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ep.12


「うっ…ぐす…、ッ…」



ピッ…ガチャ…



だ、だれ…?どうしよう、怖い怖い…怖い…!



コンコン…



「…那月、起き、てる?」



布団を握りしめて震えていると扉越しに声をかけられる。

どこか聞き覚えのある声に誰だっけ…となっていると開けるよと、声がかかりそのまま扉が開かれた。



「……那月」

「…!? ま、真緒…せんぱ…」

「………ん」



姿を現したのは、森で助けてくれた真緒だった。



「ま、真緒せんぱ…、ぼく…僕…」

「ち、かく、行って、い…?」

「こっ、来ないで…ください…!僕、きたなッ…」


自分で言ってその言葉にとても悲しくなった。

だがその言葉を聞いた真緒は遠慮せず無言で近寄ってくる。


来ないでって汚いって言ったのに、なんで…。



「……那月、は、汚くない、よ」


膝をつき目を合わせて、そう優しく言ってくる。


「でもっ、でも…」

「…だ、いじょぶ」


恐怖で支配されていた心にそっと優しく寄り添ってくれる、その言葉に少し安心した。



「那月、は、綺麗だよ」


そういいふわっと優しく笑った顔を見て、気付いたらまた泣いてしまっていた。


「まっ、真緒せんぱ…、こわっ怖かった…うっ…ぐすっ…」

「うん、もう、大丈夫…だから、ね?」


泣き止むまで、ずっと真緒先輩は大丈夫だよ、そう声をかけ続けてくれた。


「……泣き、すぎた、ね。冷やした、タオル…」


そういいながら立ち上がって行こうとする姿を見て思わず、手を伸ばし引き止める。


「…ま、まって」


カタカタと震える手で掴んだはいいものの次の言葉が出てこなかった。


「…那月?」

「あっ…、えっと…す、すみません…」

「どこ、にも、行かないよ…。タオル、取ってくる、だけ」

「………」


パッと手を離し俯くと、那月と声をかけられた。


「ね、撫でて、い?」

「……え?」


コクッとゆっくり頷くと、ありがとうと言いながらサラッと頬をひと撫でされそのまま優しく頭を撫でられた。


「……いい子」


ただただ、優しくそっと壊れものを扱うかのようにゆっくりと撫でられる。

暖かく大きなその手は那月を安心させるには十分だった。


「…真緒、先輩」

「ん?」

「…ッ。た、助けて、くれて…ありがとう、ございます」

「……うん」


スッと目を細め優しく見つめられ恥ずかしさに思わず顔を逸らしてしまいたくなった。


「……タオル、取って、くる」

「…あ、はい」


最後にまた頬を撫でられ部屋を出ていく真緒の後ろ姿を、つい目で追ってしまっていた。



居なくなった途端にぼぼぼっと顔が熱くなる。



「…?…?? な、なんだろ…?」



突然のよく分からない気持ちに戸惑ってしまい頭はパンク寸前だった。


「……那月」


部屋の外から声をかけられ、思わず握りしめていた布団に顔を埋める。


(こ、こんな顔見られたくない…)


ガチャッと音が聞こえ思わず跳ねる肩と、顔を隠している那月を見て真緒は首を傾げた。


「…那月? 具合、悪い…?」


顔を見られたくない、その一心でとりあえず顔をフルフルと横に振り違うことをアピールする。


「……タオル、目、冷やそ」


そう声をかけられるがこの熱くなった顔を見せられないとさらに顔を隠す。


「……那月」


少し悲しそうな声色をした真緒の呼びかけに慌てて顔を上げる。


「…あっ、あの! えっと…」

「……?」

「な、なんでもない、です…」

「……そ」


これ、と差し出されたタオルを受け取り目を冷やす。

ひんやりとしていて、少しずつ落ち着いていくのが分かった。


はう…と声を漏らすと、後ろ髪を優しく撫でられる感覚。


「……お、ちつい、た?」

「あ、はい。ありがとうございます」

「…ん、よか、た」



どこか安心したような声に少し、心が暖かくなった。


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