ep.31
「ふう…」
「んー!やっと放課後だね、一日どうだった?」
「ちょっと、疲れたかも」
「まあ無理もないよな、大丈夫か?あとは帰るだけだけど俺部活あるから一緒に帰れなくてごめん」
「いいよいいよ、こちらこそごめんね」
「那月くん僕もごめんね、今日どうしても親衛隊のことで外せなくて…。浅見と一緒に帰れる?僕もやっぱり居た方が…」
「二人とも心配しすぎ!陽くんをなんだと思ってんのさ!ぷんぷん」
「……まあ何かあったら寮まで逃げろ」
「浅見は頼りにならないかもしれないからそれがいいよ」
「二人とも…」
「俺泣いちゃうよ!?なっちゃん一人くらい守れるからね!?」
「本当かよ」
「その約束破ったら覚えておきなよ?」
「わーかったから!もう行きなよ、時間でしょ」
「あ、本当だ。じゃあな、那月」
「那月くん気を付けてね」
「うん、またね」
「じゃねえー!」
二人がそれぞれ教室から出て行く後ろ姿眺め、そろそろ帰ろうとカバンを手にすると浅見から
「なっちゃんごめん!ちょっと帰る前にトイレ!」
「うん、行ってらっしゃい」
「待っててねー!」
バタバタと出ていく浅見を眺め、一旦席に座る。
すると――
「すみません、伊奈瀬那月くんはまだ居ますか?」
誰かが訪ねてきた。
ドアの近くに居たクラスメイトがキョロキョロとし、こちらに気付き声をかけてくる。
「伊奈瀬くーん!呼ばれてるよ!」
「え?あ、誰だろう…」
見かけない顔に少し警戒をしながら浅見を待つかどうか悩んだが、チラッと覗くネクタイが先輩だったため待たせるのも悪いかと思い声をかけられた方へと近付いた。
「伊奈瀬くん?」
「あ、はい」
「ちょっと話があって、来てもらってもいいかな?」
「あー…、えっと…」
「ごめんね、すぐ終わるから。いいかな?」
「少しなら…」
そう言い先輩の後をついて行くと、段々と人気のない場所へと来ていた。
「あ、あの…、やっぱり僕戻っ」
「初めまして、伊奈瀬那月くん。俺の名前…はまあいいか。仕事はきちんとしたので後はごゆっくり…」
そう言われガラッと開いた教室へと手を引かれ押し入れられる。
「えっえっ…?」
「ふふ、やっと…、やっと会えたね…、那月?」
あなたは、そう言った途中でガチャリと鍵が閉められる。
「もう、逃がさないから」
少し低めの冷たい声でそう言われ一瞬で頭の中が警戒モードになる。
(逃げなきゃ…、この人やばい…)
「あの!ぼ、僕、帰ります」
後ろにクルッと向いて鍵に手を伸ばした瞬間、背後から手を掴まれた。
「言ったよね?逃がさないって、また俺の前から消えるの?そんなこと許さない!」
突然大声で叫ぶように言われ心臓がバクバクしているのが分かる。
(怖い、怖い、怖い…)
そんなことを考えているとカチャッと音が鳴り、気付いたら両手を後ろに持っていかれ手錠をかけられたのか動かせなくなっていた。
「だっ!だれっ!んぐ!?」
「だーめ、静かにしなきゃ。ね?那月はいい子だから言うこと聞けるよね」
そう言い手早く口を塞がれそのまま喉元を撫でられた。
「やっと手に入れた、これでもうずっと一緒だよ那月。誰にも渡さないから安心してね、ふふ、大丈夫。何も怖いことはないよ」
「んッ…んぐ…」
暴れようと試みるがそれを見透かされたかのごとく、真っ暗な部屋のソファへと投げ捨てられた。
「ここには誰も助けは来ないから諦めろ、俺と那月だけの場所だ。ね?いいでしょ、ふふ」
(誰か…!ねえ…誰か…お願い…)




