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第二十章

 当然、ルナは見知らぬ夫人が近づいてきていたことを知っていた。


 だが眼鏡を取る。


 元々目が悪くない彼女は、眼鏡をしていると逆に見えにくくなるからだ。



『殺人者の目』……どうでも良い。



 とにかく彼女はじっと見つめて心に刻んだ。


 シームと愛犬アインの悲しげな哀れな骸。


 憲兵に反撃した? ふっと硬質な笑みがルナの口元に浮かぶ。


 シームは顔を悲しみに歪ませている。


 恐らく、襲いかかる憲兵にあの時のように跪いて許しを請うたのだろう。


 だが……。


 ややあってルナはその場から離れた。


 悪意あるものに見とがめられたくなかったのだ。


 彼女は改めて、この国の歪みに殺意を燃やした。



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