ep.11
「理事長はどうお考えですか?」
橘が問うと美也はこう答えた。
「ん?そうだねえ、理事長としての答えはNOかな」
「真緒、やっぱり駄目だ「あくまで、理事長としての意見はね?」
「それはどういう…」
雅也の言葉に被せるように言った美也に光は戸惑った返事を返す。
「理事長としては、ルールはきちんと守ってもらわないと困る。君たちは生徒会役員なんだからね、ただここからは僕の個人的な意見になるけど出来ることなら誰かがついていてあげて欲しいのが本音かな」
「理事長それってえ…」
「襲った生徒たちにはもちろん、それ相応の罰を与えるつもりだよ。ただそれと同じくらい被害者の生徒も守らなければいけない、それが今回転入初日の那月くんだったとしてもね。見付けたのがたまたま高良くんだった、ただそれだけの事だよ。君には、那月くんを守れるのかい?」
「……ッ…。ま、もれ、ます。まも、りたい」
「真緒…」
「真緒、お前は伊奈瀬に何があっても守れるんだな?」
「……まも、れる。…守る」
「真緒くん…」
「…うん、そうかい。分かったよ、ただ一緒の部屋は駄目だ」
「……な、で…!」
「先程も言ったろう?理事長としてはルールを守ってもらわないと困る、とね。君たちは生徒の手本とならなければいけない存在だ。それを破るとどうなる?」
「……ッ」
「分かってくれたようで何より。高良くん、見守るというのはね色んな形があるんだよ。君にはそれを分かって欲しいな」
「……わか、り、ました」
「うん、ありがとう。君の気持ちは痛いほど分かるからそう落ち込まないで欲しいな。僕も大事な生徒が傷付けられて悲しいんだ、そういう事でどうかな?」
「分かりました」
「私も、分かりました」
「はーい…」
各々が返事をする中、高良だけは少し俯き黙っていた。
その頃、真緒の部屋で寝ていた那月は――
「んん…、ここ、どこ…?」
見知らぬ部屋のベッドで寝かされていることに気付いたが先程の森での出来事がフラッシュバックする。
「ひっ…」
ガタガタと震え出す体をギュッと抱きしめ静かに涙を流す。
誰か、誰か、誰か――
恐怖で支配された心はただただ助けを求めていた。
1階ロビーにて――
「じゃあ、そういう事で。よろしくね」
「「「はい」」」
「はーい」
「……は、い」
話がまとまり美也はまだ仕事があるからと戻って行った。
「はあ、真緒。これからどうするんだ?」
「そうですよ、守るって言ってもどうやって…」
「確かにー、真緒くんどうするのー?」
三人にそう聞かれ、真緒は答える。
「……とり、あえず、毎日部屋に、通う、つもり」
「高良ねえ、理事長の話聞いていたかい?それは一人の生徒を贔屓しているのと変わらないんだよ、守るのとは違う」
「……でも」
「確かに、橘の言う通りだな」
「ですが、伊奈瀬くんの心のケアは必要なのでは?」
「そうだよー!那月くんには僕たちが必要かもしれないじゃんか!」
「だが…、うーん」
「はあ、じゃあこういうのはどうかい?高良が部屋に通う時は風紀の誰かが必ず着いて行く。これでどうかな?そうすれば言い訳も出来るでしょ」
「それならいい、のか?」
「確かに、言い訳には使えますね」
「転入生の護衛ってことで誤魔化せるねー?」
「高良、これでどうかな?いいかい?」
「……ん、わかっ、た」
五人で話し合った結果、真緒が那月の部屋へ行く時には風紀が一人着いていくことになった。
「風紀委員たちへは僕から伝えとくから安心してよ」
「ありがとうな」
「橘、ご迷惑おかけしますがよろしくお願いします」
「橘いいんちょーありがとうー!」
「……橘、あり、がと」
「お礼はいいから、とりあえず高良は部屋に戻って転入生の様子見てきなよ」
「………ん」
「それじゃそういう事で、解散」
僕も見回りに戻るよ、そう言い咲も戻って行った。




