ep.29
「なっちゃーん、お話終わった?」
「あ、浅見くん」
リビングからひょこっと顔を覗かせて様子を伺う浅見に声をかける。
「さっき来てたの風紀委員長だったんだ。こんにちはー!」
「浅見くんこんにちは、いつもありがとうね」
「いえいえ!なっちゃんも俺たち以外とゆっくりだけど話せるようになっててよかったです!」
「浅見くんたちのおかげだね」
「へへっ、そう言ってもらえると嬉しいですね!」
「……那月、学校」
「あ、そうですよね…。学校いい加減に行かないと…」
「伊奈瀬くん、焦らなくていいんだよ。高良も、責めるような言い方しない」
「……ごめ」
「あ、いえいえ。またみんなと一緒に行けるように頑張りたいです」
「無理してないかい?」
「あ、はい。大丈夫です」
「なっちゃんが学校行くなら一緒に行くからその時は言ってね」
「浅見くんありがとう」
「入江は朝練無ければ一緒に行けるだろうし南も絶対行くって言うと思うから、ね?」
「うん、その時はちゃんと相談するね」
「待ってるよ!またなっちゃんと一緒に学校行きたいし!」
「そっか…」
楽しそうに嬉しそうに話す浅見を見て三人と一緒なら大丈夫、そんな気がした。
「話はまとまったかい?」
「あ、はい」
「…ん、よかた」
「先輩たちもありがとうございます」
「可愛い後輩のためだよ、なんて事ないさ」
「…もっと、頼って?」
「ぐはっ…、そういえば先輩たちイケメンだった…!」
「浅見くん…?」
「こっちは無自覚だった!!」
「浅見くんはいつも一人で楽しそうだね」
「……」
「ふふ」
「あー!なっちゃん笑わないでよー!」
「ふふ、ごめんごめん」
「いいけどっ!」
「さて、じゃあ僕と高良はお暇しようかな。二人ともありがとう」
「……あり、がと」
「いえ、こちらこそありがとうございます。おふたりの顔が見れて良かったです」
「伊奈瀬くんはいい子だね」
「…ん」
「あの…」
「どうしたんだい?」
「僕、学校行きたい、です…」
「え?」
「………」
「なっちゃんそれ…」
「僕、みなさんに手紙書いた時に決めてて」
「手紙?」
「あ、生徒会の人たちに…。あ!」
「「「?」」」
「風紀委員長にもお世話になったのに僕忘れてた…!ご、ごめんなさい!」
「ああ、いいよいいよ。伊奈瀬くんが気にする事はないさ」
「…俺は、もらった。くも」
そう言いながら高良が自慢げに橘へ手紙を見せつける。
「高良ってそういう所あるよね」
「ふふん」
「ぐふ…ぐふふ…」
変な声で笑っている浅見くんとなぜか?バチバチしてる真緒先輩と風紀委員長を見て僕は一人わたわたしてしまった。
「はあ、伊奈瀬くん困ってるから本当にもう行くよ高良」
「ん」
「じゃあね、二人とも。戸締りはしっかりするんだよ?」
「あ、はい。分かりました」
「ぐふふ…、あ!はい!なっちゃんを守ります!」
「よろしい。じゃあね、ゆっくり休んで」
「また、ね」
バイバイと手を振ってくれる真緒先輩に手を振り返し見送ったあと、言われた通りに部屋の鍵をきちんと閉めて浅見くんとリビングへと戻った。
「なっちゃんは、いつ学校行く?」
「明日、はまだちょっと怖いから明後日とか…」
「了解!入江と南にも連絡するけどいい?」
「あ、うん!ありがとう」
「どういたしまして!じゃあ明後日みんなで学校へ行こうー!」
おー!っと拳をあげる浅見を見て頑張ろうっとそっと気持ちに気合を入れた。




