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ep.57



「ここが居間よ、後で光に客間に案内してもらってね」

「はい、ありがとうございます」

「それにしても那月くんって…、美人さんね?」

「へ?あ、えっと…」

「光も私と似て美人だと思うけど、ジャンルがまた違うわねえ。ふふ、とても愛らしいわ」

「そうでしょう!伊奈瀬くんはとても愛らしいのです」

「ふふ」

「あ、あう…」


二人から褒めの言葉をもらい思わず恥ずかしくなった。


三人でのんびりお茶をしていると玄関の方からドタドタと騒がしい音が聞こえてくる。


「光にいが彼氏連れて来たって!」

「は?彼女じゃなくて?」

「どっちでもいいだろ!てか、あの光にいだぞ!」

「それもそうか」


やいやいと騒がしい声が居間に居る三人に聞こえてきたと思っていたらその正体が姿を現した。


「あ!ほら!か、れし…?」

「……ん??」

「あ、えっと…、は、初めまして…?」

「おい、彼女じゃないか。どこが彼氏だ」

「え、え?」

「あの、僕…」

「ボクっ娘彼女だったの!?光にい!」

「はあ、貴方達は何を言っているのですか…」

「いや、あの…、僕は…」

「てか!めっちゃ美人じゃん!光にいさっすがあ!…あれ?でも光にい男子校だよね?美人??」

「そういえば、そうだな…?でも出かけた時に知り合ったなら彼女でも普通だろ」

「あ、そっか!ねえねえ!どこで知り合ったの!?名前は!?」


何故か女の子に間違われて会話が進んでいっていることに口を出す暇もなく勘違いが加速する。


「ふふふ」

「ねえ!母さんは聞いたの?どこで出会ったのか!」

「あらかたナンパでもされたのだろ、光から行くことは無いだろうし」

「え!?お姉さんナンパしたの!?光にいを!?凄いね!」

「いや、えっと…、あのですね…」


グイグイと来られそもそも性別が違います勘違いです、そしてナンパはしていません、そう伝えたいのに質問攻めにあった。



………――


「えー!?じゃあ那月くん男の子だったの!?」

「勘違いしてしまいすまなかった」

「ねえ、本当に付き合ってないの?本当に??」

「だから違うと言っているじゃないですか」

「だって那月くんこんなに美人さんなんだよ?光にいが付き合わなくて誰と付き合うのさ!」

「二人ともお似合いなのにな」

「それは嬉しいですが二人とも落ち着きなさい、あときちんと自己紹介しなさい」

「あ、まだしてなかったっけ?光にいの弟の愛(まな)です!」

「俺も、光の兄の鳴(めい)だ、よろしく」

「あ、はい!よろしくお願いします」


鳴さんは大学生で愛くんはなんと僕と同い年だった。


副会長のことが大好きみたいで所謂ブラコン?ってやつらしい、愛くんが言っていた。



「伊奈瀬くん、折角なので私の事も光と呼んでくれませんか?副会長はちょっと距離がある感じがして…、それに夏休みの間ずっと一緒に居るのに私だけ名前を呼んでもらえないのは寂しいです」


シュンと耳が垂れている幻覚が見えるような気がして、では光さんと呼び方を変えることにした。


「私も、伊奈瀬くんではなく那月くんとお呼びしてもよろしいでしょうか?」

「あ、はい。大丈夫ですよ」


そういうと今度は見えないしっぽがブンブンと左右に振られている気がした。


嬉しそうでよかった。


「那月くん那月くん!光にいだけじゃなくて俺たちとも遊びに行こうね!」

「僕あんまり出かけたことなくて、どこがいいとか分からないんだけど…」

「そんなのは俺たちに任せればいいんだよ、みんなで遊びに行こう」

「二人が居るのは不服ですが…那月くんが行きたい場所があれば行きましょうね」

「はい…!ありがとうございます!」



憂鬱だった夏休みが、光さんたちによってとてもワクワクするものに変わっていく。


ありがたいな、鳴さんも愛くんも優しくてフレンドリーだし楽しみだなあ。


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