ep.14
――コンコン
「なっちゃーん!荷解き終わった?そろそろ食堂行こー!」
………
「なっちゃん?」
開けるよ?そう声をかけるが反応がない。
心配になりドアノブを捻るが何かに突っかかっているのだろうか、開かなかった。
「え、なっ、なっちゃん!? どうしたの!?大丈夫!?」
アワアワと慌てふためく陽に中からの反応は何も無かった。
「ど、どうしよう…。誰かに連絡…、あ!南なら副会長と連絡取れるかな…。とりあえず電話電話…」
スマホを取り出し目当ての人物を探し、電話をかける。
『もしも…『南!?緊急事態!!』
『なに急に?』
『なっちゃんが部屋から出てこなくて!というか反応がなくて!』
『? 浅見の同室者那月くんなの?』
『そうそうー!ってそれは今どうでもよくて!南、今副会長と連絡取れたりしない?』
『なんで副会長様が出てくるの?』
『ほら、朝のあんなイベントや食堂でのこんなイベント…じゃなかった!仲良さそうにしてたから生徒会の人たちなら何か知ってるかなって!今日もワンコ書記と何故か風紀委員会の人と部屋に帰ってきたんだよね』
『……何かあったね、それ』
『あ、やっぱり?そうだよね!?だから事情知ってそうな人にって思ったんだけど俺生徒会の人たちの連絡先とか知らないからさ』
『分かった、連絡取ってみるよ待ってて』
『ありがとうー!忙しいのにごめんよ』
『ううん、大事な友達に何かあったなら力になるのが友達だからね。また後で折り返すよ』
『了解!』
そういい電話を切ると、また部屋に向かって声をかける。
「なっちゃん?おーい!聞こえてる?大丈夫?」
何度呼びかけても返事が返ってくることはなかった。
生徒会――
«副会長様へ、緊急事態です。那月くんと同室者の浅見から連絡が来て那月くんが部屋にこもったまま反応が無いそうなのですが、何か知っていますか?»
ピコンとスマホが鳴りメッセージを開くとそう書かれていた。
ガタッと立ち上がると会長や萊がどうした?という風にこちらを見て首を傾げる。
「伊奈瀬くんが…、部屋にこもったまま反応がないそうです…」
「えっ…、ふくかいちょーどういうこと?」
「? 寝てるとかではないのか?」
「その可能性もあるとは思いますが、先程のこともありましたし少し心配ですね」
ピコン
«何度も呼びかけてるみたいなんですけど反応が全くないそうです、浅見がパニックになってるので一度様子見に行ってもらっても大丈夫ですか? 書記様と風紀委員会の方と一緒に帰ってきたと言っているのですが那月くんに何かあったのですか?»
「またメッセージか?」
「あ、はい。何度も呼びかけてるみたいなのですがやはり反応が無く同室者の子がパニックになっているようでして」
「ねえ、やっぱり行った方がいいよねえ?」
「大勢で行くのも目立つから駄目だな、光ちょっと行ってもらえるか?」
「分かりました、行ってきます。一応真緒と橘にも連絡入れますね」
「ああ、分かった」
「気を付けてねえ?」
バタバタと片付けをし、足早に生徒会室を後にする。
(何も無いといいのですが)
心の中でそう願うばかりだった。
寮へ着くとロビーには真緒と橘が居た。
「二人とも来てたんですね、遅くなりました」
「大丈夫だよ、見回りは終わったからね。それよりあの連絡はどういうことかな?」
「それが、私の親衛隊隊長からでして状況がよく分からず…」
「まあとりあえず行ってみようか」
「はい」
そう会話をする間、真緒はずっと黙ったままだった。
ピンポーン――
「はいはいはーい!開けます!」
ガチャリと玄関を開けるとそこには副会長書記風紀委員長が揃っていた。
「あ、えっと三人も…?」
「浅見くんですよね、南くんに連絡したのは」
「あ、はい!なっちゃんが部屋から出てこなくて何度も呼びかけても反応が無くてドアも開かないし…」
「上がってもいいかな?」
「どうぞ!こっちです」
お邪魔します、お邪魔するよ、そういい三人は部屋へ上がり那月の部屋の前へと辿り着く。
コンコン…
「伊奈瀬くん、聞こえますか?」
「…………」
「おーい、伊奈瀬くん?開けてもいいかい?開けるよ?」
「…………」
咲がそういいドアノブを捻るが開かない。
「部屋には鍵は付いてないから何かで塞いでる…?」
「あ、そういえば荷解きするって言ってそのまま…」
「では、その荷物で塞いでいるということでしょうか?」
「その可能性はあるね」
「あの、なっちゃんになにが…」
「………那月」
「……ッ!」
「……那月、いる?」
「ま、お…せんぱ…」
「「「…!!!」」」
「なっちゃん!?大丈夫なの!?」
「伊奈瀬くん、聞こえてますか?」
「伊奈瀬くん?出てこれるかい?」
それぞれが声をかけるがまた反応がなくなる。
「……那月」
「っ…、ご、ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさい」
「なっちゃん、俺ら責めてるわけじゃないよ!」
「伊奈瀬くんそうだよ、大丈夫だから出ておいで」
「私たち伊奈瀬くんが心配なだけなんですよ」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「なっちゃん…」
ただただ謝り続ける那月に四人は立ち尽くすだけだった。




