初陣前夜
ガチャ
ソウジとカビトが帰宅すると開口一番にカビトはミツコに助けを求めるのだった。
「父ちゃんが戦に行くって言うんだ!馬鹿みたいな話だろ?母ちゃんからも言ってやってくれよ」
ソウジはミツコの目を真っ直ぐ見つめている。
(冗談で言うハズが無い……でも、戦には行かないで欲しい。どうしよう。なんて言えばいいんだろう)
ミツコは唇を噛み締め後ろを振り向いた。
「私は反対です。」
ミツコは畑のことや納める税金の事や安全面などの心配事を全部伝え決死の反論をするもソウジは決意を変えなかった。
「わかりました。それなら私にも考えがあります」
ガチャ
そう言うとミツコはお金を持って小屋を出て行ってしまった。
ソウジは頭をポリポリ掻きながらため息を付いた。
「あーあ|出て行っちゃった!まぁ、俺が連れ戻してきてやっから、その間に頭冷やしとけよ」
ガチャ
そういってカビトも小屋を飛び出していった。
(バッカじゃねーの?町に行きてーって言ったけどさ、それは三人揃ってに決まってんじゃねーか)
全速力で追いかけた甲斐がありカビトはミツコの背中を捉えた。
小屋に一人取り残されたソウジはどうすればいいんだろうと頭を抱え目を閉じるのだった。
一刻、また一刻。
小屋を出た二人は一向に戻ってこない。
野盗に襲われたのではないかと心配になり扉の取っ手に手を掛けるが
外に出ることを躊躇するソウジ
かすかに外から二人の声が聞こえてくる。
(帰ってきた……)
ソウジは戦には行かないと二人に伝える覚悟を決めていた。
ガチャ
小屋の扉が開く。
「父ちゃん!生きて帰って来いよ!」
真っ赤に腫れた目を隠すように作り笑いをするカビト。
「私も生きて帰ると信じています!」
赤く腫れた目をこすりながらミツコも笑顔でソウジを見つめる。
(なんで……)




