↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/97

第二十九章

 ヘルトランドは驚いた。


 出てきた『英雄裁判』という単語にだけではない、今度ははっきり聞こえた声から、若い女のものだと分かったからだ。


「女か?」


 かかっていた薄衣のような雲が晴れ、月の光が増し、辺りがうっすらと青みがかった闇になる。


 そこに全身黒づくめで、顔も隠した一人の背の低い影が立っていた。


 華奢な体型、やはり女だ。


「何者だかは知らないが、やめておいた方がいいと思うぜ」


 どう猛に言い放ちながら、ヘルトランドは黒ずくめの女の武器を確認した。


 右手に握るようにして細い金属の棒がある。



 ──針か!



 瞬間、女が駆けた。


 咄嗟に剣を振ったヘルトランドは目を剥いた。


 女は異常に早かった。


 前傾姿勢になり、倒れ込むように走る『縮地』と呼ばれる走法だが、当然彼は知らない。


「ちっ」ヘルトランドは素早く左側の死角に入ろうとする女に対し、身体の向きを変えようとするが、ざざざざと疾走する女の速度に対応できない。


 まるで毒蛇が草むらを進むように、彼女はにじり寄ってくる。


「くそっ」


 女が飛びかかり、ヘルトランドは間一髪左腕で払った。


 ちくりとした痛みが走る。


「う!」彼は愕然とする。


 左腕に小さな針が刺さっていた。と、すぐに違和感が腕全体に伝わる。


 ──毒か!


 ヘルトランドは目の前の敵の正体を知り愕然とした。



「英雄裁判を覚えているな?」



 女が闇のベールの向こうから今一度問うてくる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。