カビトの決意
ミツコとカビトに見送られ手を振り返すソウジ
「畑と母ちゃんは俺に任せろー!」
ソウジが前を向いて歩き出した瞬間、ミツコはしゃがみ込み両手で顔を覆い涙を流すのだった。
(今ならまだ……)
ウッ、ウググッ
「クソぉー!オレがもっと魚を獲ってれば……父ちゃんは」
カビトは自分の弱さに苛立っている。
ズザ、ズザ、ズザ、
「おいテメエら、何シケた面してんだよ」
カンタに対抗心を抱くコウジンに声を掛けられた。
「ウッセーよ!雑魚コウジンには関係ねー事だ!」
カビトの言葉にカチンときたコウジンは鈍くさいテメエの親父は真っ先に死ぬだろうなと心無い言葉を吐き捨てた。
「ま、俺が帰ってきた時にテメエらの親父の死にざまを教えてやるよ!ウヒャヒャヒャヒャ」
反論するとソウジが損をするのではないかと思ったミツコとカビトは言い返せなかった。
「あ、あぁ!よ、よろしく頼むよ」
コウジンは不敵な笑みを浮かべながら村を出て行った
カビトは見えなくなるまで父の背を追った。
(父ちゃんは、オレ達を裕福にするために死にに行った……。そうオレ達の為にだ)
カビトは空を見上げた
(腐った世の中だ……)
カビトはうつむく母の姿を見る。
(母ちゃん……ごめん。オレが無能だから父ちゃんが)
カビトは後ろを振り向いた。
(この村も、この国も……全部だ!オレが弱いから敵に攻められる!)
そしてカビトはもう一度豆粒程の父の背中を見る。
(今までありがとう。大好きだった父ちゃん……)
何も出来ずただ佇むだけのカビトは悔し涙を流した。
(もう大切な人や村の人を失いたくない!だからオレが強くならなきゃいけないんだ)
「オレがこの腐った世界を変えてやる!」




