第二十六章
「夜分申し訳ありません」
デイミアンはすっかり人のいなくなった道で、コトフと対面した。
マントから吊してある大剣の柄を覗かせ、彼がそれに手をかけていないとコトフに示す。
「何のようだ? 衛兵」
コトフは油断無い視線で、デイミアンを見つめている。だが剣の柄に手がないと知り、自らの手も下げた。
「あんたから欲しいものがありまして」
「欲しいものだと?」
「はい」とデイミアンは地面を見て畏まる。
「何だ? 何を言っている?」
「俺はあんた達が窃盗に関与したという証拠を持っています」
「はっ!」コトフはデイミアンの言葉を一笑に付す。
「それがどうした、誰がお前なんか信じる? どうでも良い……で? 口止め料でも欲しかったのか?」
次の瞬間、デイミアンは立ててある方の足に力を入れて跳ね起き、マントで隠したショートソードでコトフの腹を貫いた。
彼はマントで抜き身のショートソードを隠し、わざとメインウェポンの大剣の柄を見せていたのだ。
コトフは反応する暇もなく、不意打ちを受け入れた。
「欲しいものはあんたの命、そして下げている剣だ」
悲鳴どころか息も着けないコトフは唇を戦慄かせたが、そのままどしんと前に倒れる。
「……あんたの死は意味のないものだ。あんたに相応しい無様な最後さ」
デイミアンは、光の無くなったコトフの瞳に肩をすくめた。
「さて……これで小道具はそろったぜ。あとはお前の役だ」
空を見上げると、闇夜だと思ったのに冷え冷えとした青い月が出ていた。
ふと、僅か十六歳で『刺客』となったルナに、デイミアンは哀れみを持った。
「俺らしくない」すぐにその気持ちをかき消し、ふっと彼は自嘲する。
「ケリをつけろよ、ルナ」




