表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/47

ep.18


ガサゴソとドアの前で音が鳴っている。


「なっちゃーん!食べれそうなもの置いてるから良かったら食べてね」

「あ、の…、浅見くん」

「ん?どうしたー?」

「…ごめんね、こんなにいっぱい心配かけて、迷惑かけて」

「なーに言ってんの!俺ら友達っしょ?気にすることないよ」

「でも…」

「俺も入江も南もさ、ただなっちゃんの顔見れればそれでいいんだよ」

「……ッ」

「だから、気が向いたら出ておいでよ。そんでまたみんなで一緒にご飯食べよ?ね?」

「うん、うん…」

「今は時間が必要なの分かってるからさ、俺らはちゃんと待つから安心しなね」


陽からの暖かい言葉にまた、涙が出そうになった。



(こんな、こんな弱虫な僕にもちゃんと付き合って向き合ってくれるんだ…)



そう思うと部屋から出ないと、なんて気持ちも少し出てくるがそれでもまだ怖かった。



「俺、部屋に戻ってるからご飯食べられそうなら食べなね?」

「ん、ありがとう」

「どういたしまして!」


そういい浅見くんの気配が消えたのが分かった。



ホッと一息吐くと、きゅるるっとお腹が鳴る。


「そうだ、僕何も食べてないや…」


部屋の前にと置いてくれたであろう食料を取ろうと、ドアを塞いでいた段ボールを退かしていく。


決して軽くは無いそれらを退かすのは一苦労だった。



――ドアノブに伸ばした手が、震える。



何度も何度も、心の中で大丈夫落ち着けと唱えてみても震えが止まることはなかった。


「ああ、怖いな…」


そう思うが副会長の浅見くんの、みんなの厚意を無駄にしたくない。



ガチャ…



その日僕は、勇気の一歩を踏み出した。


のに――



ピンポーン


「ひっ…」


その音に恐怖を感じ慌てて目の前にあった袋を掴んで部屋に戻った。



「はいはいはーい!どなたですかー?」



バクバクと鳴る心臓を無意識に押え、ドアを背に座り込む。



「こわい、こわい…」



「はーい!どなたです、かあ?」

「やあ、浅見くんこんばんは」

「よう」

「風紀委員長と会長?あれ、どうしたんですか?」

「伊奈瀬くんの様子を見に来たよ」

「あれ?でも今日は副会長が見えてましたけど…」

「光が?あいつ何も言ってなかったぞ」

「はあ、ここへ来る時には風紀委員と一緒だと言ったのに早速破るとはおたくのどうなってるの?」

「俺に言うなよ」

「まあ来ちゃったなら仕方ないけどさ、それで?様子はどうだった?」

「あ、はい!なっちゃん、副会長と少し話せたみたいです。俺とも少し会話してくれて」

「…! そうかい、少しでも落ち着いてるならよかったよ」

「ああ、そうだな。話せたならなにより」

「お二人とも上がっていきますか?」

「いや、伊奈瀬も今日は疲れただろうから遠慮する」

「そうだね、佐々野が来たならまあ安心かな」

「分かりました!」

「あ、そうだ浅見くん」

「はい?」

「これ、僕の連絡先教えておくね。何かあったらすぐ連絡してくれるかい?」

「うおおお!?合法的に風紀委員長の連絡先をゲットしてしまった、だと…!?」

「浅見くん?悪用は、しないように、ね?」

「あ、はいっす!」


(風紀委員長、怖ぇ…)


「俺は会長という立場があるから、気軽に教えられないがまあ何かあれば頼るといい」

「はい!ありがとうございます!」

「じゃあ、そういうことで僕たちはお暇するよ」

「伊奈瀬のことよろしくな」

「はい!」


二人を見送り部屋へ戻ると、置いていたはずの袋が無くなっていることに気付く。


「なっちゃん!会長と風紀委員長が様子見に来てくれたよ!上がってかなかったけど、今日の様子伝えたら少し安心してた。よかったね」

「………」

「ご飯、食べられそうなら食べてね」

「…ありがとう」

「いいえ!」



少し、ほんの少しだけ芽生えたそれに、俺はまだ気付かなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ