ep.19
浅見くんが買ってきてくれた袋の中身は、おにぎりやパンなどが沢山入っていた。
好物が分からなかったのかとりあえずっていう感じなのかな。
その中で一つ見つけたプリンを手に取る。
「これなら、食べられるかな」
きゅるる、と鳴るお腹に手を当てプリンに目を戻す。
「…いただきます」
手を合わせ、ゆっくりと口へ運ぶ。
甘い匂いと柔らかい口当たりに思わず笑みがこぼた。
(美味しい…)
久しぶり、と言っても二日ほどしか経ってないが、その甘さは僕の心を満たすのには十分だった。
ゆっくり、ゆっくりと時間をかけて食べ進める。
――カラッと音を立てスプーンを手放す。
「美味しかったな」
甘さで満たされた心は、どこかふわふわとしていた。
副会長も浅見くんも、訪ねてきてくれた会長や風紀委員長も、みんなみんな優しい。
僕に出来ることは、今はこの部屋から出ることで。
それは分かっているが、まだ少し怖かった。
だけど、このままじゃ駄目なのも事実で。
ぐるぐると考えてはみるけど答えは出なかった。
ゴミを片付け、少しうとうとしていたところにドアがノックされる。
「なっちゃーん!少しはなにか食べられたかな?俺今から食堂行ってくるね、一人になっちゃうけど大丈夫そう?一緒に部屋にいようか?」
そう問いかけられ、少し考えてこう答える。
「一緒に、いて欲しい」
「……うん、分かった。入江と南に連絡して今日は三人で部屋でご飯食べるね。うるさくなっちゃうかもしれないけど俺たちなっちゃんのそばにいるからね、安心して」
「ん、ありがとう」
「いいえ!」
頼って、しまった。
…いいのかな。
だけど、今は一人になるのが嫌で気付いたらそう口から出ていた。
入江くんと南くんも呼ぶと返事があって三人の前でなら出れるかな、なんて思ってしまう。
――ピンポーン
しばらく経った頃、インターホンが鳴る。
「はいはいはーい!」
「浅見うるっさい」
「お前はいつも元気だな…」
「まあまあ!それが俺のいい所でしょ?」
「はあ、とりあえず上がるよ」
「お邪魔しまーす」
…コンコン
「那月くん?こんばんは、南だけど。晩ご飯お邪魔するね」
「よーっす、那月。もしよかったら那月も一緒に晩飯食わねえ?」
「ちょっと入江!那月くん無理しなくていいからね」
「なんだよ、いいじゃんか」
ヤイヤイと一気に騒がしくなる部屋の外へ、耳を傾ける。
(二人とも来てくれたんだ、一緒に…か)
ゆっくりと立ち上がり、ドアの前へ行く。
ドアノブを眺め、震える手を伸ばしてみる。
(あと、少し。ずっとこのままは苦しいから、でも…)
でも、みんなとこのままなのは嫌だ。
ギュッと握りしめたドアノブをゆっくりと捻る。
カチャ―――




