩越しに女を見る。

女は俯いて胸元を押さえながら、ポタポタと涙を零していた。


その姿は今にも消えそうなほど儚げで可憐だった。

誰が見ても守りたくなるその姿が妙に私の鼻につきムカついた。


(大っ嫌いっ!!)


私は心の中で叫ぶと、ごそごそとご主人の胸に顔を埋めた。








女、ロザリオンはその日から神殿からの迎えが来るまで、ご主人の家に同居することが決まった。


ロザリオンは掃除や洗濯、食事の用意を率先してやるような女で、時折胸元を見てはその美しい顔に憂いを帯びた表情で溜息を吐いていた。


ご主人に媚を売るような馬鹿な真似はしなかったが、そのよく出来た女っぷりに私の危機感は募るばかり。

ただ、ご主人とロザリオンにそれほど会話がないことがすくいだった。


ロザリオンが暮らし始めて一週間ほど経ったころ、漸くロザリオンと契約していた光の精霊が力を取り戻し始めた。


ロザリオンを保護してから、姿を見せていなかった光の精霊は、どうやら少しでも早く回復するためにロザリオンの胸元にある契約印からロザリオンの体内に潜み、休んでいたようだ。


回復した光の精霊はチカチカ飛び交う光の粒では無く、八頭身の金髪美形の男だった。


その姿を見たとき、ロザリオンが逆ハーレムのヒロインに思えて、嫌悪感が増すと同時にご主人がロザリオンの逆ハーレムフェロモンにやられるんじゃないかと泣きそうになった。


金髪美形の光の精霊は、姿を現すと常にロザリオンに寄り添うように付きまとうストーカーのような奴だったが、ロザリオンはそれを華麗にスルーする凄いスキルの持ち主だった。


そして昼間ご主人が薬作りに専念してしまうと、ロザリオンとその光の精霊を監視するのも馬鹿らしく私は散歩に出るようになった。


それからまた一週間程たった今日、漸くムカつくロザリオンの迎えが来たのだった。


朝も早くから精霊のざわめきに起こされた私は、ロザリオンが来てから居間でご主人と一緒に寝ていたのだが、なんだかソワソワとして身体を動かしてしまいご主人までも起こしてしまう。


「ん…、ブ…ァン?どうした?」


「がぅぅ…(わかんない…)」


妙に落ち着かない感じに私自身も困惑していた。


ご主人が身を起こし、心配そうに私の咽喉を掻いてくれるが、それでも落ち着くことが出来ない。


就寝時は身体を大きくしてご主人の枕代りをしていた私は体を小さくさせると、ぐるぐると部屋の中を歩き回った。


(何か来る…)


ぐるぐる回りながら神経を尖らせると嫌な感じではないものの、たくさんの気配が闇の森に侵入しているのを感じた。


段々ご主人の家に近づくそれに、いても立ってもいられなくなり、私は玄関を飛び出していた。


「ブランっ!?」


ご主人の慌てた声が後ろから聞こえ、続いてご主人が玄関から出てきたのを感じた。


私はご主人の家から少し離れた所のお客が来る時に使う道の真ん中に、ちょこんと立ち、道の先を睨む。


「ブラン、どうした?」


隣から聞えるご主人の優しい声が耳を擽り、ふわふわの耳がピクピク揺れる。それでも、ご主人の方を向かずに道を見据えていると、道の奥から人影が一つ二つと現れ、気づけば何十人という程の人の群れがぞろぞろとこちらに向かってきていた。


「漸く来たか…」


ご主人の小さな声に、私もソワソワの原因がわかりやっとご主人を見る。


「がふ?(何が?)」


コテンと首を横たえれば、ご主人は道の先を見ていた目を私に向けて、薄く笑いかけてくれた。


「お荷物の運び屋だ」


清々したと言わんばかりのご主人の声に、ここ最近であんな大人数が必要な程の薬を作っていたのかと疑問に思ったが、いつになく晴れやかなご主人の顔になんとなく嬉しくなった私は、「がふっ!」と吠えてご主人の胸元に飛び込んだ。


そうして暫く道の真ん中でご主人にもふもふされながら戯れていると、ハスキーで色気のある女の声が道の奥から聞こえて来た。


「レヴァリーっ!!来てやったわよっ!早く私の可愛いローザを返しなさいっ!!」


「チッ…」


ご主人が私を弄る手を止め、道の先を見て舌打ちをする。私もご主人の目線を追って道の先を見ると、そこにはスタイル抜群の絶世の美女が片手を腰に当て、ご主人を指差しながらモデル立ちしていた。


その美女の動いた余韻でボヨンボヨンと揺れる爆乳に、思わず釘付けになる私。


(で…でかいっ!!)


無意識に揺れる爆乳に合わせて頭が揺れていた私は、驚きのあまり口をパカッと開いたまま頭を揺らしていたらしい。

ご主人が私の顎にそっと手を当て、口を閉じるように促した。


そこでハッと我にかえりご主人を見上げれば、ご主人が困ったような顔をして私を覗き込んでいた。


「がぅっ!がふぅうぅっ!!(ご主人!駄目ぇえぇっ!!)」


あの魅惑的な爆乳にご主人が心を囚われては不味いと、慌てて肉球をご主人の両目に持って行こうと奮闘していた私は、全く気付いていなかった。

目をキラキラさせて背後に迫る爆乳美女に…!


「キャーーーァッ!ナニこれぇ!!ちょー可愛いぃっ」


掠れた甲高い声が聞こえたかと思うと、私の肉球が見る見るご主人の顔から遠ざかり、むにむにとやけに重量感のある暗闇に囚われた。


「グフッ!?ぅうっ!!…ぅう!!(なにっ!?いやぁっ!!…ぐるじぃ!!)」


ぎゅうぎゅうと全身に迫る暗闇に篭ったうめき声が漏れ、空気を全く吸い込めない。

焦ってもがくがやけに弾力のある暗闇に押し返される。


「………ぃっ(…も、無理ぃ)」


遠くで女とご主人の争う声が聞える。


(今なら三途の川が見えるかも…)


薄れゆく意識の中で首に何かが巻きつく感触がしたかと思うと重くて柔らかい苦しい暗闇から突然解放された。


『げほっ!ごほっ!ごほっ!』


真っ暗闇に覆われていた視界に光が戻り、圧迫されていた器官に急激に空気が送り込まれむせてしまう。


『じぬかとおぼっだぁぁあああっ!!』


むせて涙ぐんでしまった視界にご主人が歪んで映った瞬間、ドッと安堵感が溢れた。


ご主人がゆっくりと私を抱き寄せ、その背を撫でてくれる。

私は抱き寄せられたご主人の胸に顔を埋め、プルプルと震えて今起きた恐怖に怯えた。


「オーッホッホッホッ!やっぱり私の発明品ってば、凄いわぁ!!」


魔女の如き高笑いが震える背中から聞こえ、恐る恐る振り返ると、そこにはぶるんぶるん震える白い柔肌があった。


(…乳っ!?乳っ!?あのむにむに感…。もしかして、私は乳に殺されそうになったのかっ!?!)


ぶるりと大きく体が震え、ご主人の体に自分の体を出来る限り押しつけると、ご主人が私をかばう様に肩に抱き上げ、素早く爆乳から距離をとってくれた。


『乳怖い…!乳怖いぃっ!!』


自力では抜け出せなかった爆乳の暗闇に怯える私は、ご主人の首筋に頭を擦り付け震えることしか出来ずに、ご主人の目が爆乳を見ない様にすることをすっかり忘れていた。

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